◎2020年10月18日(日)
鳥居峠(9:22)……篭山(9:32)……駒ヶ岳(10:24)……黒檜山(11:12~11:28)……黒檜山登山口(12:40)……覚満淵入口(13:11)……鳥居峠(13:28)
東北シリーズの4回目の記事をまだ出していないが、赤城山の紅葉記事を記憶が新しいうちに書いてしまおうと、こちらを先行してアップすることにした。
16日金曜日に赤城山に行かれた方が、「赤城山の紅葉は見頃」と、当日のうちにアップしている記事を見た。今回は遠出はせず、近場で済ますことにし、山の選択に迷っていたところだったので、この直近情報で18日は赤城山に行くことにした。翌日の17日は用事がいくつかあったので、終日の雨は自分には幸いだった。
朝起きて、犬の散歩に出かけると、やけに霧が濃い。山はどうしようかとグズグズ思案して、出発が遅れたことが災いした。上武国道に入ると、赤城山がすっきり見えた。ちょっとあせった。男体山、谷川連峰、浅間山は白くなっている。
案の定、赤城山はハイカーと行楽客の車でごった返していた。途中の姫百合駐車場も満車だった。前日の雨が影響していることは確かだ。ビジターセンターの駐車場は満車。鳥居峠まで行って何とか駐車できた。当初の予定コースは、ビジターセンターに車を置いて、先ずは駒ヶ岳に行き、紅葉は期待できそうもない黒檜山には行かずに鳥居峠に下る。それから長七郎山から地蔵岳を回って、ビジターセンターに戻るというものだった。出発が遅くなってしまったのでは、この周回は時間的に無理。鳥居峠まで来た以上は、取りあえず篭山経由で駒ヶ岳に行ってみる。その後は、歩きながら考えよう。
(鳥居峠から篭山。見るからにこの先を期待した)
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(覚満淵)
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(そして駒ヶ岳。ちょっとすすけた感じになっている)
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(篭山への途中で)
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(本日の直近撮影に耐えられた黄赤。これとてかなり痛んでいる)
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(そして篭山山頂。その奥は長七郎山方面になる)
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篭山には行ったことがない。過去に、ガスの中を鳥居峠から篭山に向かおうとして踏み跡を失い、あらぬ所を歩いてようやく踏み跡を見つけ、そのまま利平茶屋から駒ヶ岳に向かう道に導かれてしまった。今回はガスもなく、テープを追って行くと、大石の間を縫う形にはなったが、すんなり10分ほどで篭山に到着した。逆の駐車場側にも踏み跡は続いていたから、脇ではなく直に登れる踏み跡もあるのだろうが、山頂そのものに魅力はまったくなく、それを確認する気にはなれない。途中、きれいな黄赤の葉に出会ったから、それはそれで、出だしから幸先は良いなとこの先を期待したのだが。
(昔の言葉で記せば「半官半民」といった具合だ)
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(青空があるから救われているといった印象があった)
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(利平茶屋からの尾根。確かに、今、盛りなりの雰囲気だが、眼前の茶色の葉はもう枯れて落ちそうだ)
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駒ヶ岳らしきピークが見えた。山肌はきれいだ。これでいくと紅葉も見頃ということになる。それでいて、自分の歩いている周辺は、色づきはまだなかったり、あったとしても焼けていたり、きたない色の葉だったりして、足を止めて、見とれるものはない。利平茶屋から上って来る尾根にしても、ちらりと右手に見える限り山肌はきれいで、そちらから見るこちらの尾根もまた、きれいに見えているのかもしれない。まだるっこい言い方だが、つまりは、全体を見る分にはきれいだが、個々を見たら大してきれいではないということになりそうだ。
少しばかり、先の期待がしぼんでしまった気分で登っていると、上から結構、下って来る。決まって二人組で、利平茶屋からの尾根に合流するまでに10人とは会った。上りは自分だけ。まだ10時だ。そのまま鳥居峠に下って、長七郎山に向かうのだろう。
(遠くから見る分には確かに見頃かも)
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(赤も加わる)
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(間もなくに駒ヶ岳の登山口からのコースに入り込んだ)
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(駒ヶ岳コースとの合流ポイントから)
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利平茶屋の尾根に合流。汗をかいたので、ウインドパーカーを脱いだ。それでも暑い。シャツが厚手だった。昨日は寒かったから、その感覚で出かけて来ていた。
登るに連れて、葉の色づきが悪くなっていく。やはり遠目で見る分にはきれいだが、間近できれいだと思うのはない。その状態で、駒ヶ岳登山口からのコースに合流した。ベンチには親子三人が腰かけている。だれもいなかったら、ここで早速、一服している。素通り。何となく明るさが乏しくなった気がして、見上げると、まだ青空ではあるが、雲が多くなってきている。嫌な空模様だ。
(振り返ると長七郎山。アップで)
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(アップにしないと小沼が見えた)
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(小沼をアップにすると、その周辺の山肌はきれいになっている)
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階段を登って振り返ると、小沼が見えた。そして、左に長七郎山。あちらもまた山肌の紅葉は確かにきれいだ。きれいに見えているのは、その上には雲はかかってはいるが青空があるからだろう。やはり、紅葉には青空が付き物か。だが、雨が降ってはいても、間近に真っ赤なモミジに接することもある。紅葉素人には何とも言えない。雲は次第に広がり、色の濃い雲も入り出してきた。
(近寄らずに見ている分には、腹八分の紅葉だ。別に大盛を食べたいとは思ってもいなかったし)
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(奥が駒ヶ岳。手前の色づきが良かった)
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(進行右斜面の紅葉)
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(大沼。雲が下に降りてきているのがわかる)
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(そして駒ヶ岳。こちらの青空は雲に隠れている)
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左手には大沼も見えている。そのうちに大沼すら見えなくなるのではと、色づきを感じる葉の写真を無理に撮りまくる。しつこいが、その色づきとて接写には耐えられない。
話は前後するが、前を単独のオニイチャンが歩いていて、これがまた弱い。靴は真新しいから、もしかするとかけ出しなのかもしれないが、ジジイのオレよりも遅い歩きをして、真後ろにオレがいるのを気づいていながら、先に譲ろうとしない。それどころか、下るハイカーに道を譲っては待機の繰り返し。その下りハイカーの数が半端ではない。グループで来ていれば、中にはノロマもいる。待機しながらいらついた。よほどに、ヤブをこいで先行しようかと思ったが、大人げないのでそれはやめた。仕方なく、どうでもよいような風景写真を撮っては間を開けるが、すぐに追いつく。そして先行を譲らない。こんなのもいるんだなと思えばいいことだ。こんな調子で駒ヶ岳に着いた。
(黒檜山に向かう。ここから見る限りはまだきれいな紅葉だ)
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(近寄らずに撮る)
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(地蔵岳の方を見ると、もう濃い灰色の雲になっている)
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すでに青空は消え、どんよりした空になっていた。これでは、鳥居峠に戻って長七郎山に登っても、見頃の紅葉は期待できまい。むしろ、紅葉見物はあきらめ、ただのハイキングとして、定番コースで黒檜山に行った方が無難かもしれない。少し休んで黒檜山に向かう。すると、前を歩くハイカーはさっきまでのオニイちゃんで、同じパターンになってしまった。青空は消えているし、もう投げやりな気分になっているから、オニイチャンに合わせることにした。
(当初からこの先は期待できまいと思っていたが、まさにこんなものだ。発想を変えれば、それでも色づきはあったのかということにはなる)
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(同じく。上が青空だったら、少しはましだったかも)
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すごい数のハイカーが逆方向から歩いて来る。やはり紅葉目当てなのだろう。マスクをしたハイカーの姿が目立つ。こちらはむきだしのまま。若者の着用率が高い。赤城山ではマスクが正解だろう。その後、黒檜山に行って、さらにそれを納得することになる。
マスクついでにいつもの横道話。昨日のこと。月一回で通院しては持病の処方箋を出してもらっている。昨日はその予約日だった。朝起きると寒気がして鼻水が出た。体温は平熱。こちらは軽い気持ちで、医院でついでに風邪薬も出してもらおうと思った。ドラッグストアで買うよりも安上がりだし。ところが、医院の受付でその旨を伝えると、すぐに外に出され、体温を測られ、以降は車内でのタブレット診察、精算になった。コロナ感染者扱いを受けて不愉快だった。それでいて、しっかりと来月の予約をとらされた。だが、これで終わりではない。薬局に向かうと、医院から連絡が入っていたのだろう。薬局のオヤジにいきなり「手を消毒してから入ってください」と怒鳴られた。いつもは無駄口を叩く愛想のよいオヤジだ。処方箋だけ渡して、また外で薬をもらって精算。お世辞の「お大事に」すら言わなかった。こういうご時勢では当たり前かもしれないが、不快さだけが残った。コロナ差別というのがあるそうだ。陽性になって、家族ならともかく、それ以外の人にも知られたら、たとえ陰性に戻っても、ずっとそういう目で見られる。「人の噂も七十五日」と言うが、コロナだけは終息するまで差別され続けるだろう。結局、帰りがけにドラッグストアで風邪薬を買い、それを服むことにし、処方された風邪薬はのまなかった。今度、明らかに風邪の症状が出て熱もなかったら、絶対に病院には行くまい。屈辱を味わうだけだ。横道のグチが長かった。
大タルミを過ぎると、天気はもう絶望的になった。雨は降るまいが、また晴れに戻ることはないだろう。それどころかガスが下りてきた。やはり、自分には赤城山の紅葉には縁がなさそうだ。以前から、この時季に合わせて来ては、見頃のタイミングから外れていた。見頃に来ても天気が悪かったりしていた。行く山とスポットが悪いのか、もしかして赤城山の紅葉は、あまり近づかず、遠くから眺めて楽しむものなのか…。
(黒檜山山頂。これだもんなぁ)
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(三角点は荷物置場になっている)
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(絶景スポットに移動してもこれだった)
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(絶景スポットから。何も見えない)
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(オサラバですね)
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花見ヶ原キャンプ場分岐を過ぎて黒檜大神。どんどんハイカーが増え、大沼からのコースを合わせると、混雑に近い状態の山頂に到着した。こんな過密な山頂にいるわけにもいかず、さっさと絶景スポットに向かう。そこもまた静かなスポットではなくなっていて、かろうじて石祠の隣に、座り心地の悪そうな石を見つけてシートを広げて座り込んだ。一服つけたいところだが、これでは無理。菓子パンを食べ、寒くなったのでウインドパーカーを再び着る。中国語と朝鮮語が飛び交っているのは何でだろう。あの人たちは数人でもかなりうるさい。
落ち着かない。当初から、黒檜山に紅葉は期待していなかったが、もう帰るかと腰を上げ、小黒檜山の方を見る。真っ白になっていて、何も見えなかった。やはり、山頂付近に紅葉の気配はなかった。面白くもないが、猫岩から大沼を眺め、覚満淵を通って鳥居峠に戻ることにしよう。
(下ろうにも、先がつかえている)
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(ハイカーがどんどん登って来る)
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山頂はさらに混雑していたし、大沼に下る分岐もまた先がつかえている。下るハイカーもさることながら、登って来るハイカーも続いている。自分はこの道が嫌いだ。最初から最後まで石がごろごろしていて、特に雨後の下りは滑りやすい。今日は敢えてスパ地下はやめてワークマンにしたのは、もしかすると、ここを通ることになるかもしれないと思ったからだ。だが、こんなゆっくり下ることになるのなら、スパ地下でも良かったみたいだ。下に出るまで、前後の顔ぶれはずっと同じだった。
(下りで1)
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(下りで2)
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(下りで3)
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(下りで4)
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(下りで5)
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(下りで6)
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(下りで7。かなり下でもこれだ)
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登って来るハイカーには、グループやら団体も結構いたため、どうしても、その間、こちらは待機状態になって、さっぱり先に進めなくなる。20人ほどの団体の中に、ジイサンの怒鳴り声が聞こえた。グループのバアサン一人を集中的に責めている。もっと早く歩けないのですか。さっさと上着を脱いでください!。バアサンは「まだいいです」と答えているのに、ジイサンは「そんなことはないでしょ。顔に汗かいているじゃないですか」。「じゃ、先で脱ぎます」。「ダメです。今、ここで脱いでください」。おそらく、ジイサンはこのグループのリーダー格なのだろう。紅葉を楽しめると思ってグループに加わって赤城にやって来たのに、これではバアサンが気の毒だし、自分だけ罵倒されて面目もない気持ちになっているはずだ。脇を下りながらそう思った。できるなら、バアサンをグループから外して、オレが連れて行ってやりたいくらいだ。山を歩いて、笑い声は何とも感じないが、怒鳴り声、悲しい声だけは聞きたくはない。
(猫岩から1)
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(猫岩から2)
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長い下りだったが、下に行くに連れ、一応は見られる色づきは多くなった。これも陽が出ていれば、もっときれいな部類にはなっていたかもしれないが、くすんでいるという表現が似合う葉の状態だらけだ。猫岩から大沼を見る。少しは明るくなったせいで、山肌の紅葉は見頃になっている。
(黒檜山からの下りは長かった。待ち時間が多くて、撮らなくてもいいような写真ばかりになってしまった)
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(大沼湖畔の紅葉はこれからだろうか。これを見る限りはそう思う)
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(赤城神社に行くのはやめた)
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登山口に出た。ここでガードレールによりかかり、ようやく一服ありついた。後は戻るだけだ。青空が消えているのでは、どこに行っても同じだろう。駐車場はどこもかしこも満車。赤城神社くらいは寄ろうかと思ったが、駐車場入口に車の行列ができていたのでやめた。どうも大沼湖畔の紅葉はこれからのような気もするが。
(覚満淵で1)
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(覚満淵で2)
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(覚満淵で3)
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(覚満淵で4)
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(覚満淵で5)
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(覚満淵で6)
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(覚満淵で7)
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(「鹿を追う者、森を見ず」ということわざがあるが、鹿がこれでも森はきれいに見えた)
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(鳥居峠パーキングの駐車待ち)
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晩秋の風景になってしまった覚満淵を通って鳥居峠。今度は、こちらも駐車待ちの行列になっていたが、回転は速いようだ。大方が覚満淵を眺めては移動している。そういえば思い出した。鳥居峠にはトイレがない。「ビア・バーベキューホール」なる食堂のような店はある。ここで出がけにトイレを使わせてもらおうと寄ったら、「100円」とあったのでやめた。大ではなく小の方だ。小に100円も出せない。だれも登らない篭山の途中で済ませたが、鳥居峠から歩く際には、途中の公衆で済ませた方がよいだろう。
(改めて覚満淵。冒頭の写真では青空だった)
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(長七郎山からの下って来るグループ。今日の赤城は、どこの山でも密状態だったろう。お疲れさまでした)
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何とも変てこな、天気に左右された紅葉見頃の赤城山だった。ガスが濃くても、盛りから一週間過ぎても十分に見られる東北の紅葉を味わった後だけに、何だか、スーパーのタイムサービス割引のような感じで終わってしまった。
それでいて、改めて写真を見直すと、やはりきれいだったのかなぁといった思いも出てくる。自分でもわけがわからなくなる。それが証拠に、見るほどでもない写真をやたらと入れ込んでいる始末だ。
鳥居峠(9:22)……篭山(9:32)……駒ヶ岳(10:24)……黒檜山(11:12~11:28)……黒檜山登山口(12:40)……覚満淵入口(13:11)……鳥居峠(13:28)
東北シリーズの4回目の記事をまだ出していないが、赤城山の紅葉記事を記憶が新しいうちに書いてしまおうと、こちらを先行してアップすることにした。
16日金曜日に赤城山に行かれた方が、「赤城山の紅葉は見頃」と、当日のうちにアップしている記事を見た。今回は遠出はせず、近場で済ますことにし、山の選択に迷っていたところだったので、この直近情報で18日は赤城山に行くことにした。翌日の17日は用事がいくつかあったので、終日の雨は自分には幸いだった。
朝起きて、犬の散歩に出かけると、やけに霧が濃い。山はどうしようかとグズグズ思案して、出発が遅れたことが災いした。上武国道に入ると、赤城山がすっきり見えた。ちょっとあせった。男体山、谷川連峰、浅間山は白くなっている。
案の定、赤城山はハイカーと行楽客の車でごった返していた。途中の姫百合駐車場も満車だった。前日の雨が影響していることは確かだ。ビジターセンターの駐車場は満車。鳥居峠まで行って何とか駐車できた。当初の予定コースは、ビジターセンターに車を置いて、先ずは駒ヶ岳に行き、紅葉は期待できそうもない黒檜山には行かずに鳥居峠に下る。それから長七郎山から地蔵岳を回って、ビジターセンターに戻るというものだった。出発が遅くなってしまったのでは、この周回は時間的に無理。鳥居峠まで来た以上は、取りあえず篭山経由で駒ヶ岳に行ってみる。その後は、歩きながら考えよう。
(鳥居峠から篭山。見るからにこの先を期待した)

(覚満淵)

(そして駒ヶ岳。ちょっとすすけた感じになっている)

(篭山への途中で)

(本日の直近撮影に耐えられた黄赤。これとてかなり痛んでいる)

(そして篭山山頂。その奥は長七郎山方面になる)

篭山には行ったことがない。過去に、ガスの中を鳥居峠から篭山に向かおうとして踏み跡を失い、あらぬ所を歩いてようやく踏み跡を見つけ、そのまま利平茶屋から駒ヶ岳に向かう道に導かれてしまった。今回はガスもなく、テープを追って行くと、大石の間を縫う形にはなったが、すんなり10分ほどで篭山に到着した。逆の駐車場側にも踏み跡は続いていたから、脇ではなく直に登れる踏み跡もあるのだろうが、山頂そのものに魅力はまったくなく、それを確認する気にはなれない。途中、きれいな黄赤の葉に出会ったから、それはそれで、出だしから幸先は良いなとこの先を期待したのだが。
(昔の言葉で記せば「半官半民」といった具合だ)

(青空があるから救われているといった印象があった)

(利平茶屋からの尾根。確かに、今、盛りなりの雰囲気だが、眼前の茶色の葉はもう枯れて落ちそうだ)

駒ヶ岳らしきピークが見えた。山肌はきれいだ。これでいくと紅葉も見頃ということになる。それでいて、自分の歩いている周辺は、色づきはまだなかったり、あったとしても焼けていたり、きたない色の葉だったりして、足を止めて、見とれるものはない。利平茶屋から上って来る尾根にしても、ちらりと右手に見える限り山肌はきれいで、そちらから見るこちらの尾根もまた、きれいに見えているのかもしれない。まだるっこい言い方だが、つまりは、全体を見る分にはきれいだが、個々を見たら大してきれいではないということになりそうだ。
少しばかり、先の期待がしぼんでしまった気分で登っていると、上から結構、下って来る。決まって二人組で、利平茶屋からの尾根に合流するまでに10人とは会った。上りは自分だけ。まだ10時だ。そのまま鳥居峠に下って、長七郎山に向かうのだろう。
(遠くから見る分には確かに見頃かも)

(赤も加わる)

(間もなくに駒ヶ岳の登山口からのコースに入り込んだ)

(駒ヶ岳コースとの合流ポイントから)

利平茶屋の尾根に合流。汗をかいたので、ウインドパーカーを脱いだ。それでも暑い。シャツが厚手だった。昨日は寒かったから、その感覚で出かけて来ていた。
登るに連れて、葉の色づきが悪くなっていく。やはり遠目で見る分にはきれいだが、間近できれいだと思うのはない。その状態で、駒ヶ岳登山口からのコースに合流した。ベンチには親子三人が腰かけている。だれもいなかったら、ここで早速、一服している。素通り。何となく明るさが乏しくなった気がして、見上げると、まだ青空ではあるが、雲が多くなってきている。嫌な空模様だ。
(振り返ると長七郎山。アップで)

(アップにしないと小沼が見えた)

(小沼をアップにすると、その周辺の山肌はきれいになっている)

階段を登って振り返ると、小沼が見えた。そして、左に長七郎山。あちらもまた山肌の紅葉は確かにきれいだ。きれいに見えているのは、その上には雲はかかってはいるが青空があるからだろう。やはり、紅葉には青空が付き物か。だが、雨が降ってはいても、間近に真っ赤なモミジに接することもある。紅葉素人には何とも言えない。雲は次第に広がり、色の濃い雲も入り出してきた。
(近寄らずに見ている分には、腹八分の紅葉だ。別に大盛を食べたいとは思ってもいなかったし)

(奥が駒ヶ岳。手前の色づきが良かった)

(進行右斜面の紅葉)

(大沼。雲が下に降りてきているのがわかる)

(そして駒ヶ岳。こちらの青空は雲に隠れている)

左手には大沼も見えている。そのうちに大沼すら見えなくなるのではと、色づきを感じる葉の写真を無理に撮りまくる。しつこいが、その色づきとて接写には耐えられない。
話は前後するが、前を単独のオニイチャンが歩いていて、これがまた弱い。靴は真新しいから、もしかするとかけ出しなのかもしれないが、ジジイのオレよりも遅い歩きをして、真後ろにオレがいるのを気づいていながら、先に譲ろうとしない。それどころか、下るハイカーに道を譲っては待機の繰り返し。その下りハイカーの数が半端ではない。グループで来ていれば、中にはノロマもいる。待機しながらいらついた。よほどに、ヤブをこいで先行しようかと思ったが、大人げないのでそれはやめた。仕方なく、どうでもよいような風景写真を撮っては間を開けるが、すぐに追いつく。そして先行を譲らない。こんなのもいるんだなと思えばいいことだ。こんな調子で駒ヶ岳に着いた。
(黒檜山に向かう。ここから見る限りはまだきれいな紅葉だ)

(近寄らずに撮る)

(地蔵岳の方を見ると、もう濃い灰色の雲になっている)

すでに青空は消え、どんよりした空になっていた。これでは、鳥居峠に戻って長七郎山に登っても、見頃の紅葉は期待できまい。むしろ、紅葉見物はあきらめ、ただのハイキングとして、定番コースで黒檜山に行った方が無難かもしれない。少し休んで黒檜山に向かう。すると、前を歩くハイカーはさっきまでのオニイちゃんで、同じパターンになってしまった。青空は消えているし、もう投げやりな気分になっているから、オニイチャンに合わせることにした。
(当初からこの先は期待できまいと思っていたが、まさにこんなものだ。発想を変えれば、それでも色づきはあったのかということにはなる)

(同じく。上が青空だったら、少しはましだったかも)

すごい数のハイカーが逆方向から歩いて来る。やはり紅葉目当てなのだろう。マスクをしたハイカーの姿が目立つ。こちらはむきだしのまま。若者の着用率が高い。赤城山ではマスクが正解だろう。その後、黒檜山に行って、さらにそれを納得することになる。
マスクついでにいつもの横道話。昨日のこと。月一回で通院しては持病の処方箋を出してもらっている。昨日はその予約日だった。朝起きると寒気がして鼻水が出た。体温は平熱。こちらは軽い気持ちで、医院でついでに風邪薬も出してもらおうと思った。ドラッグストアで買うよりも安上がりだし。ところが、医院の受付でその旨を伝えると、すぐに外に出され、体温を測られ、以降は車内でのタブレット診察、精算になった。コロナ感染者扱いを受けて不愉快だった。それでいて、しっかりと来月の予約をとらされた。だが、これで終わりではない。薬局に向かうと、医院から連絡が入っていたのだろう。薬局のオヤジにいきなり「手を消毒してから入ってください」と怒鳴られた。いつもは無駄口を叩く愛想のよいオヤジだ。処方箋だけ渡して、また外で薬をもらって精算。お世辞の「お大事に」すら言わなかった。こういうご時勢では当たり前かもしれないが、不快さだけが残った。コロナ差別というのがあるそうだ。陽性になって、家族ならともかく、それ以外の人にも知られたら、たとえ陰性に戻っても、ずっとそういう目で見られる。「人の噂も七十五日」と言うが、コロナだけは終息するまで差別され続けるだろう。結局、帰りがけにドラッグストアで風邪薬を買い、それを服むことにし、処方された風邪薬はのまなかった。今度、明らかに風邪の症状が出て熱もなかったら、絶対に病院には行くまい。屈辱を味わうだけだ。横道のグチが長かった。
大タルミを過ぎると、天気はもう絶望的になった。雨は降るまいが、また晴れに戻ることはないだろう。それどころかガスが下りてきた。やはり、自分には赤城山の紅葉には縁がなさそうだ。以前から、この時季に合わせて来ては、見頃のタイミングから外れていた。見頃に来ても天気が悪かったりしていた。行く山とスポットが悪いのか、もしかして赤城山の紅葉は、あまり近づかず、遠くから眺めて楽しむものなのか…。
(黒檜山山頂。これだもんなぁ)

(三角点は荷物置場になっている)

(絶景スポットに移動してもこれだった)

(絶景スポットから。何も見えない)

(オサラバですね)

花見ヶ原キャンプ場分岐を過ぎて黒檜大神。どんどんハイカーが増え、大沼からのコースを合わせると、混雑に近い状態の山頂に到着した。こんな過密な山頂にいるわけにもいかず、さっさと絶景スポットに向かう。そこもまた静かなスポットではなくなっていて、かろうじて石祠の隣に、座り心地の悪そうな石を見つけてシートを広げて座り込んだ。一服つけたいところだが、これでは無理。菓子パンを食べ、寒くなったのでウインドパーカーを再び着る。中国語と朝鮮語が飛び交っているのは何でだろう。あの人たちは数人でもかなりうるさい。
落ち着かない。当初から、黒檜山に紅葉は期待していなかったが、もう帰るかと腰を上げ、小黒檜山の方を見る。真っ白になっていて、何も見えなかった。やはり、山頂付近に紅葉の気配はなかった。面白くもないが、猫岩から大沼を眺め、覚満淵を通って鳥居峠に戻ることにしよう。
(下ろうにも、先がつかえている)

(ハイカーがどんどん登って来る)

山頂はさらに混雑していたし、大沼に下る分岐もまた先がつかえている。下るハイカーもさることながら、登って来るハイカーも続いている。自分はこの道が嫌いだ。最初から最後まで石がごろごろしていて、特に雨後の下りは滑りやすい。今日は敢えてスパ地下はやめてワークマンにしたのは、もしかすると、ここを通ることになるかもしれないと思ったからだ。だが、こんなゆっくり下ることになるのなら、スパ地下でも良かったみたいだ。下に出るまで、前後の顔ぶれはずっと同じだった。
(下りで1)

(下りで2)

(下りで3)

(下りで4)

(下りで5)

(下りで6)

(下りで7。かなり下でもこれだ)

登って来るハイカーには、グループやら団体も結構いたため、どうしても、その間、こちらは待機状態になって、さっぱり先に進めなくなる。20人ほどの団体の中に、ジイサンの怒鳴り声が聞こえた。グループのバアサン一人を集中的に責めている。もっと早く歩けないのですか。さっさと上着を脱いでください!。バアサンは「まだいいです」と答えているのに、ジイサンは「そんなことはないでしょ。顔に汗かいているじゃないですか」。「じゃ、先で脱ぎます」。「ダメです。今、ここで脱いでください」。おそらく、ジイサンはこのグループのリーダー格なのだろう。紅葉を楽しめると思ってグループに加わって赤城にやって来たのに、これではバアサンが気の毒だし、自分だけ罵倒されて面目もない気持ちになっているはずだ。脇を下りながらそう思った。できるなら、バアサンをグループから外して、オレが連れて行ってやりたいくらいだ。山を歩いて、笑い声は何とも感じないが、怒鳴り声、悲しい声だけは聞きたくはない。
(猫岩から1)

(猫岩から2)

長い下りだったが、下に行くに連れ、一応は見られる色づきは多くなった。これも陽が出ていれば、もっときれいな部類にはなっていたかもしれないが、くすんでいるという表現が似合う葉の状態だらけだ。猫岩から大沼を見る。少しは明るくなったせいで、山肌の紅葉は見頃になっている。
(黒檜山からの下りは長かった。待ち時間が多くて、撮らなくてもいいような写真ばかりになってしまった)

(大沼湖畔の紅葉はこれからだろうか。これを見る限りはそう思う)

(赤城神社に行くのはやめた)

登山口に出た。ここでガードレールによりかかり、ようやく一服ありついた。後は戻るだけだ。青空が消えているのでは、どこに行っても同じだろう。駐車場はどこもかしこも満車。赤城神社くらいは寄ろうかと思ったが、駐車場入口に車の行列ができていたのでやめた。どうも大沼湖畔の紅葉はこれからのような気もするが。
(覚満淵で1)

(覚満淵で2)

(覚満淵で3)

(覚満淵で4)

(覚満淵で5)

(覚満淵で6)

(覚満淵で7)

(「鹿を追う者、森を見ず」ということわざがあるが、鹿がこれでも森はきれいに見えた)

(鳥居峠パーキングの駐車待ち)

晩秋の風景になってしまった覚満淵を通って鳥居峠。今度は、こちらも駐車待ちの行列になっていたが、回転は速いようだ。大方が覚満淵を眺めては移動している。そういえば思い出した。鳥居峠にはトイレがない。「ビア・バーベキューホール」なる食堂のような店はある。ここで出がけにトイレを使わせてもらおうと寄ったら、「100円」とあったのでやめた。大ではなく小の方だ。小に100円も出せない。だれも登らない篭山の途中で済ませたが、鳥居峠から歩く際には、途中の公衆で済ませた方がよいだろう。
(改めて覚満淵。冒頭の写真では青空だった)

(長七郎山からの下って来るグループ。今日の赤城は、どこの山でも密状態だったろう。お疲れさまでした)

何とも変てこな、天気に左右された紅葉見頃の赤城山だった。ガスが濃くても、盛りから一週間過ぎても十分に見られる東北の紅葉を味わった後だけに、何だか、スーパーのタイムサービス割引のような感じで終わってしまった。
それでいて、改めて写真を見直すと、やはりきれいだったのかなぁといった思いも出てくる。自分でもわけがわからなくなる。それが証拠に、見るほどでもない写真をやたらと入れ込んでいる始末だ。