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Channel: たそがれオヤジのクタクタ山ある記
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素麺滝から鳴虫山に向かってみたが、この時期に歩くにはかなりしんどかった。

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◎2016年2月12日(木)

憾(含)満ヶ淵公園駐車場(8:05)……素麺の滝(9:03)……餅洗の滝(9:27)……銭沢不動尊分岐(10:36)……化星の宿(11:27)……合峰(12:26)……引き返しポイント(12:43)……合峰(12:57)……食事(13:23~13:40)……925m峰(13:50)……含満ヶ淵(14:34)……駐車場(14:44)

 瀑泉さんから「冬の『素麺の滝』は素晴らしい」とご推奨をいただいた。折しも、スパ長<岩礁80>を購入して以来、本格的な使用は諸々の理由で先送りしていただけに、沢と雪の組み合わせといったシチュエーションでは本来の威力を発揮するのではと、そろそろ本番使用を図るべく、そのご推奨にのってみることにした。

(そのスパ長・岩礁80。別にニッカを履いているわけではない。自然こうなる)


 使わずにいた諸々の理由とはいってもたいしたことではない。その辺のホームセンターで売っているスパ長に比べて格段に値が高い。そのため、泥を付けたくない、舗装道でピンをすり減らしたくないといったレベルのもので、これでは宝の持ち腐れ。ただ、試し履きをした際の不安が2つほどあった。足の甲の部分の隙間が若干広いことと、ふくらはぎ部分に余裕があり過ぎるのではといった懸念だ。これは、いずれもみー猫さんの足向きだということでもあるが、やばいところを歩いていて脱げでもしたらまずいので、場所を選んで履くようにしようと、たかがスパ長とはいえ、都度の使用には慎重になってもいた。
 さて、その素麺滝だが、ご推奨元の瀑泉さんの記録を確認しようとしたが、当初見つけられず、これって、もしかして、瀑泉さんは行かれたことがないので、素麺滝の様子を見て来いという暗示なのかなといぶかった。瀑泉さんは「見そこなった」とも記されていた。しかし、調べると、ななころびさんの素麺滝には体験付きのコメントは入れていらっしゃる。「ヤキバ沢」を検索してようやく見つかった。2回の訪問記録があった。些細なところにちょっとばかり腑に落ちないものが残った。
 ともあれ、素麺滝記事をいろいろと頭の中に入れ込んで出かけたつもりだが(現地に着くと半分以上消えていた)、大方は無積雪期だ。今は当然、雪もある。行くに際してのそれなりの不安はある。

 さて、この素麺滝だが、後日談として、瀑泉さんのご推奨は、この日光ヤキバ沢の「素麺の滝」ではなく、那須スッカン沢の「素簾の滝」だったといったオチが入る。この時点では素晴らしい素麺滝を見られると、疑いもせずノコノコと出向いているのである。

(今日の装備)


 含満公園の駐車場で準備をしていると、埼玉ナンバーの車がやって来た。鳴虫山にでも行かれるのかなとオジサンに尋ねると、含満ヶ淵の撮影にいらしたようだ。ワカン、ストック、ピッケルをザックに括り付ける。アイゼンには用がない。結果として、今日はこれらをすべて使った。

(ここに至るまで右往左往して時間を費やした)


(ガード下でワカンを付ける)


 現地の状況に疎く、最初からつまずいた。まずはヤキバ沢ではなく、手前東側の沢に向かってUターン。ヤキバ沢らしき沢が見えたが、下にはフェンスを越えないと下りられないし、かなりの高さがある。古い墓地の外を行ったり来たり。回り込むかと、並び地蔵に下ったがダメ。この時、例のオジサンは地蔵の撮影にすでに入っていて、怪訝な顔をこちらに向けてきた。出発から15分近くも経っている。ようやく、沢に沿うそれらしき道型を見つけたが、雪は深く、ヒザやや下までくる。場所によってはヒザを越える。トレースなんぞの気の利いたものはなく、ここしばらくはだれも歩いていないのが歴然だ。ツボ足のままで日光宇都宮道路のガード下まで行った。こんな雪の深いところを歩くのなら、さっさと沢に下りてしまいというものだが、沢には堰堤もあってままならないようだ。
 ガード下には雪はなく、ここでワカンを付けた。ワカンは久しぶりで、どう結わくのだったっけと手こずった。ついでにピッケルも出す。

(ゲートがあった。越える)


 ワカンの効果はなかった。雪の表面は緩く、下の雪も締まっていない。相変わらずズボズボとぬかってしまう。ちっとも先に進まない。ゲートを越える。ふと人の気配を感じて振り向くと、首にタオルを下げたオジサンがやって来た。最初、さっきの撮影のオジサンがここまで来たのかと思ってしまったが、別のオジサンだった。これなら心強くもある。あわよくば、オジサンの後を付いて行こうか。ただ、見え透いた態度はとらないように注意しないと。なお、オジサンからは後で名刺をいただいた。それに記されたメールアドレスに「yamakichi」とあったので、オジサンのこと、以降、山キチさんと記す。
 あてが外れて、山キチさんは自分のずっと後方を歩いたままだ。自分がおかしなところを歩いていたのだろう。今、左岸側を歩いているが、山キチさんから大声がかかった。右に上がれば歩道に出るよと。上がってみる。確かに歩道の道型はあった。そのまま行くと、沢に出た。もうワカンには用事はない。ここからは沢通しに行くことにしよう。ワカンを外す。いくらか楽になるだろう。

(堰堤)


(左岸側に山キチさんがいた。暗くて見えづらいか)


 雪で全容は見えないが、荒れた感じの沢だ。間もなくツララの垂れ下がった堰堤が現れた。右から越える。そしてまた沢に下りる。引き続きの堰堤。これも右から。雪の中では越えるだけで体力を使う。沢は雪だらけで、たまに見えない深みもある。雪をこぐのが嫌で沢に下ったが、楽でもなんでもない。雪で隠れた倒木も多く、むしろ面倒な歩きになってしまった。
 いつの間にか山キチさんが左岸から右岸側に移って歩いている。きっと歩道跡がまだ続いているのだろう。あそことて、雪が深いだろうがまだましかも。雪に覆われた次の堰堤を見て、沢を歩いているのがアホくさくなった。ヤブをくぐって、左岸から右岸に抜けた。岩礁80の威力を確認しただけのことだった。これとて、ホームセンターのスパ長でも十分のことで、威力といったほどのことでもない。

(素麺滝一段目。山キチさんは沢用語で「F1」とおっしゃっていた。その筋の方なのだろうか)


(一段目。上から)


(手前一段目と奥二段目)


 一旦、右岸側には出たが、やはり沢が恋しく、沢に戻って不器用に雪の付いた石伝いに行くと素麺滝(一段目)に着いた。凍ってはいるが、水の流れはこの時期としては強そうだ。すでに左岸側の高見に出て写真を撮っている山キチさんからお話をいろいろとうかがった。この滝はご常連らしい。以降、山キチさんの後ろを付いて歩くようになる。一段目と二段目は両方ともに視界に入る。

(二段目)


(左斜面から注ぐ沢。まだらでよくわからない)


 続いて二段目。この滝は、足尾の仁田元沢支流の一か八か沢で見た滝に似ている。雪がなかったら、あっさりと登れそうな小滝だ。山キチさんによると、ここに右岸側に流れ込む滝が例年なら氷瀑になって見事だそうな。それらしき面影を確認しただけ。チョロチョロと水が流れている。
 ここまでの感想だが、沢そのものが雪に覆われ、滝もまたこじんまりとしたものになっている。自分には、素晴らしい滝が続いているようにはどうも思えない。決して、瀑泉さんのお言葉を揶揄しているものではない。やはり、水量の多い初夏の頃か紅葉の時にでも見ておくべきだろう。

(三段目)


(四段目)


(五段目?)


 三段目。これは見ていてもよくわからない。出ている素肌は黒いイボイボで、鬼太郎に出てくる妖怪にも似ている。揖保素麺滝と言ったら面白くもない駄洒落になる。ヤマキチさんは、左岸の岩場(雪の下はそうなっていると思う)をすいすいと越えて行った。合図で自分も登ったが、結構苦戦した。拠り所の立木が遠かった。そして四段目。脇で写真を撮る山キチさんと比較して4mほどか。まぁ、これなら素麺滝の良さもわかるか。
 以上で、素麺滝は終わり。これじゃ、改めて来るしかないな。この時期の滝の良さも、比較があってこその話だ。今日は、その下見に来たような感じになってしまった。
 上流に行くと、もう一つ滝があった。階段状の滝だ。これもまた素麺滝シリーズの一つなのだろうか。

(餅洗の滝)


 沢が二分する。水流の多い方に入ると、ちょっとばかりナメ床になり、正面に滝が見えてきた。「餅洗の滝」と記された錆びたプレートが樹にかかっていた。ここは日陰で暗く、滝の全体像がよくわからない。滝の手前にこんもりした雪の塊りがあった。山キチさんが前に来た際に、ここにケルンを積んだということだ。そのケルンが雪をかぶっている。
 これで、本日の目的の滝見物は終わった。どうだったかと問われたら、まぁ今日は下見ですからという返答になる。実のところ、ここの連瀑を堪能した気分にはなれなかった。

 この先の予定は決めていなかった。せいぜい、このまま下ったのでは早いし、合峰から897m標高点に続く尾根に出て、銭沢不動尊に下ろうかと漠然と思っていた。山キチさんは、いつもここでゆっくり休んでから行動再開ということで、合峰に出て鳴虫山を回って下られるとのこと。山キチさんからは、銭沢不動尊への下りルートを教えていただいた。自分もそこは通ったことはあるので問題はないが、例年よりも少ない積雪とはいえ、この雪でどうだろうか。いずれにしても、目の前の尾根にまずは上がらないといけない。ここで山キチさんと別れる。その際、名刺を頂戴した。山キチさんも埼玉からいらしたようだ。

(とり敢えずの尾根を歩く。取り付いて、ペースが安定するまできつかった)


(トラバースして尾根を乗り換える)


 斜面を斜めに尾根上に向かう。樹に「一の宮屋根→鳴虫山」のプレートがかかっている。この一の宮尾根というのは、この目の前の尾根のことなのか、いずれ合流するメインの尾根のことなのだろうか。
 尾根に乗ると、沢をはさんで隣にも尾根があった。まさか、そっちに行けというわけではないだろう。このまま尾根伝いに右に登る。やせ気味の傾斜のきつい尾根だった。ここもこれまで同様にヒザまでぬかる。相変わらず進まない。すぐに平らになったところで休んだ。ピッケルをザックに結わえ、ワカンを再び装着。そしてストックを出す。出だしから雪質は同じままだ。意味のないことだとわかってはいても、両手両足を使うから、いくらかは安定して歩けるような気持ちになる。以降、この格好で合峰まで3時間近く歩くことになる。振り向くと、樹間に男体山と女峰山、赤薙山が大きく見えている。
 このまま尾根を登りきるのもつらく、どうせ左方向に行くのだろうからとトラバースして次の尾根に乗り換える。合流点には赤テープがあった。そして、ようやく、今日初めてトレースを見かけた。トレースとはいっても一人分のワカンのうっすらとした窪みで、それに乗ってみると、これまで同様にズボズボとなった。目印にはなる。このワカン跡、時折消えては合峰の下まで続いていた。近日中のものではない。

(合峰だろうか。窪みが続いている)


 シカの足跡も加わっては消えて行く。合峰が正面に見えてくる。この先どうするか、まだ決めかねているが、こんなに遅々とした足取りでは、途中から銭沢不動尊に下った方が賢明だと思うようになっている。以前歩いたはずの合峰直下の急登区間のことはすっぽりと頭から消えている。覚えていたら、合峰を目指すはずもないことだが。
 今日は風もない。日なたは暖かい。そろそろ汗が出てきた。今のところ岩礁80に不具合はない。懸念材料の一つ、甲の隙間部は、足も冷たくなるだろうとさらに履いたネオプレーンソックスで厚めにして解消し、もう一つのふくらはぎ部の余裕は、サポーターを巻くことでカバーしようと思ったが、ヒートテックの下着と厚手のズボンを履いたら払拭した。上隙間からの雪の進入も今のところない。ヤキバ沢を歩いていて腿まで水に突っ込んだことがあったが、さっと上げたためか、水の進入もなかった。

(まだ遠い)


(日光の街が見える)


 黙々と雪をこいでいる。分岐はまだかまだかと思ったところでようやく銭沢不動の標識が出てきた。ここまで一時間もかかった。ここから下るつもりでいたが、この標識の矢印はここまでの辿った尾根の方向を向いている。そんなはずはない。まして、正しい方向のはずの左手にはこれもまた古いワカン窪みが付いている。明らかに標識の向きが間違っている。ここから銭沢不動尊までは、途中から尾根を外れて沢沿いになるはずだ。しっかりしたルートを覚えているわけではない。まして、この雪具合だ。安全に下れる自信もない。間違った標識を見て不安になってしまった。一番確実なルートはやはり合峰か。これなら尾根伝いに行けるし、その先にはトレースもあるだろう。その方が安全確実ではないのか。
 合峰に向けて下る。左手には日光の街並みが見えている。次第に膝越えが頻発し出す。ワカンでこの有り様だ。やはり雪の状況だ。ワカン跡に踏み抜いたようなものはない。上りになった。

(ワカン履きでこんな感じ)


(北東尾根)


 いつの間にか合峰北東尾根に乗り移っていた。白い雪の上の赤テープは目立つ。テープ頼りに歩いているところもあって、方向を変えたのに気づかなかった。
 しばらくはなだらかな傾斜が続き、ラッセルもどきの歩行はつらいが、合峰までの我慢と思えば気分も少しは楽になる。合峰ピークも近づいている。右手の斜面を小動物が走って行った。リスだった。先日の破風山に続きの2回目だ。以前は山でリスを見ることはなかった。

(化星の宿の石祠)


 そろそろかなと思っているところで化星の宿の石祠が見えてくる。土台は隠れている。雪の中のこれを見たかった。少し休む。菓子パンを食べ、水を飲む。水はかなり冷たくなっている。そして4本目のタバコ。山キチさんはどうしたろう。まったくお姿が追いついて来ないのだが。自分はかなりのちんたら歩きをしている。
 徐々に急になってきた。ワカンで踏んだ跡が、これまではそのまま埋もれるだけだったのが、雪の表面にひび割れが出来るようになった。まさか、雪崩でも起きたりしないだろうな。灌木が続き、ストックがひっかかって歩きづらくなる。

(これを越えると)


(先は急斜面になっていた)


 やがて見上げるほどの急斜面になった。上には岩のようなものがある。距離もあり、ここを登るのはきつそうだ。左右、どちらか巻けやしまいかと覗くが、尾根直登で行くしかないようだ。小幅で登る。ワカンでも滑る。ストックを入れても固定感がなく、つかめる樹はつかんで登った。雪の付いた斜面は見た目以上に急だ。途中で下を見ると、最早、降りるには危険が伴うような状況になっていた。足を上げてワカンが重なった時にはひやりとした。ここは、ワカンを外してピッケル頼りに登るべきだったか。今さら着替えができるスポットはない。登山靴、アイゼン、ピッケルの組み合わせだったとしても、この雪では同じようなものだろう。

(目の前の岩。悩みもせずに右を越えていればよかった)


(左側に張られたロープ)


(見下ろす。下るのはご容赦を)


 岩の真下まで到達した。問題はこの岩越えだ。右からすんなり行けそうで、直前までそのつもりでいたが、ここで左に余計なものを見てしまった。ロープが張ってあった。見失っていたワカンの窪みもそちらにあった。ここは、あれを使えば、右よりも楽勝ではないのか。恐々と、岩の下を右から左に移動し、ロープをつかんだ。瞬間、ほっとした。
 楽勝のはずが大苦戦だった。ワカンで岩に乗りかかると、岩の雪が落ち、さらに、ロープの動きで岩の姿が出てきた。これは登り上がるのがきつい。上の障害も多い。ここまで来たからには、うまく越えるしかあるまい。がむしゃらにロープ頼りに腕力で岩の上に出た。一息ついたところで下を覗き込む。これは、素手では絶対に下れないなぁ。ロープを使わない限りとんでもないトラブルにまみれるだろう。こうなるのなら、無理にでも銭沢不動が良かったか。

(いやな予感がしたがやはり次の急登があった)


 ともあれ、急場をしのいだのだから、後は合峰までわずかと思って歩を進める。ほっとした歩きになっている。このままで合峰まで行けるだろうなと安心していたら、また急登になった。


(ようやく終わった。戻りたくはない)


 ここは、夏道の空間の左右に雑木が続いている。傾斜はさっきより少しはましだが、尾根幅が狭くなっている。左下は急斜面で、右手の灌木をつかみながら登った。これもまた長く感じる。ストックはすでに手のひらから離れ、手首から垂れたままになっている。しがみつきの登りだ。後で知ったが、ここにもロープが張られていたようだ。これには気づかなかった。
 抜け出した。ようやく落ち着いた。ここもまた、見下ろすと恐ろしげだ。もう三度目はないだろう。慎重に登ると、左に鳴虫山の山頂稜線が見え、銭沢不動の標識が出てくる。今度の向きは正しく、これまでの修行(あるいは試練か)の道を指している。この時期の、この標識は恐怖への誘いにしか見えない。

(合峰到着)


 そして、前にロープ張りが見え、乗り越えると合峰に出た。
 これまでの苦労が信じられないような光景だった。しっかりとしたトレースが左右に続いていた。何だよ、これ反則だよといった感じ。ここを戻れとでも言われたら、ロープを持っていたら下りもしようが、持っていなかったら示談金でごまかしたいくらいだ。
 話が執拗になるので、このうろたえぶりはこれで終わる。ワカンを外す。ヒモが凍り付いて、ライターであぶった。ついでに水を飲んで一服。だれもいない。今日は、あの山キチさん以外にこの先もお会いするハイカーはだれもいなかった。ここで少しほっとした。北西に下るコースにトレースがなかったら、鳴虫山まで行き、トレースのままに下るしかないだろう。またトレースのないところを下るのはご勘弁と思っていただけに、北西にしっかりしたトレースが付いているのにはほっとした。

(明瞭トレースを辿って鳴虫山に向かうが)


 気を良くして、鳴虫山に向かった。トレースがあるだけで、何とこんなに気分も楽なものだか。

(鳴虫山を眺めて戻った)


 いい陽気だなと思いながら歩いている。4月の残雪歩きをしている感じだ。稜線脇の雪の付いていない斜面には春の気配すら感じる。鳴虫山は正面に見えている。だが、ルンルンとした気分はここまでだった。あの山頂、今の自分にはかなりしんどそうに見えた。合峰から下って登ってここまで来た。その先には下りの鞍部があって、そこから40mほどの登り返しだ。もう、やめよう。予定外に合峰まで来たのだから、もういいだろう。まして、あそこで足を攣ることにでもなったら元も子もない。引き返すことにした。

(合峰の石祠)


 合峰に戻ってまた一服。山キチさんのお姿は依然として見えない。下の急斜面で手こずっているのだろうか。そろそろ出発するか。含満ヶ淵までは2.4kmとある。

(下る)


 危なげなところはどこもなかった。しっかりしたトレースが付いている限りは、強いて言えば、念のため軽アイゼンとストックをお持ちくださいといったレベルだ。ところどころに木の階段はあるようだが、大方は雪で隠れている。その脇にトレースが続いている。往路でもそうだったが、ここから見える男体山方面の景色も、木立ですっきりしないままだ。残念ながら最後まで、白いきれいな山並みを拝むことはかなわなかった。

(ここで食事にする。次回はノコギリを持参したい感じだ)


 ここの北西に下るコースは、自分には初めて歩いたコースかもしれない。樹林帯というか、植林の中の歩きが多いコースで、あまり好きな部類ではないが、ぽっかり開けたところがに出て、陽があたっている。ここで昼食としよう。雪を踏み固め、シートを広げてカップうどんを出す。山専ボトルとはいっても、熱湯も大分冷えてしまい、麺は固いまま。ここもまた良いロケーションなのに樹の枝が景色を邪魔にする。

(925m独標)


(このコースは、こういったところの歩きが多い)


 下って登ると925m独標。さて、地図の破線路は、ここから西に向かうはずだが、そちらにはロープが張られ、踏み跡すらない。道標も道なりになっている。ロープの先は急斜面か崩壊なのだろう。無理に下って合峰直下になってはたまらないのでここは素通りする。

(林道だろうか)


(そろそろ終わり)


 そろそろ終盤に近づいてきた。植林のクネクネ下りになる。急なところもある。幾分平らになり、林道の道型がクロスする。トレースは突っ切っている。そしてまたまた道型に出た。
 コースはしぶとく続く。破線路の出口に合流しているはずだが、それらしき入口は確認できなかった。もうヤブの中だろうか。柵が左に見え、正面に鉄塔。ようやく終点だ。気温は5℃だが、日なたの雪はだいぶ緩くなっている。
 ガード下で案内図板を眺めていると、ようやくハイカーに出会った。こちらの背中に結わえたピッケルとワカンが目に付いたのだろう。鳴虫山はその装備でないと行けませんかと聞かれた。ご当人は、外山に登られ、探索ついでにこれからやしおの湯に行かれるとのことだった。

(並び地蔵。不思議にここは首欠けがほとんどない)


(含満ヶ淵)


(公園に並べられたキャンドル)


 含満ヶ淵に出て並び地蔵を見ながら帰る。<日光キャンドルページェント2016>という催しがあるのは事前に知っていた。この辺もライトアップされ、花火大会もあるようだ。確か昨日からだったようだが、公園のテントは準備で慌ただしい様子だった。「数千個のキャンドル」と宣伝されていたが、公園を含め、目に見えるキャンドルは500個ほどだった。

 結果として、お薦めの素簾の滝ならぬ素麺の滝になってしまったが、その先も含め、いい体験をした今日の鳴虫山歩きであった。素麺の滝はいずれまた雪が無い時に見に行くつもりでいる。きっと、お手軽な短時間ハイクの滝見を楽しめるかと思う。

※後日、山キチさんからメールをいただいた。無事に合峰に出られ、鳴虫山、神ノ主山経由で下山されたとのこと。実は、失礼ながら、遭難でもと思い、ちょっと調べたりしてしまったが、ご無事で何よりです。お会いした時のお話は小出しのものだったが、今回のルートは35回目、この時期としては10回程歩かれているとのこと。その他、山行歴も少し記されていらしたが、雲竜渓谷黒岩滝から女峰山に出られたこともあるようで、本も出していると付記されていた。なかなかの猛者でいらっしゃるようだ。こういう方とお会いできたのも、瀑泉さんの誤記のおかげとも言えるだろうか。

(本日の軌跡)

「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(地名・公共施設)、数値地図250mメッシュ(標高)、数値地図50mメッシュ(標高)及び基盤地図情報を使用した。(承認番号 平24情使、 第921号)」

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