◎2017年4月28日(金)
林道ゲート前駐車地(7:11)……笹ミキ沢右岸尾根取り付き(7:48)……舟石新道合流(10:02)……尾根取り付き(10:53)……稜線(11:34)……塔の峰(11:56~12:34)……日ヶ窪峠(12:58)……丸石沢右岸尾根の頭(13:02)……林道(14:02)……寄り道戻り(14:41)……駐車地(14:50)
※かなり遅い歩きタイムです。参考にはなりません。
四月に入ってから、土日は仕事も含めて何やかやと用事があり、今月は赤雪山しか行っていない。明日の土曜日もまた出勤だ。塔の峰の山名板の件があり、新たに作ったはいいが、裏に[2017.4]と記してしまっている。制作年月と思えば済むだけのことだが、そういうわけにもいくまい。普通は登った日を記すだろう。どん詰まりで出かけることにした。
できればツツジの開花に合わせて行くつもりでいた。今日あたり、上はともかく、下の方は盛りになっているかもしれない。そんな期待も少しはある。実は、足尾であそこはアカヤシオがきれいかもしれないなと思うところがあって、そちらに行ってみたかったのだが、今回は山名板取り付けの方を優先することにした。
かじか荘の上の駐車場の入口にはロープが張られ、駐車禁止の札が下がっている。銀山平のキャンプ場駐車場を利用してくれとのこと。切り替えしも面倒で、先のゲート前に車を置いた。すぐに準備に入る。大間々からずっとトロトロ走行の大型の後ろになり、追い越しもできずにかなり時間がかかってしまった。かなりあせり気味になっている。
ここでワカンを持参するかで悩む。数日前に中倉山に登った方のレポの写真に写った塔の峰には雪がなかったが、ちょっと心配だ。なけりゃないでどうにかなるだろうと結局は持って行かなかったが、これが正解で、持って行っていたらただのお荷物になっていた。
今日は久しぶりに笹ミキ沢右岸尾根から入ることにしている。塔の峰の南側に未踏尾根が2本ほどあるので、いずれかから登り、下りはツツジの咲き具合で判断という予定でいる。何はともあれ、目的は山名板交換とツツジの具合チェックというところだ。
(いつもの見慣れた光景)
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ブランクができるとやはり足も重くなる。林道を歩いているだけなのに早速、息切れ状態になった。すぐに丸石沢右岸尾根に上がった方が良いのじゃないのかと思ったが、ちょっと見たいところもあり、そのまま行く。まして自分には、笹ミキ沢右岸尾根、舟石新道を経由して南側から塔の峰に至るルートが他に比べたら楽だ。
(寄り道して覗く)
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(雨降沢)
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(坑夫滝。上だけ)
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寄り道をしてちょっと覗く(後述)。時間はとれない。未舗装になり左手に雨降沢が見えてくる。あそこから小法師岳に登ってみたいが、改めて様相を眺めると、両岸の尾根ともに半端な歩きでは行けない気配だ。きりんこさんは歩かれたようだが。坑夫滝も上部がちらりと見える。あの滝も正面から見てみたいもの。そんなことを考えながら歩いている。余談だが、坑夫滝の淵を泳ぎ渡ろうとした方が水中から足を引っ張られた感じで溺れかけ、メンバーのロープで助かったというネット記事を読んだことがある。魔物がいても不思議でもないような雰囲気の滝だ。これからは、林道からは音しか聞こえない滝になる。対岸斜面にはピンクのツツジが少しばかり見えるが、ほんの数株だ。
(取り付く)
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(早速ゼーゼー)
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笹美木橋を渡って、その先から取り付く。すぐに左の植林から小尾根が交わる。石がゴロゴロと出てくる。本尾根に出るまでに100m以上登り上げないといけない。周囲は平穏な斜面になっているが、見下ろすと結構な急斜面だ。30分ほどの林道歩きで体調も戻ったように思えたが、依然として身体は重い。今日はまともな歩きはできないな。山名板の取り付けだけだからゆっくり行くことにしよう。
(尾根に出る)
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(最初の急登)
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何度も休んで本尾根に出た。ここから一時的に急登りになる。やせ我慢せずにストックを出した。ところどころにシカ道らしき踏み跡があり、できるだけ岩場の正面突破は避けて踏み跡を辿ったが、この踏み跡も標高は稼げない。結局は尾根に登り上げるのに四苦八苦し、以降は尾根通しの歩きになる。雪融け間もないせいか、土がボロボロで歩きづらい状態がずっと続く。
(ボチボチ)
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(これが続くかと期待した)
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(こちらの斜面にはあるのかと覗いたが、この下には何もなかった)
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(The End …)
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ようやくアカヤシオが出てきた。標高1185m付近。だが、ふみふみぃさん流には気の早いヤツなのか終わりかけのようでもある。気まぐれに出てくる。右手に塔の峰が見えてくる。せっかくだからツツジを楽しみながら歩きたいところだが、1255m付近でツボミ状を見かけて、尾根上のツツジはこれで終わりになってしまった。随分とあっ気ない。やはりまだ早いということだ。この日に熊鷹さんが備前楯に行かれたようで、やはりチラ見だったようだし、1000m以上はまだまだだ。ちなみに、同日の薬師岳に行かれた方もまたツボミしか見ることができなかったとネット記事にあった。1400m超えでは仕方あるまい。
(1261m標高点付近)
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(次の急登)
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(視界が開ける)
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ヤセ尾根を通過して標高1261m付近を通過。この先でまた急になるはずだ。塔の峰の斜面に白い雪の筋が見えるのが気になる。相変わらず元気が出ないままに急斜面をこなすと笹原に出た。ここのツツジもまた芽が小さく固いまま。素人判断では、開花まで2~3週間先ではないだろうか。その頃に来ることはないな。
しかし今日は暑い。水は1リットルしか持ってきていないが大丈夫だろうか。汗も出ている。風がないからか余計に暑く感じる。今のところ天気が悪くなる気配はないが、ツツジを楽しめないのでは、早いとこ用事を済ませてしまいたい気分になってきた。
(1462m標高点付近)
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(塔の峰)
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(下って)
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(舟石新道に合流)
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(こんなところに)
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なだらかになって左手に袈裟丸山が見えてくる。こちらはまだ雪混じりだ。1462m標高点付近を通過。ここでスパッツを付ける。今日はトレパンを履いているため、どうしても靴の上が開いたままの状態で、そこから小枝や葉クズが入り込む。ついでに菓子パンを食べる。塔の峰は真横の位置になっている。あの斜面の下部にも色付きのものは見あたらない。繰り返しだが、やはりかなり早かった。
下って登る。舟石新道に合流。ここまで3時間近くかかっている。いつもよりオーバータイム気味。もう10時を回っている。11時には山頂に立ちたいと思っていたが無理のようだ。スピードを上げたいが、身体がついてこない。さて、ここで色物のなさに首を傾げた。合流点には確か赤いブリキの標識があった。舟石新道プレートはある。左に回ってみると落ちていた。前橋営林局の「林班界」標識。これは垂れ下がっていたはずだが、針金部分が切れている。飛ばないように木の洞の中に納めた。
(何も考えずに先に行っていればよかったのに、さっさと右下の沢に下りてしまった)
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(笹ミキ沢に出る)
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(いい加減に登っている)
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この時点では、ここまで来れば、しばらくは舟石新道を通って、目的の尾根の取り付きまで行けるから楽だなと思ったのだが、そうでもなかった。
笹ミキ沢に降り立つ。さっきまで水の流れが尾根にまで聞こえていたが、すでに水は消えている。沢を渡る。プレートはどこにいったのやら。またやってしまった。以前にもここで同じミスを犯している。沢の下流部に向かったがプレートは見あたらない。仕方なく踏み跡を辿る。戻ればいいだけのことだが、地形は何となく読めるのでそのまま行く。
踏み跡は消えた。ヤブ漕ぎになった。とはいっても、この時期だからまだ低い。こうなったら、ムダな歩きはせずに、この先の尾根から登るしかないか。この尾根はすでに歩いたことがあり、稜線上、1662m標高点の西側に出る尾根だ。沢沿いに歩いていたため、尾根に出るのに60mほど登らないといけない。これがまた結構なアルバイトになった。
(再び合流)
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(沢を渡る)
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(こんな沢ならこのまま上に向かってみたい)
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(カラマツ紅葉がきれいだろうな)
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尾根に乗って先に行くと、プレートが見えた。新道は上を回り込んでいた。つまり、すぐに笹ミキ沢に降りず、そのまましばらく沢沿いを上流に行くのが正解だった。目印プレートにぶつかった以上は、このまま新道を辿って目的尾根に出ることにする。
またすぐにプレートを見失う。踏み跡は続いている。プレートの間隔が開いているのだろうか。ではなかった。先に行くと、上に見えている。以降は2つ先まで確認してから歩くようにする。沢を3本ほど渡る。いずれも笹ミキ沢に流れ込む沢だ。
(いい気分で歩いている)
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(あの尾根を登る)
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尾根が見えてくる。候補尾根は2つだが、もう手前の尾根を行ってしまおう。
(いい気分)
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(庚申山)
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地形図どおりになだらかな尾根だった。広葉樹が間隔も広く植わっている。ここはツツジが盛りならきれいなところだと思う。のんびり歩ける。シカの死骸が一つ。雪融けとともに出てきたようだ。左に庚申山が大きく現れた。こちらも雪はなさそうだ。ただ、山頂の樹林帯の中はどうだろうか。ケルンを積みたくなったが、ここに大きな石はない。
(ヤブはかなり低く、快適に歩いて行ける)
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(残雪が出てきて)
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(そろそろ鞍部に到着か)
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シカ道がずっと上に続いている。これを辿って登って行く。右手に沢音。この沢に出れば、塔の峰もより近くなるような気がするが、そちらを見ると、沢までの落差は結構ある。
残雪が出てくる。ヤブは腿くらいの高さになった。雪の上を歩くと適度に固まっていて歩きやすい。雪はところどころにある程度。
(鞍部からオロ山)
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(塔の峰への上り)
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稜線に出た。1662m標高点の東側鞍部。ここは平原に似た、感じの良いスポットだ。正面にオロ山が見える。あちらに行きたい衝動が起きたが押さえた。行ったとて、今日の体調では沢入山への登りに耐えられない気がする。
(袈裟丸)
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(皇海山と庚申山)
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(日光白根)
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(男体山)
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ここから塔の峰までの区間はすこぶる眺望が良いところだ。登るに連れて、袈裟丸連峰、庚申山、皇海山が見え、先に行くと、日光白根、錫ヶ岳、大平山、中倉尾根、男体山と次々と見えてくる。まったく飽きない。白根と錫はまだ白い。歩程もさらに遅くなった。これに周囲の花の色が入れば最高だろうが、ない物ねだりをしてもしょうがない。
北側の樹林の中を歩けば楽だろうが、ヤブの中を歩いている方が気分も良い。ここもまた腰高の笹ヤブになっている。途切れがちなシカ道を乗り換えては歩く。
(山頂が見えてくる)
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(五代目)
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山頂に到着。誤って白ペンキを吹きつけ、そのまま放置して2か月。山名板は無残な姿になっていた。何はともあれ山名板の交換。新板はねんごろにニスを塗ったからしばらくはメンテナンスも必要あるまい。これで五代目になる。取り外しの四代目は3年前の11月だったから2年半持ったが、2月におかしなミスをせずに吹き付けニスでメンテしていたら、もっと持っただろうに。
それ以前のこととして、これまでの山名板の作り方に問題はなかったか。手の込んだことはせず、むしろあっさりと彫ったまま、ニスも絵具も塗らない状態の方が長持ちするのではないのか。今回の板も要メンテとなっている。同じ手法で作って架けているのが他に3枚ある。いずれ年内に見回りに行かないと。また、すでに手間をかけて作ってしまったのが後2枚ほどあるので、以降はどうにか工夫しないといけない。何がおもしろくてこんなことをやっているのかと問われたら、返す言葉はない。自己満足に過ぎないのだから。
大福を食べてゆっくりする。知らぬ間に風が出てきていた。雲も多くなっている。高度計を見ると、1462m標高点ではほぼ合っていたのに、今は30mほど実際よりも高くなっている。気圧が下がりつつある。まさか天候悪化ということはないだろうが、どんよりしてきたことは確かだ。水は心配していたが、まだ2/3は残っている。元々、真夏と危ういところを歩いた直後でない限りは水をあまり飲まない質だ。
さて下りはどうしよう。もう一本の未踏尾根を下ってもいい。ただその尾根もだいぶ前に歩いたことがあるような気がする。ツツジが盛りなら1528m標高点経由で熊の平に下る手もあるが、その楽しみは数週間先だ。むしろ、丸石沢右岸尾根あたりにひっそりツツジが咲いているかもしれない。取りあえずは日ヶ窪峠に下る。
(北側斜面の残雪)
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(下る。風が出ている)
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(日ヶ窪峠)
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やはり北側の斜面には残雪が結構あった。まして樹林帯だし日陰にもなっている。こちらはしばらく歩けそうにもない。雲が多くなり、陽も隠れているが、空の青味は残っているし、雲もまた薄い。悪化することはないだろう。
上りの時とは違って、こちらの展望はさほどのものでもなく、その分時間を取られることもないためか、あっさりと日ヶ窪峠に下りてしまった。尾根ミスをすることもなかった。下りの足だけは快調だ。ここで、ふと今朝がたの寄り道を下見レベルまで高めようかと思い、丸石沢右岸尾根ではなく、このまま南に下ることを考えたが、上りならともかく、下り使用で擁壁の上に立ってしまったのではなぁと、やはり無難な丸石沢右岸尾根を下ることにする。下見は逆戻りで行くことにしよう。
(丸石沢右岸尾根を下る)
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(作業道に出る)
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舟石新道をちょっと歩いて右岸尾根のピーク。丸石沢の頭とでも言いたいところだが、頭とするのはむしろ1528m標高点かもしれない。
2月にここを登って来たが、雪の有無で相当に印象も変わっている。イノシシの掘り返しも目につく。また急な下りにも思える。それでいて冬枯れのままの殺風景な風景が続いている。
ここの下りもまたあっさりと植林脇の作業道に出てしまった。反対側に植林を抜けると、対岸の尾根斜面にピンクが数株。標高は1000mあたりか。向かい側ではどうにもならない。
(こちらにもツツジの気配はない)
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(小滝に出る)
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(ここでようやくといったところだ)
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色彩のないままに下って行く。そろそろ出てくるかなと思っていても、右下の沢にさえ色づきはない。いつもの小滝に出てしまった。やはりこちらもダメだったかと沢を渡って別尾根に乗り換えると、ようやく生きの良いアカヤシオに出会えた。標高935mだ。わずかに1株ながらも、今日はこれで満足ということにしておかないといけない。
(出口)
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林道に出る。今朝の寄り道スポットまで戻る。10分ほどの歩き。今朝は覗いただけだったが、時間もあるし、ちょっと先まで行ってみるつもりになっている。実はここ、地図を見る限り、林道から庚申川に下るにはここしかないなと思っていたところだ。以前、庚申山からの帰りに、ここで休んでいると、川の方から上がって来た方がいた。キノコを採りに来たが、例年に比べて今年はダメだったとおっしゃっていた。その時は、こんなところにキノコがあるのかなと思った程度のものだった。意識しはじめたのはその後のこと。
(今度は下見)
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(河原が見える。堰堤の上。写真ではここから下りられそうだがほぼ垂直が隠れている)
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(踏み跡先にはこんなところもあった)
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小尾根伝いに踏み跡が続いていた。釣り人が利用するのか工事関係のかは知らない。先で踏み跡は小尾根を右から左に巻くように付いていて、やがて下に河原が見えてきたが、急なところを下るにはロープ必携だろう。踏み跡をそのまま尾根の反対側に辿ってみる。朽ちた木が3本、渡しの役目にもならずのままに残っている。つまり、現役の踏み跡ではないようだ。
先に行って見下ろす。こちらはかなりの高度感になっている。20mほどの断崖だ。ここは川がカーブしていて、真下が堰堤になっている。こちら側から下りるのはまず無理。もういいだろう。自分の限界超えだ。戻る。途中、改めて川の上流を眺めてみた。樹間越しではっきりとは見えないが、上流部は河原が消えて淵状になっている気配。あれでは巻くにしても、その筋をやっている人には難なしだろうが、素人では無理だ。河原に下りるにはあそこだなと一応の見当はつけたが、そのまま淵まで行かずにすんなり右岸尾根に上がれるようには思えないし、まして右岸尾根では面白味もないだろう。あるいは坑夫滝をあきらめ、さらに上流から下りるか…。実際に歩いたわけでもないから、解説はこの辺にしておこう。
下見のつもりでいたが、できれば河原までのつもりでいた。本当に下見どころか覗き込みだけで終わってしまった。これで雨降沢も正面からの坑夫滝見物も見通しはつかなくなった。たぶん、行くことはないな。いずれ、ふみふみぃさんあたりの記事アップ時の楽しみということにしておこう。ところで、キノコの件だが、こんなところに出る特殊なキノコでもあるのだろうか。うまくカモフラージュされたのかもしれないな。
(林道戻り)
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(そしてゲート)
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(銀山平周辺は山桜が見頃だった)
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引き返す。朝は気づかなかったが、庚申川の対岸の岩肌にアカヤシオが群れている。いくら何でもあそこには行けないなぁと思いつつも、つい地図を広げて見てしまう。そして、行けなくもないかと。
駐車地には他に車が2台あった。栃木県のナンバーだ。庚申山だろうか、釣りか。かじか荘周辺には工事関係の車以外に他県ナンバーの車を数台見かけたが、この辺はツツジよりも山桜が盛りの状態だから、それが目的で来ているのかも知れない。
今回は山名板の交換が目的の第一であったから、それを達成しただけでも満足とはいえるが、つい下の方でアカヤシオに出会えるかと期待していただけに、かなりがっかりな思いになってしまった。足尾のアカヤシオもこれから追々ということだな。いずれまた山名板を持ってということになりそうだが。
林道ゲート前駐車地(7:11)……笹ミキ沢右岸尾根取り付き(7:48)……舟石新道合流(10:02)……尾根取り付き(10:53)……稜線(11:34)……塔の峰(11:56~12:34)……日ヶ窪峠(12:58)……丸石沢右岸尾根の頭(13:02)……林道(14:02)……寄り道戻り(14:41)……駐車地(14:50)
※かなり遅い歩きタイムです。参考にはなりません。
四月に入ってから、土日は仕事も含めて何やかやと用事があり、今月は赤雪山しか行っていない。明日の土曜日もまた出勤だ。塔の峰の山名板の件があり、新たに作ったはいいが、裏に[2017.4]と記してしまっている。制作年月と思えば済むだけのことだが、そういうわけにもいくまい。普通は登った日を記すだろう。どん詰まりで出かけることにした。
できればツツジの開花に合わせて行くつもりでいた。今日あたり、上はともかく、下の方は盛りになっているかもしれない。そんな期待も少しはある。実は、足尾であそこはアカヤシオがきれいかもしれないなと思うところがあって、そちらに行ってみたかったのだが、今回は山名板取り付けの方を優先することにした。
かじか荘の上の駐車場の入口にはロープが張られ、駐車禁止の札が下がっている。銀山平のキャンプ場駐車場を利用してくれとのこと。切り替えしも面倒で、先のゲート前に車を置いた。すぐに準備に入る。大間々からずっとトロトロ走行の大型の後ろになり、追い越しもできずにかなり時間がかかってしまった。かなりあせり気味になっている。
ここでワカンを持参するかで悩む。数日前に中倉山に登った方のレポの写真に写った塔の峰には雪がなかったが、ちょっと心配だ。なけりゃないでどうにかなるだろうと結局は持って行かなかったが、これが正解で、持って行っていたらただのお荷物になっていた。
今日は久しぶりに笹ミキ沢右岸尾根から入ることにしている。塔の峰の南側に未踏尾根が2本ほどあるので、いずれかから登り、下りはツツジの咲き具合で判断という予定でいる。何はともあれ、目的は山名板交換とツツジの具合チェックというところだ。
(いつもの見慣れた光景)

ブランクができるとやはり足も重くなる。林道を歩いているだけなのに早速、息切れ状態になった。すぐに丸石沢右岸尾根に上がった方が良いのじゃないのかと思ったが、ちょっと見たいところもあり、そのまま行く。まして自分には、笹ミキ沢右岸尾根、舟石新道を経由して南側から塔の峰に至るルートが他に比べたら楽だ。
(寄り道して覗く)

(雨降沢)

(坑夫滝。上だけ)

寄り道をしてちょっと覗く(後述)。時間はとれない。未舗装になり左手に雨降沢が見えてくる。あそこから小法師岳に登ってみたいが、改めて様相を眺めると、両岸の尾根ともに半端な歩きでは行けない気配だ。きりんこさんは歩かれたようだが。坑夫滝も上部がちらりと見える。あの滝も正面から見てみたいもの。そんなことを考えながら歩いている。余談だが、坑夫滝の淵を泳ぎ渡ろうとした方が水中から足を引っ張られた感じで溺れかけ、メンバーのロープで助かったというネット記事を読んだことがある。魔物がいても不思議でもないような雰囲気の滝だ。これからは、林道からは音しか聞こえない滝になる。対岸斜面にはピンクのツツジが少しばかり見えるが、ほんの数株だ。
(取り付く)

(早速ゼーゼー)

笹美木橋を渡って、その先から取り付く。すぐに左の植林から小尾根が交わる。石がゴロゴロと出てくる。本尾根に出るまでに100m以上登り上げないといけない。周囲は平穏な斜面になっているが、見下ろすと結構な急斜面だ。30分ほどの林道歩きで体調も戻ったように思えたが、依然として身体は重い。今日はまともな歩きはできないな。山名板の取り付けだけだからゆっくり行くことにしよう。
(尾根に出る)

(最初の急登)

何度も休んで本尾根に出た。ここから一時的に急登りになる。やせ我慢せずにストックを出した。ところどころにシカ道らしき踏み跡があり、できるだけ岩場の正面突破は避けて踏み跡を辿ったが、この踏み跡も標高は稼げない。結局は尾根に登り上げるのに四苦八苦し、以降は尾根通しの歩きになる。雪融け間もないせいか、土がボロボロで歩きづらい状態がずっと続く。
(ボチボチ)

(これが続くかと期待した)

(こちらの斜面にはあるのかと覗いたが、この下には何もなかった)

(The End …)

ようやくアカヤシオが出てきた。標高1185m付近。だが、ふみふみぃさん流には気の早いヤツなのか終わりかけのようでもある。気まぐれに出てくる。右手に塔の峰が見えてくる。せっかくだからツツジを楽しみながら歩きたいところだが、1255m付近でツボミ状を見かけて、尾根上のツツジはこれで終わりになってしまった。随分とあっ気ない。やはりまだ早いということだ。この日に熊鷹さんが備前楯に行かれたようで、やはりチラ見だったようだし、1000m以上はまだまだだ。ちなみに、同日の薬師岳に行かれた方もまたツボミしか見ることができなかったとネット記事にあった。1400m超えでは仕方あるまい。
(1261m標高点付近)

(次の急登)

(視界が開ける)

ヤセ尾根を通過して標高1261m付近を通過。この先でまた急になるはずだ。塔の峰の斜面に白い雪の筋が見えるのが気になる。相変わらず元気が出ないままに急斜面をこなすと笹原に出た。ここのツツジもまた芽が小さく固いまま。素人判断では、開花まで2~3週間先ではないだろうか。その頃に来ることはないな。
しかし今日は暑い。水は1リットルしか持ってきていないが大丈夫だろうか。汗も出ている。風がないからか余計に暑く感じる。今のところ天気が悪くなる気配はないが、ツツジを楽しめないのでは、早いとこ用事を済ませてしまいたい気分になってきた。
(1462m標高点付近)

(塔の峰)

(下って)

(舟石新道に合流)

(こんなところに)

なだらかになって左手に袈裟丸山が見えてくる。こちらはまだ雪混じりだ。1462m標高点付近を通過。ここでスパッツを付ける。今日はトレパンを履いているため、どうしても靴の上が開いたままの状態で、そこから小枝や葉クズが入り込む。ついでに菓子パンを食べる。塔の峰は真横の位置になっている。あの斜面の下部にも色付きのものは見あたらない。繰り返しだが、やはりかなり早かった。
下って登る。舟石新道に合流。ここまで3時間近くかかっている。いつもよりオーバータイム気味。もう10時を回っている。11時には山頂に立ちたいと思っていたが無理のようだ。スピードを上げたいが、身体がついてこない。さて、ここで色物のなさに首を傾げた。合流点には確か赤いブリキの標識があった。舟石新道プレートはある。左に回ってみると落ちていた。前橋営林局の「林班界」標識。これは垂れ下がっていたはずだが、針金部分が切れている。飛ばないように木の洞の中に納めた。
(何も考えずに先に行っていればよかったのに、さっさと右下の沢に下りてしまった)

(笹ミキ沢に出る)

(いい加減に登っている)

この時点では、ここまで来れば、しばらくは舟石新道を通って、目的の尾根の取り付きまで行けるから楽だなと思ったのだが、そうでもなかった。
笹ミキ沢に降り立つ。さっきまで水の流れが尾根にまで聞こえていたが、すでに水は消えている。沢を渡る。プレートはどこにいったのやら。またやってしまった。以前にもここで同じミスを犯している。沢の下流部に向かったがプレートは見あたらない。仕方なく踏み跡を辿る。戻ればいいだけのことだが、地形は何となく読めるのでそのまま行く。
踏み跡は消えた。ヤブ漕ぎになった。とはいっても、この時期だからまだ低い。こうなったら、ムダな歩きはせずに、この先の尾根から登るしかないか。この尾根はすでに歩いたことがあり、稜線上、1662m標高点の西側に出る尾根だ。沢沿いに歩いていたため、尾根に出るのに60mほど登らないといけない。これがまた結構なアルバイトになった。
(再び合流)

(沢を渡る)

(こんな沢ならこのまま上に向かってみたい)

(カラマツ紅葉がきれいだろうな)

尾根に乗って先に行くと、プレートが見えた。新道は上を回り込んでいた。つまり、すぐに笹ミキ沢に降りず、そのまましばらく沢沿いを上流に行くのが正解だった。目印プレートにぶつかった以上は、このまま新道を辿って目的尾根に出ることにする。
またすぐにプレートを見失う。踏み跡は続いている。プレートの間隔が開いているのだろうか。ではなかった。先に行くと、上に見えている。以降は2つ先まで確認してから歩くようにする。沢を3本ほど渡る。いずれも笹ミキ沢に流れ込む沢だ。
(いい気分で歩いている)

(あの尾根を登る)

尾根が見えてくる。候補尾根は2つだが、もう手前の尾根を行ってしまおう。
(いい気分)

(庚申山)

地形図どおりになだらかな尾根だった。広葉樹が間隔も広く植わっている。ここはツツジが盛りならきれいなところだと思う。のんびり歩ける。シカの死骸が一つ。雪融けとともに出てきたようだ。左に庚申山が大きく現れた。こちらも雪はなさそうだ。ただ、山頂の樹林帯の中はどうだろうか。ケルンを積みたくなったが、ここに大きな石はない。
(ヤブはかなり低く、快適に歩いて行ける)

(残雪が出てきて)

(そろそろ鞍部に到着か)

シカ道がずっと上に続いている。これを辿って登って行く。右手に沢音。この沢に出れば、塔の峰もより近くなるような気がするが、そちらを見ると、沢までの落差は結構ある。
残雪が出てくる。ヤブは腿くらいの高さになった。雪の上を歩くと適度に固まっていて歩きやすい。雪はところどころにある程度。
(鞍部からオロ山)

(塔の峰への上り)

稜線に出た。1662m標高点の東側鞍部。ここは平原に似た、感じの良いスポットだ。正面にオロ山が見える。あちらに行きたい衝動が起きたが押さえた。行ったとて、今日の体調では沢入山への登りに耐えられない気がする。
(袈裟丸)

(皇海山と庚申山)

(日光白根)

(男体山)

ここから塔の峰までの区間はすこぶる眺望が良いところだ。登るに連れて、袈裟丸連峰、庚申山、皇海山が見え、先に行くと、日光白根、錫ヶ岳、大平山、中倉尾根、男体山と次々と見えてくる。まったく飽きない。白根と錫はまだ白い。歩程もさらに遅くなった。これに周囲の花の色が入れば最高だろうが、ない物ねだりをしてもしょうがない。
北側の樹林の中を歩けば楽だろうが、ヤブの中を歩いている方が気分も良い。ここもまた腰高の笹ヤブになっている。途切れがちなシカ道を乗り換えては歩く。
(山頂が見えてくる)

(五代目)

山頂に到着。誤って白ペンキを吹きつけ、そのまま放置して2か月。山名板は無残な姿になっていた。何はともあれ山名板の交換。新板はねんごろにニスを塗ったからしばらくはメンテナンスも必要あるまい。これで五代目になる。取り外しの四代目は3年前の11月だったから2年半持ったが、2月におかしなミスをせずに吹き付けニスでメンテしていたら、もっと持っただろうに。
それ以前のこととして、これまでの山名板の作り方に問題はなかったか。手の込んだことはせず、むしろあっさりと彫ったまま、ニスも絵具も塗らない状態の方が長持ちするのではないのか。今回の板も要メンテとなっている。同じ手法で作って架けているのが他に3枚ある。いずれ年内に見回りに行かないと。また、すでに手間をかけて作ってしまったのが後2枚ほどあるので、以降はどうにか工夫しないといけない。何がおもしろくてこんなことをやっているのかと問われたら、返す言葉はない。自己満足に過ぎないのだから。
大福を食べてゆっくりする。知らぬ間に風が出てきていた。雲も多くなっている。高度計を見ると、1462m標高点ではほぼ合っていたのに、今は30mほど実際よりも高くなっている。気圧が下がりつつある。まさか天候悪化ということはないだろうが、どんよりしてきたことは確かだ。水は心配していたが、まだ2/3は残っている。元々、真夏と危ういところを歩いた直後でない限りは水をあまり飲まない質だ。
さて下りはどうしよう。もう一本の未踏尾根を下ってもいい。ただその尾根もだいぶ前に歩いたことがあるような気がする。ツツジが盛りなら1528m標高点経由で熊の平に下る手もあるが、その楽しみは数週間先だ。むしろ、丸石沢右岸尾根あたりにひっそりツツジが咲いているかもしれない。取りあえずは日ヶ窪峠に下る。
(北側斜面の残雪)

(下る。風が出ている)

(日ヶ窪峠)

やはり北側の斜面には残雪が結構あった。まして樹林帯だし日陰にもなっている。こちらはしばらく歩けそうにもない。雲が多くなり、陽も隠れているが、空の青味は残っているし、雲もまた薄い。悪化することはないだろう。
上りの時とは違って、こちらの展望はさほどのものでもなく、その分時間を取られることもないためか、あっさりと日ヶ窪峠に下りてしまった。尾根ミスをすることもなかった。下りの足だけは快調だ。ここで、ふと今朝がたの寄り道を下見レベルまで高めようかと思い、丸石沢右岸尾根ではなく、このまま南に下ることを考えたが、上りならともかく、下り使用で擁壁の上に立ってしまったのではなぁと、やはり無難な丸石沢右岸尾根を下ることにする。下見は逆戻りで行くことにしよう。
(丸石沢右岸尾根を下る)

(作業道に出る)

舟石新道をちょっと歩いて右岸尾根のピーク。丸石沢の頭とでも言いたいところだが、頭とするのはむしろ1528m標高点かもしれない。
2月にここを登って来たが、雪の有無で相当に印象も変わっている。イノシシの掘り返しも目につく。また急な下りにも思える。それでいて冬枯れのままの殺風景な風景が続いている。
ここの下りもまたあっさりと植林脇の作業道に出てしまった。反対側に植林を抜けると、対岸の尾根斜面にピンクが数株。標高は1000mあたりか。向かい側ではどうにもならない。
(こちらにもツツジの気配はない)

(小滝に出る)

(ここでようやくといったところだ)

色彩のないままに下って行く。そろそろ出てくるかなと思っていても、右下の沢にさえ色づきはない。いつもの小滝に出てしまった。やはりこちらもダメだったかと沢を渡って別尾根に乗り換えると、ようやく生きの良いアカヤシオに出会えた。標高935mだ。わずかに1株ながらも、今日はこれで満足ということにしておかないといけない。
(出口)

林道に出る。今朝の寄り道スポットまで戻る。10分ほどの歩き。今朝は覗いただけだったが、時間もあるし、ちょっと先まで行ってみるつもりになっている。実はここ、地図を見る限り、林道から庚申川に下るにはここしかないなと思っていたところだ。以前、庚申山からの帰りに、ここで休んでいると、川の方から上がって来た方がいた。キノコを採りに来たが、例年に比べて今年はダメだったとおっしゃっていた。その時は、こんなところにキノコがあるのかなと思った程度のものだった。意識しはじめたのはその後のこと。
(今度は下見)

(河原が見える。堰堤の上。写真ではここから下りられそうだがほぼ垂直が隠れている)

(踏み跡先にはこんなところもあった)

小尾根伝いに踏み跡が続いていた。釣り人が利用するのか工事関係のかは知らない。先で踏み跡は小尾根を右から左に巻くように付いていて、やがて下に河原が見えてきたが、急なところを下るにはロープ必携だろう。踏み跡をそのまま尾根の反対側に辿ってみる。朽ちた木が3本、渡しの役目にもならずのままに残っている。つまり、現役の踏み跡ではないようだ。
先に行って見下ろす。こちらはかなりの高度感になっている。20mほどの断崖だ。ここは川がカーブしていて、真下が堰堤になっている。こちら側から下りるのはまず無理。もういいだろう。自分の限界超えだ。戻る。途中、改めて川の上流を眺めてみた。樹間越しではっきりとは見えないが、上流部は河原が消えて淵状になっている気配。あれでは巻くにしても、その筋をやっている人には難なしだろうが、素人では無理だ。河原に下りるにはあそこだなと一応の見当はつけたが、そのまま淵まで行かずにすんなり右岸尾根に上がれるようには思えないし、まして右岸尾根では面白味もないだろう。あるいは坑夫滝をあきらめ、さらに上流から下りるか…。実際に歩いたわけでもないから、解説はこの辺にしておこう。
下見のつもりでいたが、できれば河原までのつもりでいた。本当に下見どころか覗き込みだけで終わってしまった。これで雨降沢も正面からの坑夫滝見物も見通しはつかなくなった。たぶん、行くことはないな。いずれ、ふみふみぃさんあたりの記事アップ時の楽しみということにしておこう。ところで、キノコの件だが、こんなところに出る特殊なキノコでもあるのだろうか。うまくカモフラージュされたのかもしれないな。
(林道戻り)

(そしてゲート)

(銀山平周辺は山桜が見頃だった)

引き返す。朝は気づかなかったが、庚申川の対岸の岩肌にアカヤシオが群れている。いくら何でもあそこには行けないなぁと思いつつも、つい地図を広げて見てしまう。そして、行けなくもないかと。
駐車地には他に車が2台あった。栃木県のナンバーだ。庚申山だろうか、釣りか。かじか荘周辺には工事関係の車以外に他県ナンバーの車を数台見かけたが、この辺はツツジよりも山桜が盛りの状態だから、それが目的で来ているのかも知れない。
今回は山名板の交換が目的の第一であったから、それを達成しただけでも満足とはいえるが、つい下の方でアカヤシオに出会えるかと期待していただけに、かなりがっかりな思いになってしまった。足尾のアカヤシオもこれから追々ということだな。いずれまた山名板を持ってということになりそうだが。