◎2022年2月12日(土)
榛名富士は四年前に骨折した際、手術の二か月後に紅葉見物目的で下から登っている。左足の左右の踝にはチタンプレートが固定されたままで、帰路の下りがとてつもなく恐ろしかった。紅葉見物もあったし、コースタイムをかなりオーバーした。その一週間前に松葉杖で地元の金山に登っていて、最初のリハビリ歩きは金山になるが、上の駐車場からの歩きだからハイキングどころか城址めぐりのようなもので、むしろ金山は榛名富士に行くための準備歩きのようなものだった。榛名富士では松葉杖は使わなかったがストックには頼りっぱなしだった。
楽そうな雪山歩きをしたい。10日の降雪でどこの山もさぞ積もっているだろう。また赤城山では芸がなく、子持山、小野子山ではどうも…。そうなると残るは榛名山となる。本音は水沢山だった。混んでいるかもと榛名湖側にしたわけだが、予定では榛名富士だけで終わらすつもりはなく、せめて烏帽子岳と鬢櫛山、もしくは掃部ヶ岳を加えるつもりでいた。実は、榛名山にした理由はまた別のところにもあり、それは後で記す。
榛名湖を行き先にし、一般道経由でナビをセットしたら、なぜか榛名神社経由ではなく箕郷から七曲峠経由になっていた。その時は何とも思わずにナビに従ったが、県道とはいってもカーブの多い林道のような細い道で、対向車どころか前後にも車は走っていない。そして人家が切れるとほどなく雪道になり、雪の下は凍結している。アイスバーン状のカーブもいくつかあった。上りだったからまだしも、下りだったら、自分の運転では確実に事故を起こす。目的地のビジターセンターに着いた時には、ここまでの運転だけでかなり神経を消耗した。帰りはどうすんだい。晴れて路面の凍結が緩んでいるうちに下らないと、曇って冷え込んできたらかなりやばい。
(榛名富士。見るからに登るにはあっけない感じ)
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(登山口標識)
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(明瞭なトレース)
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雪で狭くなった駐車場には車が7~8台。その大方は観光客で、時間的に昨晩は伊香保か榛名湖温泉にでも泊まったのか。バックで駐車しようとしたら、後輪が何かに乗り上げたようで、車から出て回ってみると雪の塊だった。二人連れが榛名富士に登って行く姿が見えた。雪の量を見て靴を決めるつもりでいたが、結局、赤城山と同じく無難にスパイク長靴にした。この長靴選びは帰着まで何ら問題はなかった。9時45分出発。
積雪は意外に多かったがトレースはしっかりとある。感じからして、昨日、今日と合わせて10人は歩いているような気配。中にはピストンの方もいるだろう。ここのコースそのものはやさしくて楽だ。水沢山のように直登に近い登りを強いられるわけではなく、傾斜の緩い長短の巻きを繰り返しての登りになる。楽なはずなのにすぐに息が上がった。言い訳だが、鼻血出し以来、体調は元に戻っていない。一か月前の健診結果が数日前に届いた。幸いにも便潜血はなかったが、前年比体重-5kg、胴回り-5cmはさもありなんと思ったものの、血液検査項目の数値には基準値範囲外マークの※印がやたらと付いて、要精密検査になっていた。昨日も、献血に行ったら、事前検査でヘモグロビン数値が基準値に届かず、献血すらできなかった。こんなのは初めてのこと。健診結果よりは高い数値にはなっていたから、徐々に回復していると思いたい。これを息切れ、疲労感の理由にしたいが少しばかり無理がある。間もなく恒常的な立ち休み続きになり、かなり下に見えている二人組に抜かれるのも時間の問題だろう。見上げても、自分の到着時に出発した二人連れの姿はすでにない。
(休みながら榛名湖を見る。登山道から榛名湖のすっきりした景色は見えない)
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(上のロープウェイ駅)
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(鳥居の先の階段は雪かきされている)
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(冨士山神社、ここの「冨」は「富」ではない。こだわりやら由来が違うのか)
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(山頂から相馬山。この山が一番目立つ)
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(三角点が雪に埋もっている)
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(掘り起こしたつもりでいたが)
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林が切れて青空が見え出した。ようやく山頂のようで、ロープウェイ乗り場の屋根も見えてくる。振り返っても追い上げて来ているはずの二人組の姿は見えず、抜かれずに済んだことだけでもほっとした。この先は抜かれてもいい。
雪でロープウェイは運休かと思っていたら間引きながらも動いていて、駅舎から山頂の冨士山神社までの階段の雪は払われている。山歩きスタイルではない観光客8人ほどに出会った。三角点が雪に隠れていて、それを出そうとして足で堅い雪を払い、頭が出たのでそれを写真に収めたが、四年前の10月に撮った写真を見ると、標石と思っていたのは三角点を囲んでいる石の一つに過ぎなかった。
山頂まではちょうど一時間を要した。骨折後の復帰歩きでの58分とは大差ないが、いくら降雪時とはいえ、この体たらくではどうしようもない。ちなみに夏道コースタイムは45分で、ラッセルしたわけでもなく、山歩きには不向きじゃないのと言われても返す言葉はない。これでは、この先の烏帽子岳やら掃部ヶ岳は夢のまた夢で、地図を見直す気分すら起きなかった。反対側に下って、湖畔の道をとぼとぼ帰るだけのこと。今さら考えてみれば、二週間前に荒山、鍋割山に登れたこと自体が不思議になってくる。ハイトスさんに肩押しされたからなのか。
(長居は無用。雪で腰をかける場所もない。下る)
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(二人連れを追い越したら、今日の足跡はなく、薄い窪みだけになった)
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(二ツ岳。紅葉の時期と違って、こんな真っ白な景色の中を歩いていても面白くもない)
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(反対側の登山口に出た)
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神社に参拝し、脇から反対側に下る。トレースは上りの半分の幅になった。ということは、やはりピストン歩きが多いのだろう。今日、歩いているハイカーはいるようだ。新しい足跡が続いている。ここでようやくストックを2本出す。さすがにストックで雪の具合を確認しながら歩かないとこけるか踏み抜きしかねない。
前を下っている二人連れ。女性が一眼レフで何が珍しいのか雪そのものの写真を通っている。出でしに見かけた二人連れだ。後ろから来る気配を察してか、先行させていただいた。この先、本日の足跡はなくなった。昨日までの窪みのトレースが続いているだけだ。不可解に大回りしているところもあるが、外れてズボリと太腿まで入り込んではたまらないので、そのトレースに合わせて下る。雪はヒザまでくる。
トレースだけを追い、周囲は雪の疎林で、間からたまに烏帽子岳や鬢櫛山が覗くくらいで、同じような風景が続き、すぐに飽きた。こうなると、とてつもなく長く感じながら、ようやくゆうすげ元湯の宿が見え、登山口の標識のあるところに出た。さすがに四年前に比べたら6分早い37分とはいえ、その四年前は足の具合もさることながら、紅葉を見ながらの下りだったから相応の時間もかかった。記したくもないが、コースタイムは30分だ。ここでストックは収納。
(榛名湖。「氷上立入禁止」の看板が置かれていた)
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(ここからは湖畔遊歩道歩き)
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(昨日までの足跡も数人分)
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(確かに全面凍結ではないからワカサギ釣りも禁止だ)
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(右の炊事場でようやく乾いた石を見つけて休む)
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(駐車場到着。雪で狭くなり、駐車スペースは3列が2列になっていた)
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湖畔沿いに歩道を歩くことにする。車が通っているから、車道歩きの方が楽ではあるが、歩道がある以上はそれだけは避けたい。車道とて、二本のうちの一本は通行止めになっている。この遊歩道だが、トレースはさらに薄くなったものの、導きのロープが張られたり、杭があったりするし、足跡も残っているから迷うことはない。
今季の榛名湖の氷上ワカサギ釣りは中止らしい。何でも氷の張りが悪いとか。確かに遊歩道沿いの岸寄りでは氷が浮いた状態になっているところがほとんどだ。どこからともなく正午を知らせるオルゴールが聞こえてきた。
この遊歩道歩きもまた気分的に長かった。キャンプ場のバンガローが見えたあたりで炊事場の竈の石に腰かけて菓子パンを食べた。そしてポットのお湯でスープを飲む。身体は暖まったが、石の冷たさが腰に伝わってきて、早々に切り上げた。
観光客が増えていた。氷上歩きも一部は開放されているらしく、何人か遊んでいる。出発から休憩込み2時間半の歩きで車に戻った。とにかく疲れた。疲れたわりにはあまり面白い歩きでもなかったなと、車の中でアイコスを吸いながら思い、己の不甲斐なさにもため息が出た。半ば鼻血のせいにしているが、考えてみれば、こんな歩きがずっと続いている。なまじ山歩きに飽きてきていればちょうどいいタイミングということにもなるが、そうではないから困ったものなのだ。
【榛名神社「瓶子の滝」】
榛名富士を選んだ理由の一つがこの新聞記事。2月8日付けの毎日新聞。コロナの拡大以降、県内の山歩き、滝見物が主になり、その歩きネタに新聞記事を使うことが多くなった。「瓶子の滝」というのを見たかった。名瀑と呼べるほどの滝でもなく、まして観光滝というレベルでもない。前回、水の流れる氷結の不動滝を見たから、こんどは完全な氷瀑を見たかったというだけのこと。ミーハーといわれればそれまでだが、ツアーに参加してまで見に行きたがる人もいる雲竜瀑と比べれば、規模は違えど、距離とアイゼン以外に違うものはなく、ミーハーレベルで劣っているとはいえまい。行けない負け惜しみかもしれないが。
(新聞記事)
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榛名神社に向かう県道は、榛名湖から離れてからは凍結もしていず、来る時の県道と違って、道幅もあり、カーブで対向車が来ても余裕でブレーキを踏めた。この時季、来た時の県道は二度と使うまい。
榛名神社には35年前に掃部ヶ岳に登った帰りに寄ったことはあるが、記憶として残っているのは門と石段と人混みだけ。神社に改めて入るつもりはなかったが、案内図板を見ると、瓶子の滝は神社の境内にある歩道を行くようだ。神社の中に入ると、やたらとカップルが目に入った。榛名神社は縁結びの由来でもあるのだろうか。長年連れ添った夫婦といった感じのしない中高年のカップルもいる。三連休だ。大方は、この後に近くの温泉に泊まりに行くのだろう。
神社の中を適当に歩き、奥の院に行く前に歩道に入り込む。そして眼前に瓶子の滝が見えた。なるほど、これが瓶子の滝か。見事に氷瀑になっている。見上げる。山斜面の沢の上部に水が流れている気配はない。まぁ新聞ネタになるほどの見事な氷瀑とはいえる。巨大なツララにも見える。これが夏場の滝だったらどんな水瀑なのか興味はあるが、わざわざ、これだけが目的で来る観光滝でもないだろう。
さらに奥まで行き、堰堤のツララを見て、おかしな格好をした岩も見た。その先の雪の上に足跡は続いていない。榛名湖に出るらしいが、もういいだろう。その間にカメラレンズのキャップを落としたのに気づいた。戻ろうかと思ったがスペアもあるはず。面倒なので拾いにはいかなかった。ゴミになることは承知の上だが、あまり歩きたくなかった。
戻って、奥の本殿まで行く。特に感慨は出なかった。ここまで来たのだし、滝も見たからもういいだろう。帰路に就く。
(榛名神社の入口)
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(三重の塔は後回し)
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(瓶子の滝が見えた。小柄な氷瀑としてはちょうどいい具合だ)
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(正面右寄りから。下の枝がジャマ)
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(上に水の流れは見えない)
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(大きな氷の塊といった感じだ)
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(堰堤の水も凍っていた。上に変な形の岩が見える)
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(ツララ群)
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(つづら岩。他にも撮ったがいずれもボケていた。ここで戻る)
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(もう一度正面から)
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(鞍掛岩。わかりづらいが、アーチ橋状の岩になっている)
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(歩き疲れた。帰る)
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榛名神社を歩いていた時から、下半身に痛みを感じていた。筋肉痛を感じるには年齢的に早過ぎるとは思ったが、歩き方が悪いのか、榛名神社が広くて結構歩いたからすぐに痛みが出たのかもしれない。高崎市内に入ると、信号のあたりが悪くなり、それがずっと太田まで続いた。きりなくクラッチを踏む左足が攣り出し、途中、コンビニの駐車場に寄って、足の屈伸をする始末だった。
榛名富士は四年前に骨折した際、手術の二か月後に紅葉見物目的で下から登っている。左足の左右の踝にはチタンプレートが固定されたままで、帰路の下りがとてつもなく恐ろしかった。紅葉見物もあったし、コースタイムをかなりオーバーした。その一週間前に松葉杖で地元の金山に登っていて、最初のリハビリ歩きは金山になるが、上の駐車場からの歩きだからハイキングどころか城址めぐりのようなもので、むしろ金山は榛名富士に行くための準備歩きのようなものだった。榛名富士では松葉杖は使わなかったがストックには頼りっぱなしだった。
楽そうな雪山歩きをしたい。10日の降雪でどこの山もさぞ積もっているだろう。また赤城山では芸がなく、子持山、小野子山ではどうも…。そうなると残るは榛名山となる。本音は水沢山だった。混んでいるかもと榛名湖側にしたわけだが、予定では榛名富士だけで終わらすつもりはなく、せめて烏帽子岳と鬢櫛山、もしくは掃部ヶ岳を加えるつもりでいた。実は、榛名山にした理由はまた別のところにもあり、それは後で記す。
榛名湖を行き先にし、一般道経由でナビをセットしたら、なぜか榛名神社経由ではなく箕郷から七曲峠経由になっていた。その時は何とも思わずにナビに従ったが、県道とはいってもカーブの多い林道のような細い道で、対向車どころか前後にも車は走っていない。そして人家が切れるとほどなく雪道になり、雪の下は凍結している。アイスバーン状のカーブもいくつかあった。上りだったからまだしも、下りだったら、自分の運転では確実に事故を起こす。目的地のビジターセンターに着いた時には、ここまでの運転だけでかなり神経を消耗した。帰りはどうすんだい。晴れて路面の凍結が緩んでいるうちに下らないと、曇って冷え込んできたらかなりやばい。
(榛名富士。見るからに登るにはあっけない感じ)

(登山口標識)

(明瞭なトレース)

雪で狭くなった駐車場には車が7~8台。その大方は観光客で、時間的に昨晩は伊香保か榛名湖温泉にでも泊まったのか。バックで駐車しようとしたら、後輪が何かに乗り上げたようで、車から出て回ってみると雪の塊だった。二人連れが榛名富士に登って行く姿が見えた。雪の量を見て靴を決めるつもりでいたが、結局、赤城山と同じく無難にスパイク長靴にした。この長靴選びは帰着まで何ら問題はなかった。9時45分出発。
積雪は意外に多かったがトレースはしっかりとある。感じからして、昨日、今日と合わせて10人は歩いているような気配。中にはピストンの方もいるだろう。ここのコースそのものはやさしくて楽だ。水沢山のように直登に近い登りを強いられるわけではなく、傾斜の緩い長短の巻きを繰り返しての登りになる。楽なはずなのにすぐに息が上がった。言い訳だが、鼻血出し以来、体調は元に戻っていない。一か月前の健診結果が数日前に届いた。幸いにも便潜血はなかったが、前年比体重-5kg、胴回り-5cmはさもありなんと思ったものの、血液検査項目の数値には基準値範囲外マークの※印がやたらと付いて、要精密検査になっていた。昨日も、献血に行ったら、事前検査でヘモグロビン数値が基準値に届かず、献血すらできなかった。こんなのは初めてのこと。健診結果よりは高い数値にはなっていたから、徐々に回復していると思いたい。これを息切れ、疲労感の理由にしたいが少しばかり無理がある。間もなく恒常的な立ち休み続きになり、かなり下に見えている二人組に抜かれるのも時間の問題だろう。見上げても、自分の到着時に出発した二人連れの姿はすでにない。
(休みながら榛名湖を見る。登山道から榛名湖のすっきりした景色は見えない)

(上のロープウェイ駅)

(鳥居の先の階段は雪かきされている)

(冨士山神社、ここの「冨」は「富」ではない。こだわりやら由来が違うのか)

(山頂から相馬山。この山が一番目立つ)

(三角点が雪に埋もっている)

(掘り起こしたつもりでいたが)

林が切れて青空が見え出した。ようやく山頂のようで、ロープウェイ乗り場の屋根も見えてくる。振り返っても追い上げて来ているはずの二人組の姿は見えず、抜かれずに済んだことだけでもほっとした。この先は抜かれてもいい。
雪でロープウェイは運休かと思っていたら間引きながらも動いていて、駅舎から山頂の冨士山神社までの階段の雪は払われている。山歩きスタイルではない観光客8人ほどに出会った。三角点が雪に隠れていて、それを出そうとして足で堅い雪を払い、頭が出たのでそれを写真に収めたが、四年前の10月に撮った写真を見ると、標石と思っていたのは三角点を囲んでいる石の一つに過ぎなかった。
山頂まではちょうど一時間を要した。骨折後の復帰歩きでの58分とは大差ないが、いくら降雪時とはいえ、この体たらくではどうしようもない。ちなみに夏道コースタイムは45分で、ラッセルしたわけでもなく、山歩きには不向きじゃないのと言われても返す言葉はない。これでは、この先の烏帽子岳やら掃部ヶ岳は夢のまた夢で、地図を見直す気分すら起きなかった。反対側に下って、湖畔の道をとぼとぼ帰るだけのこと。今さら考えてみれば、二週間前に荒山、鍋割山に登れたこと自体が不思議になってくる。ハイトスさんに肩押しされたからなのか。
(長居は無用。雪で腰をかける場所もない。下る)

(二人連れを追い越したら、今日の足跡はなく、薄い窪みだけになった)

(二ツ岳。紅葉の時期と違って、こんな真っ白な景色の中を歩いていても面白くもない)

(反対側の登山口に出た)

神社に参拝し、脇から反対側に下る。トレースは上りの半分の幅になった。ということは、やはりピストン歩きが多いのだろう。今日、歩いているハイカーはいるようだ。新しい足跡が続いている。ここでようやくストックを2本出す。さすがにストックで雪の具合を確認しながら歩かないとこけるか踏み抜きしかねない。
前を下っている二人連れ。女性が一眼レフで何が珍しいのか雪そのものの写真を通っている。出でしに見かけた二人連れだ。後ろから来る気配を察してか、先行させていただいた。この先、本日の足跡はなくなった。昨日までの窪みのトレースが続いているだけだ。不可解に大回りしているところもあるが、外れてズボリと太腿まで入り込んではたまらないので、そのトレースに合わせて下る。雪はヒザまでくる。
トレースだけを追い、周囲は雪の疎林で、間からたまに烏帽子岳や鬢櫛山が覗くくらいで、同じような風景が続き、すぐに飽きた。こうなると、とてつもなく長く感じながら、ようやくゆうすげ元湯の宿が見え、登山口の標識のあるところに出た。さすがに四年前に比べたら6分早い37分とはいえ、その四年前は足の具合もさることながら、紅葉を見ながらの下りだったから相応の時間もかかった。記したくもないが、コースタイムは30分だ。ここでストックは収納。
(榛名湖。「氷上立入禁止」の看板が置かれていた)

(ここからは湖畔遊歩道歩き)

(昨日までの足跡も数人分)

(確かに全面凍結ではないからワカサギ釣りも禁止だ)

(右の炊事場でようやく乾いた石を見つけて休む)

(駐車場到着。雪で狭くなり、駐車スペースは3列が2列になっていた)

湖畔沿いに歩道を歩くことにする。車が通っているから、車道歩きの方が楽ではあるが、歩道がある以上はそれだけは避けたい。車道とて、二本のうちの一本は通行止めになっている。この遊歩道だが、トレースはさらに薄くなったものの、導きのロープが張られたり、杭があったりするし、足跡も残っているから迷うことはない。
今季の榛名湖の氷上ワカサギ釣りは中止らしい。何でも氷の張りが悪いとか。確かに遊歩道沿いの岸寄りでは氷が浮いた状態になっているところがほとんどだ。どこからともなく正午を知らせるオルゴールが聞こえてきた。
この遊歩道歩きもまた気分的に長かった。キャンプ場のバンガローが見えたあたりで炊事場の竈の石に腰かけて菓子パンを食べた。そしてポットのお湯でスープを飲む。身体は暖まったが、石の冷たさが腰に伝わってきて、早々に切り上げた。
観光客が増えていた。氷上歩きも一部は開放されているらしく、何人か遊んでいる。出発から休憩込み2時間半の歩きで車に戻った。とにかく疲れた。疲れたわりにはあまり面白い歩きでもなかったなと、車の中でアイコスを吸いながら思い、己の不甲斐なさにもため息が出た。半ば鼻血のせいにしているが、考えてみれば、こんな歩きがずっと続いている。なまじ山歩きに飽きてきていればちょうどいいタイミングということにもなるが、そうではないから困ったものなのだ。
【榛名神社「瓶子の滝」】
榛名富士を選んだ理由の一つがこの新聞記事。2月8日付けの毎日新聞。コロナの拡大以降、県内の山歩き、滝見物が主になり、その歩きネタに新聞記事を使うことが多くなった。「瓶子の滝」というのを見たかった。名瀑と呼べるほどの滝でもなく、まして観光滝というレベルでもない。前回、水の流れる氷結の不動滝を見たから、こんどは完全な氷瀑を見たかったというだけのこと。ミーハーといわれればそれまでだが、ツアーに参加してまで見に行きたがる人もいる雲竜瀑と比べれば、規模は違えど、距離とアイゼン以外に違うものはなく、ミーハーレベルで劣っているとはいえまい。行けない負け惜しみかもしれないが。
(新聞記事)

榛名神社に向かう県道は、榛名湖から離れてからは凍結もしていず、来る時の県道と違って、道幅もあり、カーブで対向車が来ても余裕でブレーキを踏めた。この時季、来た時の県道は二度と使うまい。
榛名神社には35年前に掃部ヶ岳に登った帰りに寄ったことはあるが、記憶として残っているのは門と石段と人混みだけ。神社に改めて入るつもりはなかったが、案内図板を見ると、瓶子の滝は神社の境内にある歩道を行くようだ。神社の中に入ると、やたらとカップルが目に入った。榛名神社は縁結びの由来でもあるのだろうか。長年連れ添った夫婦といった感じのしない中高年のカップルもいる。三連休だ。大方は、この後に近くの温泉に泊まりに行くのだろう。
神社の中を適当に歩き、奥の院に行く前に歩道に入り込む。そして眼前に瓶子の滝が見えた。なるほど、これが瓶子の滝か。見事に氷瀑になっている。見上げる。山斜面の沢の上部に水が流れている気配はない。まぁ新聞ネタになるほどの見事な氷瀑とはいえる。巨大なツララにも見える。これが夏場の滝だったらどんな水瀑なのか興味はあるが、わざわざ、これだけが目的で来る観光滝でもないだろう。
さらに奥まで行き、堰堤のツララを見て、おかしな格好をした岩も見た。その先の雪の上に足跡は続いていない。榛名湖に出るらしいが、もういいだろう。その間にカメラレンズのキャップを落としたのに気づいた。戻ろうかと思ったがスペアもあるはず。面倒なので拾いにはいかなかった。ゴミになることは承知の上だが、あまり歩きたくなかった。
戻って、奥の本殿まで行く。特に感慨は出なかった。ここまで来たのだし、滝も見たからもういいだろう。帰路に就く。
(榛名神社の入口)

(三重の塔は後回し)

(瓶子の滝が見えた。小柄な氷瀑としてはちょうどいい具合だ)

(正面右寄りから。下の枝がジャマ)

(上に水の流れは見えない)

(大きな氷の塊といった感じだ)

(堰堤の水も凍っていた。上に変な形の岩が見える)

(ツララ群)

(つづら岩。他にも撮ったがいずれもボケていた。ここで戻る)

(もう一度正面から)

(鞍掛岩。わかりづらいが、アーチ橋状の岩になっている)

(歩き疲れた。帰る)

榛名神社を歩いていた時から、下半身に痛みを感じていた。筋肉痛を感じるには年齢的に早過ぎるとは思ったが、歩き方が悪いのか、榛名神社が広くて結構歩いたからすぐに痛みが出たのかもしれない。高崎市内に入ると、信号のあたりが悪くなり、それがずっと太田まで続いた。きりなくクラッチを踏む左足が攣り出し、途中、コンビニの駐車場に寄って、足の屈伸をする始末だった。