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Channel: たそがれオヤジのクタクタ山ある記
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笹子雁ヶ腹摺山。雲が多めの予報だったが、絶景富士山を楽しめた。

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◎2018年2月18日(日)

新中橋バス停脇駐車場(7:22)……1188m標高点付近(8:43)……笹子雁ヶ腹摺山(9:10~9:43)……新道分岐(10:07)……尾根道合流(10:37)……笹子峠(10:53~11:04)……林道ゲート(11:23)……矢立の杉(11:32)……ランチタイム(11:42~11:59)……車道復帰(12:07)……駐車場(12:29)

 本当はただの「雁ヶ腹摺山」に行きたかったのだが、自分で歩いてみたいと思っていた尾根ルートでは時間がかかり、日曜日の天気予報をチェックする限り、雲量が少ない午前中の早い時間帯での山頂到着は望めそうもなかった。二度目の幻の五百円札はご勘弁なので今回はパスして、確実に早い時間に到達できそうな「笹子雁ヶ腹摺山」に行くことにした。なまじ終日雲だらけの予報だったら、確実に映画にでも観に出かけたろう。こういう半端な雲行き情報を信じ込むと決断を鈍らせて混乱してしまう場合もある。
 雁ヶ腹摺山も、冬季通行止めが解除され、大峠まで車を乗り入れできるようになれば、楽で短い歩きも可能だが、それでは面白くもなく、行く気にもなれない。通行止めのうちに姥子山を含めて静かな歩きと秀麗富士山を楽しみたいと思っている。だがこれも、この時季だし、ころころ変わる天気予報にしばらくは翻弄されそうだ。
 大月市の『秀麗富嶽十二景』シリーズ、ここのところ、ぶなじろうさんと雪田爺さんが足繁く通っていて、自分なんかは三番煎じのようなものだが、10年前にある程度は集中して登ったこともあった。その中で、この笹子雁ヶ腹摺山に目を向けたことはなかった(というか避けていた)のは、「笹子」が付いただけで、雁ヶ腹摺山の間に合わせの存在のように感じたからで、詳しい情報調べも、今回行くと決めてからが初めてだった。矛盾した話だが、笹子と違って「牛奥ノ」と付くと、何やら気軽な気持ちでは行けない感じになってしまう。

 繰り返しになる。前の晩から天気もさることながら雲量予測がずっと気になっていて、起き抜けにネットで確認した雲量は、10時頃をピークに多くなり、一時的に70%。午後からまた薄れてくるというものだった。今日は日曜日だ。のんびりと昼過ぎまで富士山見物に浸っているわけにもいかない。出かけるのも一か八かのようなもの。他の山と違って、笹子雁ヶ腹摺山(山名が長いので、以下「笹雁山」とする。また、前回の釜伏山同様に、昭文社地図は「マップ」、1/25000地形図は「地図」)なら諦めもつくかといった気分もあった。見えなかったところで、改めて行く山でもあるまいと。
 高速に乗り、狭山から富士山が見え出し、相模湖あたりになると富士山も大きくなる。気があせるばかりだ。タッチアウトにはなりたくない。タイムリミットは10時だ。
 電車を使えば、米沢山、お坊山とかを経由しての周回が望ましいが、それができないから悲しい(これは、栃木の雪田爺さんとて同じだろう)。どうしても事前の駐車地探しから始まる。グーグルマップのストリートビューで当初見当をつけたのは、国道20号線沿いの自販機の置かれた広場だった。ここしか適当な場所は見あたらず、そこにとぼけて置くつもりでいたが、その広場を右に見て、もうちょい先に手ごろな広い路肩はないかと探りに行くと、笹子峠方面にストリートビューとは異なった新しい道ができていて、ちょっと入り込むと、バス停脇にしっかりと3~4台分くらいの駐車スペースがあった。これはありがたい。他に車はない。20号線はすぐそこに見えている。正面は人家だし、駐車するには安心だ。余談だが、当初予定の自販機広場、後で知ったことだが「天野自然公園」という公園の駐車場だったらしく、別にとぼけて置かずとも問題なく利用できる駐車場だった。

(新中橋バス停の駐車場。結論から言うと、そこの階段を登ればよかっただけのことだった)


 このバス停、「新中橋」というが、路線図を見ると、大月から来るバスは、この2つ先の「新田」が終点になっている。ちなみに、バス停の位置がマップとは微妙に異なっているようだ。バス停から取り付きまでは西に15分とあるが実際には北に0分。この15分が直後に誤解招きの歩きになってしまう。本当に西に向かってしまった。もしかすると、バス停位置が変わったのかもしれない。
 今日の予定コース、往路はマップにある1188m標高点経由の南東尾根。復路は地図の方にある破線路。これは送電線・鉄塔伝いにあるから巡視路だろう。この破線路は、途中までは尾根伝いになっている。笹子峠に下って長い車道歩きをするつもりはない(今は冬季閉鎖中)。
 往路尾根の標高差は700m。地図を見る限りは登り一辺倒のようで、コースタイムは2時間。一気の700m登りはつらい。2時間半かかったとして、今、7時15分だからタイムリミットの10時には何とか間に合うだろう。

(出だしからヘマをする)


(戻って破線路歩き)


(早々に尾根に乗る)


 準備をして出発。早々に酔狂な歩きをしてしまった。現実とは異なるマップ上の15分歩きを錯覚し、笹子峠の方に車道を歩いてしまい、次の「新田下」のバス停を見て、あれっ?自分は何をしてんだかと、振り出しに戻る始末。その間、犬散歩のオジサンに暢気にオハヨウゴザイマスなんて挨拶をしている。改めて駐車地脇の階段を登る。まったく正反対に歩いていた。これで貴重な10分はムダにした。10時にどんどん近づいていく。あせる。
 植林の中に踏み跡があった。標識のようなものはない。これだろうと追っていくが、どうも谷状のところに向かっている。地図を見ると、確かにこれで間違いはないようだが、いずれは尾根に乗らなきゃならないし、左手に尾根が見えている。さっさと尾根に上がることにしよう。尾根側にも踏み跡は続いていた。みんな同じことを考える。
 予想通りに急斜面の尾根。ジグザグに登り上げる。落葉が溜まって滑る。尾根の取り付きは大方こんなものだが、この尾根も今だけであって欲しい。右が植林で左は自然林というか雑木。薄暗くないだけ助かる。

(小さな神社)


 ジグザグがストレートになった。その分いくらか傾斜も緩んだようだが、普通の尾根の登りよりはつらい。しめ縄のある小さな木の神社というか小祠があった。柱はボロボロだが、屋根だけはトタンになっている。何ともアンバランス。しめ縄に巻かれた短冊、正式には「紙垂(しで)」というらしいが、真新しいところからして、正月用に代えたようだ。地元の方がいまだにお参りしているんだろうな。こういう存在は早々の休憩の体の良い理由にもなる。しかし、この登りがずっと続くのかなと思うとうんざりする。ゆっくり歩きたいがタイムリミットばかりが気になってしまう。せっかく高速を使って2時間かけて来た。富士山を見られないのではお話にならない。

(こんな尾根)


(実際の破線路が右手から)


(JRの送電鉄塔)


 気になって空を見上げながら登っている。うっすらと白っぽいが青空だ。これが10時過ぎにはさらに白くなるらしいが、どうも予報を信用できない気分が半分になりつつある。
 右から道が上がって来た。そして正面には送電線の鉄塔。ということは、その道は破線路ということか。それを使った方が楽だった、早かったかどうかは考えようだが、おそらくは植林の中の薄暗い中の歩きだろう。鉄塔にはJR東日本の看板があった。つまり電車運行用。てっきり、東電の送電線とばかりに思っていた。ここからの展望は良くない。小ピーク状になっているわけでもなく、周囲が広く刈り払いされてもいない。先を急ぐ。

(おなじみタイプの標識)


(結構きつい)


 笹雁山の標識が現れる。そういえば、登り出したところに標識は見かけなかったが、別のところに置かれていたのだろうか。ここでいきなり出てくるわけがない。
 標識が出てからまた傾斜がきつくなってきた。たまらずにストックを出す。手ぶら登りではしんどい。そしてヒノキの植林に入り込む。植林って、何でどこもこう急なんだろう。
 急だ、きついの繰り言で山頂まで終始してしまうわけにもいかない。その辺は控えることにするが、普通、尾根にも緩急の流れがあって、ちょっとした鞍部があったり一時的に平らなところがあるものだが、この先しばらくはそれがなかった。まさに地図通りになっている。
 地図の破線路が尾根から分岐するあたりを注意する。予定では、帰路はその巡視路らしき道を通って、この尾根に合流して下るつもりでいる。ところが左・西側に分岐する道に出合わない。GPSを取り出して拡大してみる。この付近のはずだがと、じっくり見ると踏み跡らしきものが目に入った。地図通りに左下に下っているようだ。「ようだ」というのは、植林の落ちた枝葉で踏み跡がはっきりしないからだ。これを使ってここに戻れるのかなぁといった不安がかすめる。尾根道でも沢筋でもないただのトラバース巡視路だ。目印は踏み跡だけだろう。地図を見ながら、状況によっては「矢立の杉」の東側で車道に接するところがあるから、そこから車道歩きになってもいいかなんて考える。

(1188m標高点ピークかと思う)


(ここで富士山現れる)


 植林から解放され、また尾根境の半々になった。黙々と登る。立ち休みの回数も多くなる。この先を回り込んだ左前方に小ピークが見える。地図をあてがうと1188m標高点のあるところのようで、台形状になっている。あそこは少しは平らになっているかもしれない。ここから100mほど登って1188mに着けば、あとは170mの標高差を我慢すればいい。そう思えば幾分気持ちも楽になる。もう標高差700mの半分以上は終わっている。
 次第に緩い部分も出てきて、緩急の繰り返しになってきたところで、休みがてら左を見ると富士の頭が見えた。周囲に雲はない。今8時半過ぎ。10時リミットはすでに半信半疑未満になっているが、今のうちに見ておかないと山頂では見られなくなってしまうかもの懸念は残っている。だが、雑木が邪魔で、どうにもすっきり頭にならない。スポットを探し回っての歩きだから遅々として先に進まなくなってしまった。
 そんな状態の時、下から人の気配。見下ろすと、青年とオッサンの中間年代単独氏。ストックも使わずに黙々と上がってくる。そのスピードが何とも速い。かなう相手ではなさそうなので脇に寄って待機する。「この尾根、きついっすね~」と素通りして行かれた。やはり、きついと思っているのは自分だけではなかったようだ。しかし、そう言いながらもすごい健脚だ。見通しの良いところに出ても、先に姿を見ることはもうなかった。

(ここでルートは右手にカーブする)


(1188m標高点付近)


 枝に邪魔された富士を執拗に見ながら登って行くと(当然、ゼーゼーしながらだ)、平らな尾根になって1188m標高点付近に近づいた模様。標識板が直角に二枚、下方向は笹子駅になっている。今8時40分過ぎ。10時前には笹雁山には着きそうだ。一服入れて、羊羹と干し柿を食べる。さっきの単独氏、ここで休憩もしなかった気配。
 ここで、爆音が聞こえた。上空をヘリが旋回している。出がけにブナジロウさんの前日の記事をちらりと拝見していた。遭難者が出たらしい(この件、雪田爺さんの記事にも記されていた)。それを思い出した。まだ見つからないのか。ヘリは周辺を2周して帰って行った。念のため今日も探してみるかといった感じか。

(笹雁山だろう。白いのは反射板か)


 歩き再開。雪が出てきたりするが、地面にへばりついている程度のもの。前方に笹雁山らしきピークが見えてきた。何やら、山頂の脇に反射板のような白い板状のものが見える。あれは何なのか。山頂部は雲一つない青空。その間、地図上の1188m標高点は通過している。
 また緩急の繰り返しになった。依然として左右植自林が続いている。富士は一旦隠れ、ようやく歩きに集中できると思ってほっとしていると、また雑木の合間から顔を出す。次第に見える部分も頭から鼻あたりまで低下した。そして、歩みがまた遅くなった。だからといってスッキリした姿は尾根を外れようが見えやしない。

(ラストのきつい登り。上から)


(そして反射板)


(山頂はそこだ)


 そろそろ終盤が近づいた雰囲気だ。ラストの急斜面の上には青空しか見えない。クネクネ道が復活し、最後は喘ぎながら反射板下に到着した。ここはもう山頂の一角だろう。山頂はすぐ上だ。一概に反射板とはいっても、何のためのものかも知らず、確認したかったが、有刺鉄線付きのフェンスで囲われ、「あぶない!!」の看板があるだけ。
 振り返って富士山を見た。雑木の枝がしつこく邪魔をしているが、かなり良く見えている。もうちょい上がってみると、今度は邪魔なものが消えた。オオっと気持ちの中で歓声とどよめきが上がる。素晴らしい富士山じゃないか。笹雁山からの富士もバカにならんわ。手前の山並みの鉄塔が2本ほど美観を損ねているが、おそらく三ツ峠山だろう。そうと思えば我慢もできる。

(見えた。右の枝がチョイと邪魔)


(少しアップで)


(笹雁山山頂)


 散々、富士を眺めては撮った後に山頂に向かう。狭い山頂。10人もいれば窮屈な感じ。西の白い山並みは南アルプスか。そして北寄りに見えるのが八ヶ岳か。先ほどの単独氏はすでにいない。他にハイカーはいず、自分一人だけ。風はないし陽気もグッド。雲量予測はどこへやら。リミット10時までは1時間ほどあるが、雲量が増えそうな気配はなく、せいぜい3~4割の停滞だ。惑わされて映画に行っていたら損した感じだったろう。

(山頂からの富士山)


(どうしても枝や木が入り込んでしまう)


(南アルプスと八ヶ岳)


 ここから改めて富士山を眺める。結果は△印。枝木が少なくなったものの、写真を撮ると、どうしても枝が入り込んでしまう。笹雁山の富士山スポットはやはり反射板のちょい上だ。
 だれもいないので、他人の目を気にすることはない。とはいっても痴態をさらしたり、大声でヤッホーをしたわけではなく、反射板と山頂を慌ただしく往復しただけのこと。その間、ベンチで暖かいコーヒーを飲んだり、タバコを遠慮することもなくふかした。30分の休憩は短く感じたが、その間に雲量が増えてくる気配はない。

(笹子峠方面に下る)


(急で滑る)


(そして落ち着く)


 さて下るか。単独氏はどちらに下ったのか。米沢山方面も笹子峠方面も雪はあるが凍っているのでトレースはわからない。雪の凍り方からしてチェーンスパイクよりも軽アイゼンの方が良いかなと思ったが、チェーンスパイクを選択。雪が少ないと、アイゼンだと反対足に引っ掛ける危険もある。
 やはり失敗した。チェーンスパイクでは半端なく滑ったし、ストックもただの邪魔物。ましてゴム先は付けたまま。アイゼンにチェンジしようかと思ったが、細い急斜面でそんな作業スペースはない。一歩一歩立木を頼りに着実に下るしかない。特に凍っていたのは山頂直下。陽があたるあたりは凍てつきも緩んでいるのでそのままチェーンスパイクで下る。
 名残り富士の段階に入った。つい左の富士山ばかりを気にしてしまう。だんだん顔が沈んで行く。それでいて、山頂では山陰で見えなかったところが見えてきたりする。それはそれでおもしろいが、最早すっきり富士は遠ざかって行く。そんな歩きをしていたら、ズルッと滑って、危うい思いをした。もういいか、もういいかと思っても、つい未練がましくなって枝ヤブから覗き見をしてしまう。どうせなら、すっぱりと見えなくなっていただきたい。やはり富士山は眺める山なんだねぇ。

(また鉄塔)


(鉄塔から)


(振り返って笹雁山)


 尾根はやがて緩やかになり、振り返ると笹雁山。尾根は相変わらず細い。場所によっては転げ落ちたらヤバいところもあるが、次第にそれもなくなった。ただ、幾分雪が深くなる。新しいトレースはない。
 送電鉄塔が目の前に出てくる。これはJRではなく東電だろう。鉄塔下に登り、富士山を眺める。どこから撮っても、鉄塔の脚と送電線が映ってしまう。もうこれで本日は見納めにしたいところ。十分満足な富士山を眺めることができたから、雪田爺さんではないがコンプリートだ。すでに10時は過ぎているし(笑)。

(近づいてもなかなか逃げない)


(分岐になった)


 さて、そのまましばらく行くが、雪のために道型は不明瞭になり、果たしてこれでいいのかと気にしていると標識が現れてほっとする。標識は同じ笹子峠に向かうも「尾根道」と「新道」の分岐表示になっている。ここは新道を選ぶ。特別な意味はないが、新道が内側(東側)を行くようだから、下り予定の破線路に早く接すると思ったところもある。

(新道はトラバース道)


(崩れたところもあるから要注意)


(「緑を大切に」の杭。何もないところにポツンと立っているわけがない)


(ラスト。もうすっきり姿は無理)


 新道とはいっても古くからあるトラバース道のようで、木に巻かれたテープの色は褪せている。落葉が堆積して不明瞭なところもあるが、慎重に先を追えば迷うところはない。ただ、一部、崩壊のところがあったりするから要注意だ。まだしつこく富士山が見えている。そのたびに足止めをくらう。すっきり富士でもないのにだ。
 「緑を大切に」の杭があった。うっすらと左手に下る踏み跡が見えた。その時は気にも留めなかった。そして次の鉄塔にぶつかる。ここでまだあったラスト富士。一休み。陽気が良い。ついのんびりしてしまう。

(尾根道と新道が合流。上に鉄塔)


 雪が幾分深くなってまた先に鉄塔が見えてくる。鉄塔手前に尾根道と新道分岐の標識が置かれていた。アレっ、GPSを確認する。やはりそうだった。新道からの破線路分岐はすでに過ぎていた。おそらく、「緑を大切に」の杭が分岐だったのだろう。そちら側を覗き込む。結構、険しい感じの谷合になっていて、踏み跡を素直に辿っては行けないような気がする。やはり笹子峠に出る方が無難だ。
 せっかく鉄塔があるのだからと、コース外の鉄塔下に雪を漕いで上がってみた。かすかに頭だけが見えた。

(笹子峠への下り)


(笹子峠が下に見えて)


(笹子峠)


 明瞭な尾根道を下る。ロープが廻らされている。ちょっとゴツゴツした感じで、一気に急になる。下には笹子峠が見えている。慎重にロープを使って峠に着地した。
 ほっとはしたが、これからの、予定外の車道歩きを考えるとうんざりする。笹子駅まで約2時間の標識がある。笹子駅まで歩くわけではないが、マップ記載のコースタイムは1時間30分。下り歩きではあってもうんざりする。まして、前回の釜伏山の引き続きにもなる。途中で「矢立の杉」という名勝があるから、立ち寄れば少しは気も紛れるか。
 この峠、十字路になっていて、標識では、北東・笹雁山、北西・かいやまと駅、南西・カヤノキビラノ頭(三境)、そして南東が笹子駅だ。このカヤノキビラノ頭、下の駐車場の登山案内図にもあったが、気になって後で調べると、マップにある中尾根ノ頭の次の1411mピークがカヤノキビラノ頭らしい。その大分先にボッコノ頭というのもある。これも同じ町境尾根のピークで、マップに登山道はない。こんなところを歩く人がいるから標識もあるのだろうな。意外と山梨通のノラさんあたりは歩かれているかもしれない。

(下って行くと)


(広場というか駐車場に出た。左に笹子隧道)


(笹子隧道)


 上よりも峠から下の方が雪が残っている。チェーンスパイクはそのままに山道を下る。5分も下ると広場らしきところに出た。ここが駐車場か。ここから歩くとすれば、案外楽かも。尾根道と新道を使えばただのピストンにもならない。
 ここが道路の起点かと思ったが、脇に文化庁登録有形文化財「笹子隧道」がある。解説板を読むと、この道路は旧甲州街道(20号線)だったようだ。通行止めになってもいない。地図を見ると、この先の西側にも続いているので、まだ通れるトンネルなのだろう。トンネルの中を覗くと、狭いが舗装されている。

(車道歩きとなる)


(今の時期でもここまでは車で入れる)


 ぼちぼちと車道歩き(県道212号線となっている)になる。最初のうちは雪があったのでまだ感じなかったが、路面が出て来るようになると、気が重くなる。残雪、剥き出しが繰り返され、最後はチェーンスパイクを外した。この時点で、標識には「国道20号線まで4.7km」とある。たっぷりと残り1時間以上か。
 ゲートを通過。この時期でも、ここまでは車が入れる。道幅は広くなっていて、5~6台の車は置けそうだが今日は車はない。次第に暑くなってきた。手袋を外し、帽子とウインドブレーカーは脱いだ。ついでにストックも収納。

(矢立の杉入口)


 適当にショートカットしながら下って行くと、やはり、同じことを考える人がいるのか、必ず同じところに踏み跡が残っている。面白いものだ。先のカーブに車が1台止まっている。そして何か看板がある。近づくと、「矢立の杉」入口だった。「この先100m」とある。車が看板の前に横付けされていて案内板がよく読めないが、なぜか杉良太郎の名前が書かれている。樹齢千年の杉であることはわかった。戦陣に出る武士がこの杉に一矢を放って、武勲を祈ったようだ。どうも杉良太郎の方がメインになっている気配だが、ここでは敢えて記すこともあるまい。

(こんなのが置かれていて)


(矢立の杉)


 下って行くと、二人連れが上がって来た。あの車の方だろう。挨拶をする。もうだれもいない。先ずは歌碑と地蔵。これが杉良太郎がらみ。脇にゼンマイ式音声ガイドがあって、ハンドルを20回すと、音声ガイドとメロディーが鳴るようになっているのだが、やってみると反応なし。「防犯カメラ作動中」と記されているから、それ以上の巻き上げはしなかった。
 巨大な杉だった。中は空洞。根の周囲14.8m、本体9m、樹高16.5mとある。途中で折れているらしいが、下からでは見えない。周囲にも杉の木はあるが、なぜか巨木はこれだけ。下は沢が流れている。

(遊歩道へ)


(石仏)


(三軒の茶屋跡? 石碑だか顕彰碑が置かれている)


(こんなのもあった)


 車道歩きに復帰するかと入口に戻る。そこにあった案内図を目にした。なんだ、ここから沢沿いに遊歩道があるんじゃないか。途中に庚申塔、三軒の茶屋跡、明治天皇御野立所跡とかいうのもある。矢立の杉に戻って、遊歩道を歩く。
 庚申塔には気づかなかったが石仏があった。そして明治天皇云々の碑と石垣。ここが茶屋跡だろう。木のベンチが置かれ、日向になっていたのでここでランチをとることにした。ランチとはいってもおにぎり2個とオニオンスープだけの簡素なものだ。デザート代わりにタバコをふかしてゆっくりする。

(そろそろ遊歩道も終わりのようだ)


(車道に出た)


(左斜面をショートカット)


 気持ちのよい遊歩道だったが、そう長くは続かない。車道に合流。もう見る物はない。まただれかがやった跡が残ったところをショートカット。20号線まで1.7kmの標識。遊歩道を選んだせいか、さほどに長くは感じない。

(こんなところに出てしまった)


 ショートカットはこれでおしまいではない。大きく湾曲しているところを素直に歩くつもりはない。植林の中に入り込む。作業道のようなものを見つけては下へ下へと追う。人家が見えてくる。嫌な気配。やはりフェンスがあった。だが心配は不要だった。物置のようなものが見え、そこの脇からスルーできた。

(石碑を見て)


(閑散とした里。テレビの音が聞こえてきた)


(駐車場に到着)


 県道に復帰すると、ほどなくして今朝ほど方向違いに来てしまった新田下のバス停を通過。車道歩きを長く感じることもなく駐車場に到着した。他に車はない。健脚の単独氏は結局どういうコースを歩いたのだろう。

 今日は雲量情報に惑わされながらの歩きだったが、結果的に笹雁山から絶景の富士山を眺めることができて幸いだった。次はどこからの富士山を眺めようか。ぶなじろうさんと雪田爺さんが行かれた百蔵山の、街並みも見える富士山の姿も見てみたいし、秀麗富嶽にこだわらずに、地味な道志方面の山もいいかなと思ったりしている。

(本日の軌跡)

「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(地名・公共施設)、数値地図250mメッシュ(標高)、数値地図50mメッシュ(標高)及び基盤地図情報を使用した。(承認番号 平24情使、 第921号)」

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