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Channel: たそがれオヤジのクタクタ山ある記
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改めてヒライデ沢から前袈裟丸山。きついヤブこぎは想定外であったが。

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◎2015年9月5日(土)─ハイトスさん
折場登山口(7:02)……入渓(7:17)……伐採地(8:03)……沢終点(10:08)……登山道合流(11:10)……前袈裟丸山(11:17~11:56)……小丸山(12:41)……折場登山口(14:13)

 目覚ましでたたき起こされた。頭がガンガンし、立ち上がると身体がふらついた。昨夜、家で飲み過ぎた。完全な二日酔い。いつもの一人歩きなら寝なおしでヤメとなるパターンだが、今日はハイトスさんがお連れだ。折場登山口で7時の待ち合わせ。よほど断ろうかと思ったが、二日酔いでキャンセルというのもどんなものだろう。まして、今日は久しぶりの好天が約束されてもいる。歯を磨いたら吐き気がし、トイレに入ると何も出ない。頭がぼうっとしたまま折場登山口に向かった。これは明らかに酒気帯び運転だろう。

 ハイトスさんのブログ記事のアップがここ一か月以上ない。どうされたのか。九州遠征には行かれたのか。気になってコメントを入れてみると、おK3さんがヒザを痛めて、山歩きから遠ざかっていらっしゃるとのこと(吾妻山にはご一緒に行かれたようだが)。でしたら今度の土曜日は天気もいいし、いかがでしょうかということになり、ハイトスさんのご予定は根本沢ということで、ご一緒しましょうかとなったのだが、ハイトスさんご自身は根本沢にさほどの執着もなく、逆に他に手ごろな沢はないかと打診され、遠出をしたくもなく、沢も大して知らない。では、ヒライデ沢から前袈裟に行ってみましょうかとなった次第。
 ハイトスさんには初めての沢だが、こちらは去年、前半の1/4程度は歩いている。このヒライデ沢、ななころびさんの沢デビューで想定していた沢なのだが、そのままになり、結局、押溜沢デビューとなった経緯もある。

 かくいう自分もまた8月は尾瀬に行っただけで、土日のほとんどが仕事やら自宅看護中の父親の様子見通いでつぶれ、さらにその父がとうとう亡くなって、葬儀が入りこんだりと慌ただしく過ぎ去り、ようやくほっとしたところではあるが、気分的には積極的に山歩きを楽しみたいといったレベルからは程遠く、突然沸いたハイトスさんとの歩き、気分転換にでもなればと楽しみにした。実は、衝動的なものなのか、なぜか猛烈なヤブこぎをしたい気分が続いていて、今回のヒライデ沢のことがなかったら、湯沢峠から燕巣山に向かうつもりでいた。ここは喪中につき、やさしい沢歩きが無難だろう。

 折場登山口には6時40分に着いた。車が1台。かろうじてトイレは途中で済ませられたが、車から出ると相変わらずふらついた。やはりダメかなと思ったが、そのうちに回復もするだろう。タバコを吸ったら、余計に気持ちが悪くなった。間もなくハイトスさんが到着し、出発。

(ヒライデ沢)


(入渓)


 すぐに右手に枝沢があった。なるほどこれか。登山道から見下ろす連瀑帯に続く沢は。堰堤を4つばかり越えて入渓。もう9月だ。水の冷たさがじんわりとくるが、すぐに慣れ、何も感じなくなった。
 水量が多いのかどうかはわからない。昨年の6月に来た折とさして変わらない。ただ、ずっと雨続きだったし、むしろ多いのかもしれない。流れに勢いもある。
 この沢の経験者だしと先行するが、すぐにハイトスさんに引っ張られる形になった。やはりハイトスさんは沢好きなんだなと感心するし、前回の押溜沢の時に比べて嬉々とした感がある。押溜沢の時は林道歩きも長かったが、ここの沢は即で入渓できるといったところもあるのだろうか。

(その1。まずは)


(その2。続いて)


(その3)


(その4。その3をアップで)


(その5。軽く巻く)


(その6。いい雰囲気の渓相)


 まずは簡単に越えられる小滝が出てくる。簡単とはいっても、自分の場合、体調がかなり不安定なままだから、ちょっとしたはずみにくらっときたらどうしようもないので、やたらと慎重になってしまった。この状態はしばらく続き、無理な滝越えはほとんどしなかった。
 次の滝、ハイトスさんもしばらく考えていたが、右からあっさり巻く。きれいな小滝が次々に現れる。水かぶりで直登もしたいところだが、水流は強い。危ういところは巻きとなる。釣り人が設置したのか、ブヨンブヨンの危ういトラロープが垂れていたりもする。前回は大きく高巻きをした滝も、よく見ると小巻きで十分に登れるのではないか。2回目ともなると、少しは冷静にもなってくる。

(その7。水勢が結構ある)


(その8)


(その9。へつるが途中であきらめて巻く。自分は最初から巻いた)


(その10)


(その11)


(その12。垂れたロープが見えている)


(その13。攀じ登る)


(その14。なかなか楽しい)


(その15。これはいい)


(その16。気持ちがいい)


 続く滝の様子をだらだらと拙く記しても仕方もないので、どうしても写真の掲載でごまかすことになる。ハイトスさんは楽しそうだし、自分もまた体調が戻りつつあり、気分が少しは良くなって、次第に楽しめるようになってきた。

(その17。左上に伐採地が広がっている。前回はここまで)


(その18。まだまだ続く)


(その19)


(その20)


 前回、前袈裟の南東尾根に向かった伐採地に着いた。ここまであっという間に過ぎた。「いやぁ、ヒライデ沢は楽しめますね」とハイトスさん。つまらないと言われたら、選んだこちらの立つ瀬がない。
 ここから先は未知だが、楽しめる小滝越えが続いていた。ナメ状の滝もある。傾斜は至って緩やかだ。つまりは大きな滝がないということでもあるが、これで存分に楽しめるのだから、これはこれでいい。

(その21。沢の二股。左に入る)


(その22。次第に細くなるが)


(その23。まだある)


(その24。流れも緩やかになる。傾斜はずっとこんな感じ)


 8時11分、明瞭な分岐。今日の予定は本流詰めだから、左の水量の多い方を選ぶ。右股の沢を登れば小丸山のかなり手前に出るのだろう。沢幅が次第に狭くなり、丸味のある大きな石がゴロゴロしてきた。だが、小滝はまだ続き、飽きることはない。大滝が一つでもあればほっとするところだが、この沢にその期待は無理だろうし、このままでもいい。要注意は、次第にヌメリで滑るようになってきたこと。
 1373m標高点付近を8時45分頃に通過。明瞭な目印のようなものはない。相変わらず地形図通りのなだらかな勾配。登山道を登るよりも、むしろ沢伝いが楽に山頂まで行けるのではないのかと思ってしまう。まだまだ楽しんでいる。

(その25。これがラストだった)


(その26。左右からササが覆うようになる)


(その27。そしてとうとうこんな感じに)


 4、5m級の2段滝を過ぎると、沢は一時的にヤブめいてくるが、水流は依然として続いている。ところどころで休んではタバコを吸って一服。汗をほとんどかかないのが不思議な程で、それでいて、体調もすっかりと戻った。自分がタバコを吸うと、ハイトスさんもつられて一服。ハイトスさん、長年の禁煙も、仕事が半リタイア状態になってからすっかりと復帰してしまったようで、それなりのストレスもおありなのだろう。

(沢の終点付近)


(右手の先に登山道があるはず)


 右手にある登山道の稜線らしき尾根が接近し、周囲の景色がなだらかになる。背丈程のササヤブが広がっている。左手前方には前袈裟か小袈裟山らしきピークが見える。さっきまで青空が覗いていたのに、今はガスの中だ。
 水流がか細くなり、それでも水流を辿る。もう変化のない水の流れになってしまった。ヤブこぎの合い間に水が見え隠れし、伏流になって消えてはまた現れる。とうとう水は消えた。本来なら、この辺から避難小屋を目指すものなのだろうが、少しでも登山道歩きを回避したい気持ちがあるので、かまわずに地形図に合わせて、沢筋を北西に向かう。
 ここで先を行くハイトスさんが突然大声を上げた。「コラッ、クマゴロウー!」(だったかなぁ)と。黒い大きな物が走り去ったとのこと。この先、要注意だ。

(明瞭な道型になっていた)


 とうとうヤブこぎになってしまった。これでは、このまま沢型を辿っても仕方がないだろう。ここは、北上して登山道に出るのが無難だろうが、道型のようなものが目に付いた。西に向かっている。これを辿ってみればどんなことになるのか。この道型、よく見ると、ササを刈った跡があり、どうもシカ道の類ではなく人為的な道のようだ。ヤブから抜け出して休憩。ここでハイトスさんは登山靴に履き替える。

(道型を拾いながら登るがやがて見失う)


(小尾根に乗るとかなりのヤブだった)


 突然現れたこの道型、いったいどこに通じているのか。戻って先の様子を見ると、どうも、北側稜線の登山道から通じているようだ。あるいはショートカットルートではないのかと辿ってみることにした。だがこの道型、小尾根に近づくと、消えてしまった。こうなるとしょうがない。小尾根伝いに前袈裟に登るしか手がない。
 きついヤブだった。腰から背丈。自分としては、ヤブこぎをしたかっただけに、待ってましたとばかりのことだったが、ハイトスさんにはどんなものだったろうか。しばらく先頭はハイトスさん。途中から、このままではハイトスさんでは気の毒で、ましてヤブへの慣れはそれ程でもないだろうからと、自然に交代となったが、その時はヤブもヒザから腰程度におさまってしまった。
 ヤブが途切れた樹の下で地図を広げる。この小尾根。やがては南東尾根(小袈裟尾根)に合流する。あそこはさほどのヤブを感じなかったから、合流までの辛抱だろう。もう少しだ。

(小袈裟尾根に合流。赤テープが見えている)


(こんな展望が待っていた)


(登山道に入る)


 赤テープが見えた。小袈裟尾根に合流したようだ。踏み跡がうっすらと見える。ここを歩くマニアックなハイカーもいるようだ。尾根伝いに登ると、トラロープが巡らされた登山道に合流した。沢の水切れからほぼ1時間のヤブこぎだった。自分にはあまり苦痛感はなく、ハプニングとしてむしろ楽しいものであった。

(前袈裟丸山に到着)


(先ずは)


(地下足袋に履き替える)


 薄いガスの中を前袈裟に向かう。むしろ登山道の歩きの方がきつく感じられるから不思議なものだ。ここでようやく汗が出てきた。ヤレヤレと前袈裟丸山に到着。5人(3人+2人)が食事、お休み中だった。
 樹の下で腰をおろしてゆっくりした。沢とヤブ、両方満喫した気分でいるから、いい気分でくつろげる。ここで沢靴を履き替える。このままの通しでもいいのだが、そろそろ靴底がすり減ってきている。その大方は林道歩きによるものだが、少しでも長持ちさせたい。どうせ下りは一般道だ。地下足袋をザックから出す。スパイクもついてない、布製でコハゼ付きの普通のクッション地下足袋。昨日、物置をごそごそやっていたら、もう5年ほど前に買ったまま履いていない地下足袋が出てきた。今日は、これを下りの足にする。親指と第2指(正確には「第二趾」と言われるらしい。つまりは人差し指のことだが)の間に、痛み止めのテーピングをする。靴下もチェンジして、これでばっちり。フィット感は抜群で極めて爽快。後は、指の間に挟まる枝葉をまめに落とせばいいだけのこと。

(後袈裟丸山)


(登山道を下る)


 食事をし、後袈裟丸山を見に行く。ハイトスさんはここからの眺めが好きだそうだ。後袈裟丸山は正面にありながら、かろうじてシルエットが覗いているだけだった。ましてや、県境尾根はまったく見えない。テント泊で皇海山に行っているかもしれないみー猫さんはあのガスの中、どういうことになっているのだろうか。晴れが保証された天気とはいっても、決して晴天を意味しているわけではないということだ。
 2人連れが先行して下る。こちらもそろそろ下山する。山頂にうだうだと40分ほどもいた。1人なら15分も持つまい。若い3人組は前橋からいらしたのか、地元の高校の話が伝わって来た。あの名門高校のご出身か。下る。ガスは切れないまま。

(色づき)


 山頂でもちらっと見かけたが、秋の色づきが始まっている。気の早い木の葉を見る限りは、あと2週間もすれば真っ赤になるのではないだろうか。ここのところ春と秋の季節感というものがなくなってきたような気がする。紅葉のタイミングを逃すと、すぐに雪になってしまいそうだ。
 下りのハイトスさんはお速い。こちらは地下足袋で足を打たないように注意して歩いているから、ついて行くのがきつい。先日の押溜沢時の下りとは大違いだ。おK3さんのヒザ痛めは、山の下りを無理すると、だれでもなりやすいとおっしゃっていたが、あのスピードを毎回やっていたら、おK3さんどころか、ご本人も危ないのではなかろうか。まして上背、体重ともにある。単独氏が登って来た。疲れているのか、ガスの景色を眺めている。

(ななころびさんのストック探し)


(避難小屋)


 押溜沢から尾根に出た際、ななころびさんがストックを紛失していた。尾根に出た時点ではお持ちだった。上がったところでストックをくまなく探してみたがやはりなかった。だれかが拾っていったのだろう。

 避難小屋で休憩。小丸山の方から話し声が聞こえる。ヘルメットをかぶった3人組が下って来た。聞けば、ヒライデ沢を登って来たとのことで、途中から別の沢に入ったのだろうが、途中に10m滝があったそうな。おかしな話だが、我々先行グループがいるようだとわかったようだが、どうやって気づいたのだろうか。今思うと、石の上に付いた濡れた足跡だろうか。3人組はここからまたヒライデ沢に下るとのこと。3人ともにガチャガチャの完全装備をしていたが、一人は女性であった。すごいものだ。

(小丸山)


(袈裟丸連峰)


(皇海山方面)


 小丸山に到着。さっきよりは視界も少しは良くなったか。鋸山と皇海山がかろうじて見える。その先は雲の中だ。12時半を過ぎているのに、前袈裟方面に向かう単独氏がいる。かなりバテ気味で、この先、どうするんだろうかと心配になってしまう。避難小屋泊まりなのだろうか。ここでまたダベって休憩。ハイトスさんは下りは快走だが、ちょっと登りになるとスピードダウンするようになってきた。こちらもそうだが、久しぶりに歩いたため、ちょっときつくなってきている。

(ここにも紅葉の気配)


 この辺の色づきも早いようだ。ちらちらと色ぼけのモミジが目に付く。ここでおかしなことに気づいた。ハイトスさんのことだ。よく鼻をかむのだが、最初はテッシュでかんでいるのかなと思っていたら、どうもそうではない。ササの葉をちり紙代わりにしていた。痛いのではと思ったが、手鼻はうまくかめないのだそうな。むしろ、自分にはササの葉は無理だろうな。

(賽の河原)


(ササダニ)


 賽の河原。ここからもう登山口まで1時間程度のものと思っていたが、標識では30分となっていた。もう終わりかとあっ気ない気がしないでもない。先行下りのお2人連れが休んでいた。我々も休む。後は下るだけだ。地下足袋もここまで一回、木の切り株に右腹をぶつけてしこたま痛かったが、それ以外のものはない。ただ、やはりスパイク付きだろうな。平らな石の上は滑ってしまう。
 ここで立ち上がると、手に動く小さなものがいた。よく見るとダニ。ハイトスさんがおっしゃるにはササダニとのこと。まだ付いてやしないかと、全身を叩いた。2人連れが下り、3人組も下って来た。我々も最後の下り。

(伐採地からの眺め)


(振り返る)


(階段を下って)


(折場登山口)


 伐採地の眺めはいい。袈裟丸の景色の中でもここは自分の好きなところだ。ここを雪のある時期に歩くと最高の気分に浸れる。階段道を下って登山口に到着。その間に2人連れを抜き、ハイトスさんにはえらく離された。お疲れさんで、着替えをしがてら東屋で休む。

 今日は沢とヤブ、両方ともに楽しんだ。一人なら安易な歩きもしていただろうし、沢も終点までは行かなかったかもしれない。その点は二人歩きの強みだ。紅葉の頃にまた訪ねたいところだが、ここばかりを歩いているわけにもいくまい。紅葉はどこでもきれいだ。沢はこれで今年は終わりになるだろう。水も日増しに冷たくなるはず。だが、沢の紅葉も体験してみたいというのが本音のところではある。
 時間は2時を過ぎたばかりだが、今日は変化のある7時間歩きを楽しんだ。これで十二分に満足した。

(本日の軌跡)

「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(地名・公共施設)、数値地図250mメッシュ(標高)、数値地図50mメッシュ(標高)及び基盤地図情報を使用した。(承認番号 平24情使、 第921号)」

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