◎2015年9月26日(土)─ハイトスさんと
赤城の名瀑・三滝を見たつもりで、実は二滝だったというのはつい数日前の話。これで済んだつもりでいたが、そうもいかなくなり、あとは冬の時期にでも再訪しようと思っていた。
ハイトスさんからメールをいただいた。「また行くのでしたら…」。天気もすっきりしないようだし、特別な予定もないので、一緒にまいりましょうとなった。小雨決行、大雨中止。予定よりもちょっとばかり早くなってしまったが、滝見も氷瀑を楽しむまでにのめり込んではいないから、まぁいいか。
大猿公園で8時の待ち合わせ。今日は、道も狭いので軽で出かけたが、軽のナビもまた先日同様に滝沢温泉経由になっていた。走った道すらすぐに忘れるから、どうしてもナビ頼りになる。結果は同じ始末。また不動滝入口前を通過して大猿公園に着いた。
ほどなくハイトスさんが到着。ナビなしで新里の方から器用にいらしたようだ。まずは不動大滝からということにしましょうか。軽で前不動の駐車場に移動。自分には戻るといった感覚だ。今日は二人ともスパ長にしているが、冬の時期にしか使用しないハイトスさんのそれは真新しい。
(ネットでおなじみの不動の滝入口)
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(すぐに前不動尊)
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駐車場に車はない。周囲はガスがかかっている。目の前にネットでよく目にする風景があった。滝めぐりマップの掲示板、火の用心の幟、ウサギ。解説板を読むと、不動大滝は落差32mとある。瀑泉さんお薦めの滝だ。百名瀑に入れてもおかしくはないとのことだが、32mではたいしたこともないのかなと思ったりする。
しっかりしたハイキングコースが続いていた。すぐに「前不動尊」の看板と石碑があった。滝沢温泉の方まで下って行くのかなと思ったが、不動さまの石像が納められた社はすぐそこにあった。
(延命猿)
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(瀧み所。忠治になったつもりで、ここから顔を出しての記念撮影なのだろう)
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(恵の瀧)
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下り気味に歩いて行く。水を手にすくう「延命猿」、国定忠治の「見張岩」、「瀧み所」を通過。「瀧み所」からちょっと下ってみたが、不動大滝は見えない。もっとも、ガスが視界に充満している。
続いて「恵の瀧」。岩の間を「霊水」がチョロチョロと流れていた。ネット記事の多くはここを枯れ滝と記してあるが、チョロチョロからして、今日は滝の水量が期待できるかも。
(下りきって滝沢不動尊)
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(石仏がずらりと並ぶ)
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(中にはこんな古いのも)
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(おかしなモニュメントの門をくぐって滝沢不動尊)
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階段を伝って「滝沢不動尊」に着いた。不動さまの石仏がずらりと並ぶ。ごちゃごちゃして異様な感がある。片手不動なる本尊を見たかったが、本堂の中を覗くと暗くて、何も見えなかった。由来の解説板には、片手、両足、火焔がばらばらになって、他の寺に納められているようなことが書かれている。寺の上の岩には石仏が2体置かれている。神社前に並んでいる石仏をよく見ると古いものもあったが、大方は近年、有力者から寄進されたもののようだ。古いのには歌のような仮名書きが刻まれている。
不動尊はここにずっとあったのか。忠治はこの辺に3か月ほど身を潜めていたらしいが、参拝客が訪れ、湯治場のあるところに安易に隠れていたというのが不思議でもある。不動尊の先に「第二の見張岩」、「忠治の岩屋」というのがあるらしいが、これはすぐに忘れてしまい、後で気づいたとてわざわざ見に行くこともなかったろう。
忠治の芝居で「赤城の山も今宵かぎり…」のシーンを思い出す。舞台では一軒家の土間でのセリフだったような気がするが、その岩屋での言葉だったのだろうか。忠治に心酔しているわけでもなくどうでもいいことなのだが気になった。
(粕川沿いに歩いて早速の小滝を見る)
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(コース案内板)
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不動大滝まで20分の案内板があった。続いて「山里いでゆのみち」。これは赤城温泉か忠治温泉につながっているのだろう。大岩の先を大滝に向かう。すでに粕川沿いになっている。普段は知らないが沢の水量は多そうだ。
コース案内図があった。山道と沢伝い、両方行けそうだ。沢伝いに行って、戻りは山道としましょうか。沢コースには手書きの×印が加筆されているけど、たいしたこともないでしょう。
(入渓)
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(こう見えても越えるのに苦労はしない。長靴で十分)
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(紅葉近づく奥入瀬といった風情かな)
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(いい感じ)
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(右手にコンクリの人工物が見えてくる)
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結構おもしろい沢ルートだった。踏み跡とかルートなんてものは当然ないから、適当に遡上する。スパ長ゆえに歩いていても楽だ。深みがあっても部分的で、簡単に対岸に越えられる。ただ、流れは速いし、大石がごろごろしていて、天気がこの状態だから、乾いているところはあまりない。
先の左岸上にコンクリートの建造物が見えた。堰堤工事でもしているのだろうか。その脇には工事用道路のようなものも見える。堰堤でも出来たら、沢コースも終わりだろう。
沢遊びの余興がまだ続く。小滝が連続する。平らな大石がいくつかあって、乗っかっているとまた気分もいい。大石の間を両腕で越えたりと。沢靴で来ていれば、もっと楽しかったろう。
(沢靴で来ればよかった…)
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(水が多いから変化に富んだ沢になっている)
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(軽妙な足運び)
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(だらだらと1)
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(だらだらと2)
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(だらだらと3)
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(だらだらと4。きりがないので終わりにしましょう)
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左・右岸側にロープが張られた山道コースが下りてきた。そろそろ終わりだろうか。入渓して20分は経っている。山道コースはまた沢から離れ、沢の先で合流した。渡渉地点にはアルミの板が渡されているが、水をかぶっている。出発地点を含め、山道コースとて、今日のような水が多い時には水没も避けられまい。
(不動大滝が見えてきた)
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(不動大滝。これはいい。豪快)
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(滝壺)
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目の前に不動大滝が見えていた。何とも豪快な滝じゃないか。断崖から轟音を立てるように強烈な水流が落ちている。これが32mか?50mにも見えるが。こうなると、滝というよりも瀑布だねぇ。この後に改めて拝見の大猿の滝がどんなものかは知らないが、回る順序を逆にすれば良かったかもしれない。
しばらく滝を眺める。ハイトスさんもいい気分でいらっしゃる。タバコによる咳き込みもピタッととまっている。マイナスイオンたっぷりとのことだが、今はガスガスだ。その効能の程はどんなものなのか。
右岸側に小さな犬小屋のようなものが見えた。見に行ったら、中にあるのは不動さまの火焔のみ。めらめらと燃えているようにも見えるが、ご本尊はどちらにお出かけか。
余談。雪田爺氏のホームページのコメントコーナーを拝見して驚いた。近頃、名瀑に変態というか狂ったカップルが出現するようだ。スッポンポンになって写真撮影やら抱擁をするらしい。状況によっては、それ以上のこともするだろう。これもマイナスイオンの効き目か?しかし、こういった衝動は、自制をしなけりゃ三百六十五日のことでもある。滝に限らず、その辺のヤブに入り込むだけで事足りる。カップルで女性がポンチョ姿の生足なら要注意ということだ。その前に男の不潔な生尻が目に入るようだ。いずれにせよ、山でも沢でも、何を考えているのかわからない不気味な輩が出入りしていることは確かなことで、ハイキング道にテープ付けまくりのオッサンだかオバチャンかは知らないが、それもまたこの類の延長だろう。この赤城の名瀑、われわれお互いのスッポンポンを撮っても致し方ない。今は至って平穏。いい滝だなぁと感動のひと時に浸っている。
それにしても、滝の前を横切る電線のようなものが何とも目障り。切り落としたくなる。電線ラインを越えると滝のしぶきをもろに受けるし、滝の全容がカメラからあふれてしまう。全景を収めようとすると、どうしても電線が入ってしまう。脇に登ると、若干の迫力不足になってしまう。写真の不味さを電線のせいにすることは可能だが。
(何とも別れがたいが)
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(山道コースを引き返す)
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(ここで終点)
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ゆっくり堪能して、引き返す。復路は山道コース。楽しみながら歩ける沢コースに比べたらあっさり短時間で歩けるが、意外に起伏はあるし、今日のような天気では泥んこになってしまうし、木のハシゴもまた滑る。沢コースに合流して終了。
不動尊への登りにかかると、下流の河原、大岩の下から煙が出ているのが見えた。何だろうと見下ろすと、二人の修験者が護摩焚きをして経をとなえていた。こんなのを間近に見るのは初めてだが、そういえば、大滝下の犬小屋の中に、梵字マークの入ったお札を置かれていたことを思い出した。修行の邪魔になっても何だしと、そそくさと立ち去る。しかし、この先の滝で倒錯したカップルがあられもない格好で撮影大会をしていたら、修験者もたまったもんじゃないだろうな。不動明王とてそちらに気をとられてしまう。
もう一度不動尊に寄って帰る。登り気味で、少々疲れるが、かく汗はすがすがしく感じる。前不動に近づくと、単独女性がやって来た。滝見ですか。ご苦労さま。大滝はこっちでいいのですよねと聞かれたから、沢コースをお勧めしたが、登山靴だったし、まずは無理があるだろう。
駐車場には他に車が2台。いずれも埼玉県ナンバーだ。修験者も埼玉県からということか。不動大滝見物に要した時間は1時間45分だった。
そのまま大猿公園に向かい、鳥居前の駐車場を通り過ぎ、先の駐車場に車を置いた。鳥居前もここも、我々の車以外はない。そうだろう。こんな天気だし、ここに着いたら霧雨になってしまった。
ここから、前回、自分が勝手に間違った前衛のニセ大猿までの道のりは省略。途中の砂地で、新しい足跡を見つけた。あるいは、不動滝の女性が、ここを先行したのだろうか。霧雨は気まぐれで降ったりやんだり。
(6日前に大猿の滝と勘違いした滝)
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(直登してみたが…)
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(結局、脇から中段に)
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前衛の滝の脇を直登してみた。中段を越えた時点で、バカな証拠に、見るとやるのとは大違いであることに気づいた。その先の一歩が踏み出せない。滝の本流に足を持って行きたいが、流れが速くそのままドボンといきそうだ。左は足の乗せ場がない。あきらめて下りるが、下りる方がこわかった。足探りで何とか下りた。今日はこんなことはもうやるまい。改めて脇から中段に出て登った。少しばかり水をかぶった。
(景気よく噴き出していた)
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(乙女の滝)
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乙女の滝は今日もまた威勢よく水を噴き出していた。こういう滝は「ひょんぐりの滝」と言うらしいが、「ひょんぐり」の意味がわからず、調べると、どこかの方言で、跳ね返すとか跳ね上がるといった意味があるそうだ。前回の印象では、岩の内部からも噴き出しているのではと思っていたが、よく見ると跳ね返りだけで、このままでいくと、水の浸食で、深くなり、さらに跳ね返りも大きくなるのではなかろうか。
(どんどんガスっていく。沢だから余計だ)
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(前回はこの辺で戻った)
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(ようやく見えてきた)
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(大猿の滝)
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(下の凹凸がゆらゆらゾンビっぽく見えなくもない)
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(180cmとの比較)
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上流に向かう。先日の撤退ポイントからさらに上、結構歩くものだなと思ったカーブの先に大猿の滝が見えた。不動滝を見た後だけにがっかりするかと思ったが、ここの滝もまた豪快だ。落差は10m程度とのことだが、素人にはもっとありそうに見える。しかし、ハイトスさんを入れた写真を見ると、比較してそんなものかもしれない。残念なことは、上に開いているグレーの空が青空だったらどんなによかったろうか。ここもまたゆっくりと堪能したが、不動滝に比べて下のスペースが狭い。水流も強く、あまり落ち着かない。
自分にはこれで四滝も済んだし、南面の滝にもう用事はない。再びということはもうないだろうが、こんな空模様とはいえがっかりせずに済んだだけでも幸いだ。そういえば、大猿の滝の看板を見ることはなかったが、沢伝いにずっと来たためだろうか。沢を巻く道でもあったのだろうか。それは確認しないままに終わった。
(あれあれっ、どこに行くの?)
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(あきらめて敗退)
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さて、帰るとするが、ハイトスさんが滝の手前右斜面に踏み跡があると言って登り出した。その時はただの調査かと思ったが、どうもそうではなく、登山道に出るつもりらしい。この上に登山道があるのだろうか。あるとしても、小峰通りの尾根に出るまで250mの標高差がある。
踏み跡は大岩の前で消えた。右には行けず、左に回り込むと、行けそうだが、急でヤセの小尾根に続いている。やめましょう。下る。下流を目指して下るが、斜面の土はもろく、そう簡単には下れない。ハイトスさんがロープを出すも、勘違いして持ってきたらしく、その長さは5mもあるかないかだ。自分も持参してはいるが、この程度では必要もないだろう。大きく巻いて小沢に出て沢に下りた。汗をかいた。もう大猿の滝は見えない。
(下る)
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(ここもいい感じの沢だ)
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(ひょんぐりを上から。六合村に「殺人の滝」というひょんぐり滝があるらしい)
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沢伝いに下る。途中、巻き道を見ては歩いてみるが、クモの巣だらけで泥んこにもなる。まして、道は不明瞭だ。沢伝いの方がずっといい。
乙女の滝を改めてみて帰途につく。予定では、この先に小峰通りに出る破線路が地図にあり、辿ってみるつもりでもいたが道型らしきものはなく、さりとてヤブの露でグッショリになりたくもなし。その計画はやめにした。
(これで本日は終わり。林道に上がる)
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(山乃家)
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(ガスの中にも紅葉を感じる)
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大さる山乃家を経由して鳥居に出る。大量のペットボトルに水を汲んでいる方がいた。風呂にでも入れるのかと思ったが、コーヒーを飲むのに使うのだそうだ。2週間ほど持つとのことだったが、あれだけ汲んでいたら、コーヒーも飽きてしまうだろう。
ハイトスさんはこれから一人、旭の滝に寄られる。つまりは4滝巡りとなる。自分はこれから深谷に用事があるが、まだ余裕だ。澳比古神社にでも行ってみよう。歩かずに車で。
今日は車の移動を含めて4時間の滝見ツアーだった。
澳比古神社のご神体はマラとホト。中を覗いてみると、さながら秘宝館といった感じだった。別に侮辱するわけではないが、こんなものでも信仰の対象になるのか、周囲に吊るされた札の願文には子供の誕生や成長を願うものが多かった。
道中、桐生の根本沢の話が出た。ハイトスさんによると、根本沢の上流には見栄えのする滝があるようだとのこと。おそらく、登山道に合流するさらに先か支流ではないだろうか。5mの魚止めの滝のことではないようだ。明日は見に行ってこようかと、準備して寝たのはいいが、朝起きると、すっかりその気はなくなっていた。短時間とはいえ、二日続きの山歩きというのも、考えようによっては億劫でもある。
※一部、ハイトスさん撮影の写真も使わせていただきました。
赤城の名瀑・三滝を見たつもりで、実は二滝だったというのはつい数日前の話。これで済んだつもりでいたが、そうもいかなくなり、あとは冬の時期にでも再訪しようと思っていた。
ハイトスさんからメールをいただいた。「また行くのでしたら…」。天気もすっきりしないようだし、特別な予定もないので、一緒にまいりましょうとなった。小雨決行、大雨中止。予定よりもちょっとばかり早くなってしまったが、滝見も氷瀑を楽しむまでにのめり込んではいないから、まぁいいか。
大猿公園で8時の待ち合わせ。今日は、道も狭いので軽で出かけたが、軽のナビもまた先日同様に滝沢温泉経由になっていた。走った道すらすぐに忘れるから、どうしてもナビ頼りになる。結果は同じ始末。また不動滝入口前を通過して大猿公園に着いた。
ほどなくハイトスさんが到着。ナビなしで新里の方から器用にいらしたようだ。まずは不動大滝からということにしましょうか。軽で前不動の駐車場に移動。自分には戻るといった感覚だ。今日は二人ともスパ長にしているが、冬の時期にしか使用しないハイトスさんのそれは真新しい。
(ネットでおなじみの不動の滝入口)

(すぐに前不動尊)

駐車場に車はない。周囲はガスがかかっている。目の前にネットでよく目にする風景があった。滝めぐりマップの掲示板、火の用心の幟、ウサギ。解説板を読むと、不動大滝は落差32mとある。瀑泉さんお薦めの滝だ。百名瀑に入れてもおかしくはないとのことだが、32mではたいしたこともないのかなと思ったりする。
しっかりしたハイキングコースが続いていた。すぐに「前不動尊」の看板と石碑があった。滝沢温泉の方まで下って行くのかなと思ったが、不動さまの石像が納められた社はすぐそこにあった。
(延命猿)

(瀧み所。忠治になったつもりで、ここから顔を出しての記念撮影なのだろう)

(恵の瀧)

下り気味に歩いて行く。水を手にすくう「延命猿」、国定忠治の「見張岩」、「瀧み所」を通過。「瀧み所」からちょっと下ってみたが、不動大滝は見えない。もっとも、ガスが視界に充満している。
続いて「恵の瀧」。岩の間を「霊水」がチョロチョロと流れていた。ネット記事の多くはここを枯れ滝と記してあるが、チョロチョロからして、今日は滝の水量が期待できるかも。
(下りきって滝沢不動尊)

(石仏がずらりと並ぶ)

(中にはこんな古いのも)

(おかしなモニュメントの門をくぐって滝沢不動尊)

階段を伝って「滝沢不動尊」に着いた。不動さまの石仏がずらりと並ぶ。ごちゃごちゃして異様な感がある。片手不動なる本尊を見たかったが、本堂の中を覗くと暗くて、何も見えなかった。由来の解説板には、片手、両足、火焔がばらばらになって、他の寺に納められているようなことが書かれている。寺の上の岩には石仏が2体置かれている。神社前に並んでいる石仏をよく見ると古いものもあったが、大方は近年、有力者から寄進されたもののようだ。古いのには歌のような仮名書きが刻まれている。
不動尊はここにずっとあったのか。忠治はこの辺に3か月ほど身を潜めていたらしいが、参拝客が訪れ、湯治場のあるところに安易に隠れていたというのが不思議でもある。不動尊の先に「第二の見張岩」、「忠治の岩屋」というのがあるらしいが、これはすぐに忘れてしまい、後で気づいたとてわざわざ見に行くこともなかったろう。
忠治の芝居で「赤城の山も今宵かぎり…」のシーンを思い出す。舞台では一軒家の土間でのセリフだったような気がするが、その岩屋での言葉だったのだろうか。忠治に心酔しているわけでもなくどうでもいいことなのだが気になった。
(粕川沿いに歩いて早速の小滝を見る)

(コース案内板)

不動大滝まで20分の案内板があった。続いて「山里いでゆのみち」。これは赤城温泉か忠治温泉につながっているのだろう。大岩の先を大滝に向かう。すでに粕川沿いになっている。普段は知らないが沢の水量は多そうだ。
コース案内図があった。山道と沢伝い、両方行けそうだ。沢伝いに行って、戻りは山道としましょうか。沢コースには手書きの×印が加筆されているけど、たいしたこともないでしょう。
(入渓)

(こう見えても越えるのに苦労はしない。長靴で十分)

(紅葉近づく奥入瀬といった風情かな)

(いい感じ)

(右手にコンクリの人工物が見えてくる)

結構おもしろい沢ルートだった。踏み跡とかルートなんてものは当然ないから、適当に遡上する。スパ長ゆえに歩いていても楽だ。深みがあっても部分的で、簡単に対岸に越えられる。ただ、流れは速いし、大石がごろごろしていて、天気がこの状態だから、乾いているところはあまりない。
先の左岸上にコンクリートの建造物が見えた。堰堤工事でもしているのだろうか。その脇には工事用道路のようなものも見える。堰堤でも出来たら、沢コースも終わりだろう。
沢遊びの余興がまだ続く。小滝が連続する。平らな大石がいくつかあって、乗っかっているとまた気分もいい。大石の間を両腕で越えたりと。沢靴で来ていれば、もっと楽しかったろう。
(沢靴で来ればよかった…)

(水が多いから変化に富んだ沢になっている)

(軽妙な足運び)

(だらだらと1)

(だらだらと2)

(だらだらと3)

(だらだらと4。きりがないので終わりにしましょう)

左・右岸側にロープが張られた山道コースが下りてきた。そろそろ終わりだろうか。入渓して20分は経っている。山道コースはまた沢から離れ、沢の先で合流した。渡渉地点にはアルミの板が渡されているが、水をかぶっている。出発地点を含め、山道コースとて、今日のような水が多い時には水没も避けられまい。
(不動大滝が見えてきた)

(不動大滝。これはいい。豪快)

(滝壺)

目の前に不動大滝が見えていた。何とも豪快な滝じゃないか。断崖から轟音を立てるように強烈な水流が落ちている。これが32mか?50mにも見えるが。こうなると、滝というよりも瀑布だねぇ。この後に改めて拝見の大猿の滝がどんなものかは知らないが、回る順序を逆にすれば良かったかもしれない。
しばらく滝を眺める。ハイトスさんもいい気分でいらっしゃる。タバコによる咳き込みもピタッととまっている。マイナスイオンたっぷりとのことだが、今はガスガスだ。その効能の程はどんなものなのか。
右岸側に小さな犬小屋のようなものが見えた。見に行ったら、中にあるのは不動さまの火焔のみ。めらめらと燃えているようにも見えるが、ご本尊はどちらにお出かけか。
余談。雪田爺氏のホームページのコメントコーナーを拝見して驚いた。近頃、名瀑に変態というか狂ったカップルが出現するようだ。スッポンポンになって写真撮影やら抱擁をするらしい。状況によっては、それ以上のこともするだろう。これもマイナスイオンの効き目か?しかし、こういった衝動は、自制をしなけりゃ三百六十五日のことでもある。滝に限らず、その辺のヤブに入り込むだけで事足りる。カップルで女性がポンチョ姿の生足なら要注意ということだ。その前に男の不潔な生尻が目に入るようだ。いずれにせよ、山でも沢でも、何を考えているのかわからない不気味な輩が出入りしていることは確かなことで、ハイキング道にテープ付けまくりのオッサンだかオバチャンかは知らないが、それもまたこの類の延長だろう。この赤城の名瀑、われわれお互いのスッポンポンを撮っても致し方ない。今は至って平穏。いい滝だなぁと感動のひと時に浸っている。
それにしても、滝の前を横切る電線のようなものが何とも目障り。切り落としたくなる。電線ラインを越えると滝のしぶきをもろに受けるし、滝の全容がカメラからあふれてしまう。全景を収めようとすると、どうしても電線が入ってしまう。脇に登ると、若干の迫力不足になってしまう。写真の不味さを電線のせいにすることは可能だが。
(何とも別れがたいが)

(山道コースを引き返す)

(ここで終点)

ゆっくり堪能して、引き返す。復路は山道コース。楽しみながら歩ける沢コースに比べたらあっさり短時間で歩けるが、意外に起伏はあるし、今日のような天気では泥んこになってしまうし、木のハシゴもまた滑る。沢コースに合流して終了。
不動尊への登りにかかると、下流の河原、大岩の下から煙が出ているのが見えた。何だろうと見下ろすと、二人の修験者が護摩焚きをして経をとなえていた。こんなのを間近に見るのは初めてだが、そういえば、大滝下の犬小屋の中に、梵字マークの入ったお札を置かれていたことを思い出した。修行の邪魔になっても何だしと、そそくさと立ち去る。しかし、この先の滝で倒錯したカップルがあられもない格好で撮影大会をしていたら、修験者もたまったもんじゃないだろうな。不動明王とてそちらに気をとられてしまう。
もう一度不動尊に寄って帰る。登り気味で、少々疲れるが、かく汗はすがすがしく感じる。前不動に近づくと、単独女性がやって来た。滝見ですか。ご苦労さま。大滝はこっちでいいのですよねと聞かれたから、沢コースをお勧めしたが、登山靴だったし、まずは無理があるだろう。
駐車場には他に車が2台。いずれも埼玉県ナンバーだ。修験者も埼玉県からということか。不動大滝見物に要した時間は1時間45分だった。
そのまま大猿公園に向かい、鳥居前の駐車場を通り過ぎ、先の駐車場に車を置いた。鳥居前もここも、我々の車以外はない。そうだろう。こんな天気だし、ここに着いたら霧雨になってしまった。
ここから、前回、自分が勝手に間違った前衛のニセ大猿までの道のりは省略。途中の砂地で、新しい足跡を見つけた。あるいは、不動滝の女性が、ここを先行したのだろうか。霧雨は気まぐれで降ったりやんだり。
(6日前に大猿の滝と勘違いした滝)

(直登してみたが…)

(結局、脇から中段に)

前衛の滝の脇を直登してみた。中段を越えた時点で、バカな証拠に、見るとやるのとは大違いであることに気づいた。その先の一歩が踏み出せない。滝の本流に足を持って行きたいが、流れが速くそのままドボンといきそうだ。左は足の乗せ場がない。あきらめて下りるが、下りる方がこわかった。足探りで何とか下りた。今日はこんなことはもうやるまい。改めて脇から中段に出て登った。少しばかり水をかぶった。
(景気よく噴き出していた)

(乙女の滝)

乙女の滝は今日もまた威勢よく水を噴き出していた。こういう滝は「ひょんぐりの滝」と言うらしいが、「ひょんぐり」の意味がわからず、調べると、どこかの方言で、跳ね返すとか跳ね上がるといった意味があるそうだ。前回の印象では、岩の内部からも噴き出しているのではと思っていたが、よく見ると跳ね返りだけで、このままでいくと、水の浸食で、深くなり、さらに跳ね返りも大きくなるのではなかろうか。
(どんどんガスっていく。沢だから余計だ)

(前回はこの辺で戻った)

(ようやく見えてきた)

(大猿の滝)

(下の凹凸がゆらゆらゾンビっぽく見えなくもない)

(180cmとの比較)

上流に向かう。先日の撤退ポイントからさらに上、結構歩くものだなと思ったカーブの先に大猿の滝が見えた。不動滝を見た後だけにがっかりするかと思ったが、ここの滝もまた豪快だ。落差は10m程度とのことだが、素人にはもっとありそうに見える。しかし、ハイトスさんを入れた写真を見ると、比較してそんなものかもしれない。残念なことは、上に開いているグレーの空が青空だったらどんなによかったろうか。ここもまたゆっくりと堪能したが、不動滝に比べて下のスペースが狭い。水流も強く、あまり落ち着かない。
自分にはこれで四滝も済んだし、南面の滝にもう用事はない。再びということはもうないだろうが、こんな空模様とはいえがっかりせずに済んだだけでも幸いだ。そういえば、大猿の滝の看板を見ることはなかったが、沢伝いにずっと来たためだろうか。沢を巻く道でもあったのだろうか。それは確認しないままに終わった。
(あれあれっ、どこに行くの?)

(あきらめて敗退)

さて、帰るとするが、ハイトスさんが滝の手前右斜面に踏み跡があると言って登り出した。その時はただの調査かと思ったが、どうもそうではなく、登山道に出るつもりらしい。この上に登山道があるのだろうか。あるとしても、小峰通りの尾根に出るまで250mの標高差がある。
踏み跡は大岩の前で消えた。右には行けず、左に回り込むと、行けそうだが、急でヤセの小尾根に続いている。やめましょう。下る。下流を目指して下るが、斜面の土はもろく、そう簡単には下れない。ハイトスさんがロープを出すも、勘違いして持ってきたらしく、その長さは5mもあるかないかだ。自分も持参してはいるが、この程度では必要もないだろう。大きく巻いて小沢に出て沢に下りた。汗をかいた。もう大猿の滝は見えない。
(下る)

(ここもいい感じの沢だ)

(ひょんぐりを上から。六合村に「殺人の滝」というひょんぐり滝があるらしい)

沢伝いに下る。途中、巻き道を見ては歩いてみるが、クモの巣だらけで泥んこにもなる。まして、道は不明瞭だ。沢伝いの方がずっといい。
乙女の滝を改めてみて帰途につく。予定では、この先に小峰通りに出る破線路が地図にあり、辿ってみるつもりでもいたが道型らしきものはなく、さりとてヤブの露でグッショリになりたくもなし。その計画はやめにした。
(これで本日は終わり。林道に上がる)

(山乃家)

(ガスの中にも紅葉を感じる)

大さる山乃家を経由して鳥居に出る。大量のペットボトルに水を汲んでいる方がいた。風呂にでも入れるのかと思ったが、コーヒーを飲むのに使うのだそうだ。2週間ほど持つとのことだったが、あれだけ汲んでいたら、コーヒーも飽きてしまうだろう。
ハイトスさんはこれから一人、旭の滝に寄られる。つまりは4滝巡りとなる。自分はこれから深谷に用事があるが、まだ余裕だ。澳比古神社にでも行ってみよう。歩かずに車で。
今日は車の移動を含めて4時間の滝見ツアーだった。
澳比古神社のご神体はマラとホト。中を覗いてみると、さながら秘宝館といった感じだった。別に侮辱するわけではないが、こんなものでも信仰の対象になるのか、周囲に吊るされた札の願文には子供の誕生や成長を願うものが多かった。
道中、桐生の根本沢の話が出た。ハイトスさんによると、根本沢の上流には見栄えのする滝があるようだとのこと。おそらく、登山道に合流するさらに先か支流ではないだろうか。5mの魚止めの滝のことではないようだ。明日は見に行ってこようかと、準備して寝たのはいいが、朝起きると、すっかりその気はなくなっていた。短時間とはいえ、二日続きの山歩きというのも、考えようによっては億劫でもある。
※一部、ハイトスさん撮影の写真も使わせていただきました。