◎2015年10月9日(金)~10日(土)
当初から、今年は森吉山の紅葉を見に行くつもりでいた。森吉山には暑い時期か残雪の頃にしか行ったことがなく、その見事らしい紅葉をぜひとも見ておきたかった。
そんなことを飲み会の場で話をしたら、結果的に、じゃ、みんなで行きましょうかということになってしまった。いつもの酒を飲んでの軽率な言動の展開パターンだ。必ず後悔が伴うことになる。
翌日になって失敗したと思ってもはじまらず、こちらは短時間ながらも墓参りやら叔父の見舞いがあるからねという条件だけは提示しておいた。
森吉山の紅葉は一週間ばかり早いのではと思ったが、次の週は日曜日に用事があって、出かけるのは無理。この三連休に9日を加え、11日までの旅程にした。近づくと天気がどうもぱっとしない。いつも、旧体育の日の10日は晴れと決まっているようなものだが、その前後がどうも怪しい。
【安の滝】
盛岡までは新幹線。その先はレンタカーだ。やはり、雨が時々ぱらつく。岩手・秋田の県境を越えても天気は変わらず、一向に晴れる気配はない。たまに気まぐれの陽射しはあっても、上は黒い雲のまま。田沢湖は霧雨でくすんで見えた。
安の滝は昨年の10月17日に行っていて、その時もこんな天気だった。よほど縁がないとみえる。回る順序を入れかえるとちょっとスケジュールもきつくなるので、傘をさしてでも行くしかあるまい。
安の滝登山口に到着。すでに12時近くになっている。車が1台。今回のメンバーは4人だが、スパ長2人、登山靴2人。自分はスパ長。このスパ長、ミツウマの岩礁80というやつで、ちょっとばかり高かった。安い登山靴の価格並みか。酔った勢いで購入ボタンを押してしまった。今日はその履き初めである。後悔をしたくはない。傘を差すほどでもないが、小雨が降っている。
(紅葉は淡い)
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中ノ又沢は水が濁っていて水量も多い。沢歩きに来たわけではないのでこれは構わないが、何となく気が滅入る。単独のオジサンが下って来た。ということは、この先にはだれもいないか。
しばらく沢沿いを歩く。紅葉は予想通りに早いようだ。どうも、昨年のタイミングと同じようで、去年の来週が盛りなら、やはり一週間早いといったところだ。
(先に安の滝が見えてくる。幾分、色づきが出てきた気配)
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(久しぶりにでんでん虫を見た。何年ぶりだろう)
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(安の滝)
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安の滝が見えてきた。皆さんの口から素晴らしいのため息が出た。見上げると周囲の紅葉が広がっている。あ~ぁ、天気がすっきりしていたらなぁ…。しばらく滝を見物する。カメラを向けると、レンズに雨粒が付く。タオルを持ったまま撮った。
(左岸に落ち込む側の滝の紅葉)
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(上の段)
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(下の段)
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(またいずれ)
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上に行きたかったが、この天気ではなぁとあきらめる。ひょこひょこと上に行き、上段の滝壺まで行った方、下段の滝壺に下った方がそれぞれいたが、いずれも音で豪快さを感じただけではなかったか。
好天を待っていてもどうにもならないので帰路につく。団体さんがやって来た。ガイド付きか。
歩道に横倒しの樹があった。来る時はなかったから、滝を見ている間にでも倒れたのか。折れた部分は真新しく、新鮮な樹の香りがした。斜面が崩れている。
登山口に戻る。タクシー会社のマイクロが置かれていた。ガイド役は運転手さんか。
帰り道、クマ牧場に寄る。ここに来るのは初めてだ。ヒグマもいた。ヒグマはともかく、月の輪のでかいのを見ると、山に入るのがこわくなる。エサをねだるクマは可愛くもあるが、こんなものと出くわしたくはないね。
阿仁合に出て墓参り。せっかくだからと、皆さんを異人館に案内した。その昔、異人館の周囲は自分の遊び場でもあった。伝承館の中も見る。確か、父親が珍しい鉱石を見つけて、それが展示されているという話を聞いたことがあったが、どれがそれなのかはわからなかった。来る度に銀山の通りは寂しくなっていく。
本当はここで阿仁川やら、スキー場のあった二本松、ヒロサマ、そして山神様を見ておきたかったが、他の3人には無縁な場所につき、次回に一人で寄ることにしよう。毎日のように通った遊び場だけは確かめておきたい。そんな気持ちは年のせいだろう。
今日の宿の森吉山荘に向かう。
星空は見えず、Wi-Fiが使えるとはいっても実際はなかなかつながらない。娯楽はテレビだけ。9時には寝た。温泉風呂はめちゃくちゃ熱かった。そのせいか、露天は水風呂のような感覚だった。
【桃洞滝】
桃洞滝は一昨年に兄と来ている。その特異な形状を、皆さん見たがっていた。
(森吉山はまだ隠れている)
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夜に雨が降り、明けると晴れていた。やはり10月10日は晴れの日だ。朝飯は食べずに弁当にしてもらっていたから、6時45分の歩き出しだ。周囲に車は一台もない。
今日は自分だけスパ長。後は途中で沢靴やらスパ長に履き替える。昨日の様子では、新調の長靴の調子はすこぶる良かった。今日はこれで通す。
(陽をあびて)
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雨上がりで道はかなりぬかるみ、木道も滑るが気持ちの良い歩きだ。森に陽射しが入り込み、紅葉もきれいだ。赤はこれからのようで、まだ半分。メインは黄色。紅葉のかかった桃洞滝はどんなものだろうか。
(桃洞渓谷入口付近)
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赤水分岐で靴の履き替え。その間、自分は沢に下りてちょっと歩いた。昨日の濁りはなく、こちらはきれいだ。一人で来ていたら、桃洞滝だけで終わらせずに、男滝の先を兎滝に出るか高場森に出る予定でいた。自分にも微妙なコース、3人には無理だろう。結局、仲間と来るとこういうことになる。もっとも、それらのコースなら、自分も沢靴にしていた。
(まだ淡いかなぁ)
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(いい感じになってきた)
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早めに沢を歩くようにしたが、やはり水が深かったり、淀みになっていたりで沢沿いの道に何度か復帰する。
(赤が濃くなってくる)
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(沢の流れ)
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沢歩きが入り出すと、皆さん楽しいのか、嬌声を出しながら歩いている。それにも増して、やはりいいのは何といっても渓谷の紅葉だ。上が青空だから、赤も黄色も鮮やかに映えている。晴れてくれて本当に良かった。
(桃洞滝)
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(上の段アップ)
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(真横から)
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(こんな感じでも撮ってみた)
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桃洞滝に到着。すごいドアップの迫力だ。水量も前回時以上で、瀑音もすごい。しばらく休憩し、滝を見ながら遊んだ。よせばいいのに、右岸側のナメ岩を登っては下れず、走って下ったりしているのもいた。これは、沢靴の想像以上のグリップを楽しんだつもりなのだろう。
(行ってみたい上段の先)
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いつか上流に行くことを想定し、下見がてら左岸の岩に穿かれた窪みを頼りに登ってみた。見た目以上の高度感だった。かろうじて下ったが、上り専用といった感じがしなくもない。先に行くならヘルメット、ロープ、沢靴だろうな。
(帰る。イメージで)
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(引き続き)
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余韻を残しながら戻る。沢歩きもあって、結構楽しめた。
さて、赤水分岐で自分一人だけ「ちょっと見てくる」と別行動。赤水沢に向かった。実は、昨年来た際、紅葉がすごくきれいなスポットがあったのだが、そこで関西弁のオッチャンが沢の真ん中で三脚撮りをしていたために写真が撮れなかった。今日はちょっと行って撮ってこよう。往復20分もかかるまい。
(ここでUターンした)
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沢に出るまで意外に遠く感じた。沢に下りた。その先は深くて行けなかった。水量が多くなっている。あきらめて戻る。先はカーブ状になっていて、入口だけは見えている。何とも残念だ。去年も長靴で来て、渡れたのになぁ。
赤水分岐に復帰。ハイカーがやって来た。その後も続く。いい時間に滝を見終わって良かった。これでは、写真を撮っても他のハイカーの姿が写ってしまう。
ヘルメット姿の3人組が左の斜面を登って行った。岩場でも登るのかと思ったが、キノコ採りだそうだ。相当に危ない所に行くのだろう。
(3人を追いかけるもついゆっくりと)
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先行の3人に追いつき、野生鳥獣センターに到着。10時。センターでぶらぶらしていると職員のオバちゃんに話しかけられた。どこまで行って来たかの話になり、赤水沢の話をしたら笑われた。一旦、沢には出るが、わかりづらいが上に迂回路があって、巻いて、先の沢に下りるのだそうだ。実はさらにお笑いだが、昨年の写真を見ると、しっかりと巻き道に入って先に出ていた。こうなったらどうしようもない。慌てて行くとこうなるといったレベル以前の頭の老化の問題だ。新しい記憶はきれいさっぱりすぐに忘れ、古いことだけはしっかりと覚えている。結構やばくなっている。
(森吉山は顔を出していた)
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駐車場には車が10台ほどあり、マイクロバスからもハイカーが下りようとしていた。
国道105号線に出る。11時近い。ここで叔父の見舞いに行く。ここから車で10分だ。しかし、何時に行くとも連絡を入れていなかったため、叔父はデイケアで不在だった。たまたま今日は祖母の命日でもあり、線香だけあげて失礼した。
次の森吉山に向かう。途中、国道筋名物のアイスを食べ、前田の四季美館でラーメンを食べる。おいしかった。山荘で作ってもらった弁当は森吉山で食べることにしよう。
【森吉山】
雪田爺氏のレポを拝見し、歩いたことのないヒバクラコースを歩きたかった。そのために宿泊先も森吉山荘にしていた。しかし、どうしても阿仁ゴンドラで行きたい方がいて、自分では、それだけは絶対に嫌だという思いもあったが、この時間ではヒバクラコースは厳しいだろう。話によると、ゴンドラからの紅葉がきれいだとの由。この時点では渋々だ。
ゴンドラのある阿仁スキー場は鍵ノ滝というところにあり、今晩の宿もまたここにある。自分の頃は小学校の分教場があり、中学に入ると、分校出身者は寮生活になっていた。手前の萱草(荒瀬川)というところにも分教場があり、鍵ノ滝はさらにその先で、かなりの山奥といったイメージがあったが、スキー場の開発とともに、車なら難なく行けるようになった。その分、かつての集落はすでにない。ゴンドラに乗ったことはないが、スキー場の脇にあるブナ帯コースというのは歩いたことがある。
国道から離れると、小沢地区を通ってスキー場に向かう。随分と車と行き交った。紅葉見物だろう。
ゴンドラ乗り場の駐車場は係員が整理するほどの混雑ぶりだった。今12時半。ゴンドラの運行は15時半まで。森吉山を往復するには走らない限り無理。適当なところで折り返しをするとしよう。スパイク地下足袋に履き替える。
(ゴンドラから1)
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(ゴンドラから2)
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ちょっとバカにしていたが、ゴンドラから俯瞰する山麓、山腹の紅葉はすごかった。もう数日で最高といった感じだが、紅葉は果てしなく続いていく。スキー場とはいっても、ゲレンデの上をゴンドラが通っているわけでもなく、鉄塔以外の目障りなものはあまり目に入らない。ここは赤もきれいで、黄、緑、こげ茶と混ざり合う。20分ほどで山頂駅に到着。見飽きない紅葉を楽しんだ。
(森吉山方面)
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ハイカーはもうどんどん下って来る。これから登るのは自分たちと気まぐれな普段着スタイルの観光客。対向するハイカーの目がつい自分の足元に向く。秋田の山でも山仕事スタイルのハイカーはあまりいないのだろう。
風がひんやりしている。周囲の紅葉景色はゴンドラの延長だが、標高が高い分、ササが増え、樹は低く、針葉樹主体では紅葉も目立たない。気持ちのいいハイキングコース。湿地も点在する。
(森吉山を眺めて食事)
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小ピークに寄り道をして、森吉山が正面にくる。もうここまでだねと、阿仁の避難小屋に向かう。ここで食事とする。小屋の中では食事中の方が何人かいて、外で食べた。樹の皮で拵えた弁当の中味はタケノコ入りの鳥弁でおいしかった。
森吉山を眺めて、行きたそうにしている仲間。行って来たらと言いはしたが、これから登ったらゲレンデを歩くことになる。
(森吉側の避難小屋)
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(冠岩というそうだ)
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(下る)
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(行けずに残念)
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(付録1)
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(付録2。これを含めて3枚合成したが、ネット用の圧縮はできなかった)
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(赤)
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(ゴンドラ駅)
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ついでに森吉の避難小屋に寄って下る。ゴンドラの上にはまだ観光客やらハイカーがかなりいる。
(下りのゴンドラから1)
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(下りのゴンドラ2)
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また、ゴンドラで紅葉を楽しみながらの下り。カメラで撮っていても自分の技ではろくなものが撮れそうもなく、とうとうビデオモードにしてしまった。
ゴンドラ乗り場の前には店が出ていた。知っている魚屋の名前が出ていたので、つい、だれそれさんは元気ですか?と聞いてしまった。当時の娘が同級生だ。もちろんこちらにいるわけではない。どういう縁者は知らないが、オバちゃんから元気だよという返事がかえってきた。
ホテルなのかペンションなのかはしかとは知らないが、クマ鍋を食べさせてくれるという宿に泊まった。残念ながら風呂の便が悪くて、男女入れ替えの時間があって、取りあえずは部屋の風呂を使ったりしたが、それ以外は満足した。ご主人は同じくらいの年かなと思ったが、いくつか上で、ご出身は隣中学のエリアだった。自分と同級生で町に残っている者の名前は知っていらした。ドブロクも飲み、久しぶりに故郷の言葉を聞いた。ちなみに、クマ鍋のクマ肉は小粒で、何の肉を食べたのだろうという程度のものだった。
(宿のベランダから)
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明日は雨のはずなのにぼんやりながらも星空になっていた。星に詳しいのがあれは天の川だと言っていたが、自分にはどうもはっきりと見えなかったが、確かにそれらしく夜空に川が流れていた。
翌日は曇りから小雨ぱらつき。山菜をたっぷりと食べたせいか、腹が空っぽになったような気がする。出がけのトイレは3回。今日は帰るだけだが、地元の霊場七面山に寄り、道の駅でナメコを購入。そして角館の武家屋敷を見物した。これだけだったら、別に盛岡でレンタカーを借りるまでもなく角館起点にすれば良かっただけのことだが、わんこそばを楽しみにしているからそうもいかない。さらに途中の道の駅でイワナを食す。
一時間待ちで入ったわんこそば屋。自分の結果は87杯。4人の中では最高だった。つましいものだ。わんこそばは2回目だが、30歳くらいの時に行った時には96杯だった。この程度の食欲減ならいいだろう。周りを眺めていると、男性に比べて、特に若い女性の方が積んだ椀の数が多いように見える。
このわんこそば、しばらくは食べ物を見るのも嫌だったが、家に帰ると、すっかりと空腹状態になっていた。
当初から、今年は森吉山の紅葉を見に行くつもりでいた。森吉山には暑い時期か残雪の頃にしか行ったことがなく、その見事らしい紅葉をぜひとも見ておきたかった。
そんなことを飲み会の場で話をしたら、結果的に、じゃ、みんなで行きましょうかということになってしまった。いつもの酒を飲んでの軽率な言動の展開パターンだ。必ず後悔が伴うことになる。
翌日になって失敗したと思ってもはじまらず、こちらは短時間ながらも墓参りやら叔父の見舞いがあるからねという条件だけは提示しておいた。
森吉山の紅葉は一週間ばかり早いのではと思ったが、次の週は日曜日に用事があって、出かけるのは無理。この三連休に9日を加え、11日までの旅程にした。近づくと天気がどうもぱっとしない。いつも、旧体育の日の10日は晴れと決まっているようなものだが、その前後がどうも怪しい。
【安の滝】
盛岡までは新幹線。その先はレンタカーだ。やはり、雨が時々ぱらつく。岩手・秋田の県境を越えても天気は変わらず、一向に晴れる気配はない。たまに気まぐれの陽射しはあっても、上は黒い雲のまま。田沢湖は霧雨でくすんで見えた。
安の滝は昨年の10月17日に行っていて、その時もこんな天気だった。よほど縁がないとみえる。回る順序を入れかえるとちょっとスケジュールもきつくなるので、傘をさしてでも行くしかあるまい。
安の滝登山口に到着。すでに12時近くになっている。車が1台。今回のメンバーは4人だが、スパ長2人、登山靴2人。自分はスパ長。このスパ長、ミツウマの岩礁80というやつで、ちょっとばかり高かった。安い登山靴の価格並みか。酔った勢いで購入ボタンを押してしまった。今日はその履き初めである。後悔をしたくはない。傘を差すほどでもないが、小雨が降っている。
(紅葉は淡い)

中ノ又沢は水が濁っていて水量も多い。沢歩きに来たわけではないのでこれは構わないが、何となく気が滅入る。単独のオジサンが下って来た。ということは、この先にはだれもいないか。
しばらく沢沿いを歩く。紅葉は予想通りに早いようだ。どうも、昨年のタイミングと同じようで、去年の来週が盛りなら、やはり一週間早いといったところだ。
(先に安の滝が見えてくる。幾分、色づきが出てきた気配)

(久しぶりにでんでん虫を見た。何年ぶりだろう)

(安の滝)

安の滝が見えてきた。皆さんの口から素晴らしいのため息が出た。見上げると周囲の紅葉が広がっている。あ~ぁ、天気がすっきりしていたらなぁ…。しばらく滝を見物する。カメラを向けると、レンズに雨粒が付く。タオルを持ったまま撮った。
(左岸に落ち込む側の滝の紅葉)

(上の段)

(下の段)

(またいずれ)

上に行きたかったが、この天気ではなぁとあきらめる。ひょこひょこと上に行き、上段の滝壺まで行った方、下段の滝壺に下った方がそれぞれいたが、いずれも音で豪快さを感じただけではなかったか。
好天を待っていてもどうにもならないので帰路につく。団体さんがやって来た。ガイド付きか。
歩道に横倒しの樹があった。来る時はなかったから、滝を見ている間にでも倒れたのか。折れた部分は真新しく、新鮮な樹の香りがした。斜面が崩れている。
登山口に戻る。タクシー会社のマイクロが置かれていた。ガイド役は運転手さんか。
帰り道、クマ牧場に寄る。ここに来るのは初めてだ。ヒグマもいた。ヒグマはともかく、月の輪のでかいのを見ると、山に入るのがこわくなる。エサをねだるクマは可愛くもあるが、こんなものと出くわしたくはないね。
阿仁合に出て墓参り。せっかくだからと、皆さんを異人館に案内した。その昔、異人館の周囲は自分の遊び場でもあった。伝承館の中も見る。確か、父親が珍しい鉱石を見つけて、それが展示されているという話を聞いたことがあったが、どれがそれなのかはわからなかった。来る度に銀山の通りは寂しくなっていく。
本当はここで阿仁川やら、スキー場のあった二本松、ヒロサマ、そして山神様を見ておきたかったが、他の3人には無縁な場所につき、次回に一人で寄ることにしよう。毎日のように通った遊び場だけは確かめておきたい。そんな気持ちは年のせいだろう。
今日の宿の森吉山荘に向かう。
星空は見えず、Wi-Fiが使えるとはいっても実際はなかなかつながらない。娯楽はテレビだけ。9時には寝た。温泉風呂はめちゃくちゃ熱かった。そのせいか、露天は水風呂のような感覚だった。
【桃洞滝】
桃洞滝は一昨年に兄と来ている。その特異な形状を、皆さん見たがっていた。
(森吉山はまだ隠れている)

夜に雨が降り、明けると晴れていた。やはり10月10日は晴れの日だ。朝飯は食べずに弁当にしてもらっていたから、6時45分の歩き出しだ。周囲に車は一台もない。
今日は自分だけスパ長。後は途中で沢靴やらスパ長に履き替える。昨日の様子では、新調の長靴の調子はすこぶる良かった。今日はこれで通す。
(陽をあびて)

雨上がりで道はかなりぬかるみ、木道も滑るが気持ちの良い歩きだ。森に陽射しが入り込み、紅葉もきれいだ。赤はこれからのようで、まだ半分。メインは黄色。紅葉のかかった桃洞滝はどんなものだろうか。
(桃洞渓谷入口付近)

赤水分岐で靴の履き替え。その間、自分は沢に下りてちょっと歩いた。昨日の濁りはなく、こちらはきれいだ。一人で来ていたら、桃洞滝だけで終わらせずに、男滝の先を兎滝に出るか高場森に出る予定でいた。自分にも微妙なコース、3人には無理だろう。結局、仲間と来るとこういうことになる。もっとも、それらのコースなら、自分も沢靴にしていた。
(まだ淡いかなぁ)

(いい感じになってきた)

早めに沢を歩くようにしたが、やはり水が深かったり、淀みになっていたりで沢沿いの道に何度か復帰する。
(赤が濃くなってくる)

(沢の流れ)

沢歩きが入り出すと、皆さん楽しいのか、嬌声を出しながら歩いている。それにも増して、やはりいいのは何といっても渓谷の紅葉だ。上が青空だから、赤も黄色も鮮やかに映えている。晴れてくれて本当に良かった。
(桃洞滝)

(上の段アップ)

(真横から)

(こんな感じでも撮ってみた)

桃洞滝に到着。すごいドアップの迫力だ。水量も前回時以上で、瀑音もすごい。しばらく休憩し、滝を見ながら遊んだ。よせばいいのに、右岸側のナメ岩を登っては下れず、走って下ったりしているのもいた。これは、沢靴の想像以上のグリップを楽しんだつもりなのだろう。
(行ってみたい上段の先)

いつか上流に行くことを想定し、下見がてら左岸の岩に穿かれた窪みを頼りに登ってみた。見た目以上の高度感だった。かろうじて下ったが、上り専用といった感じがしなくもない。先に行くならヘルメット、ロープ、沢靴だろうな。
(帰る。イメージで)

(引き続き)

余韻を残しながら戻る。沢歩きもあって、結構楽しめた。
さて、赤水分岐で自分一人だけ「ちょっと見てくる」と別行動。赤水沢に向かった。実は、昨年来た際、紅葉がすごくきれいなスポットがあったのだが、そこで関西弁のオッチャンが沢の真ん中で三脚撮りをしていたために写真が撮れなかった。今日はちょっと行って撮ってこよう。往復20分もかかるまい。
(ここでUターンした)

沢に出るまで意外に遠く感じた。沢に下りた。その先は深くて行けなかった。水量が多くなっている。あきらめて戻る。先はカーブ状になっていて、入口だけは見えている。何とも残念だ。去年も長靴で来て、渡れたのになぁ。
赤水分岐に復帰。ハイカーがやって来た。その後も続く。いい時間に滝を見終わって良かった。これでは、写真を撮っても他のハイカーの姿が写ってしまう。
ヘルメット姿の3人組が左の斜面を登って行った。岩場でも登るのかと思ったが、キノコ採りだそうだ。相当に危ない所に行くのだろう。
(3人を追いかけるもついゆっくりと)

先行の3人に追いつき、野生鳥獣センターに到着。10時。センターでぶらぶらしていると職員のオバちゃんに話しかけられた。どこまで行って来たかの話になり、赤水沢の話をしたら笑われた。一旦、沢には出るが、わかりづらいが上に迂回路があって、巻いて、先の沢に下りるのだそうだ。実はさらにお笑いだが、昨年の写真を見ると、しっかりと巻き道に入って先に出ていた。こうなったらどうしようもない。慌てて行くとこうなるといったレベル以前の頭の老化の問題だ。新しい記憶はきれいさっぱりすぐに忘れ、古いことだけはしっかりと覚えている。結構やばくなっている。
(森吉山は顔を出していた)

駐車場には車が10台ほどあり、マイクロバスからもハイカーが下りようとしていた。
国道105号線に出る。11時近い。ここで叔父の見舞いに行く。ここから車で10分だ。しかし、何時に行くとも連絡を入れていなかったため、叔父はデイケアで不在だった。たまたま今日は祖母の命日でもあり、線香だけあげて失礼した。
次の森吉山に向かう。途中、国道筋名物のアイスを食べ、前田の四季美館でラーメンを食べる。おいしかった。山荘で作ってもらった弁当は森吉山で食べることにしよう。
【森吉山】
雪田爺氏のレポを拝見し、歩いたことのないヒバクラコースを歩きたかった。そのために宿泊先も森吉山荘にしていた。しかし、どうしても阿仁ゴンドラで行きたい方がいて、自分では、それだけは絶対に嫌だという思いもあったが、この時間ではヒバクラコースは厳しいだろう。話によると、ゴンドラからの紅葉がきれいだとの由。この時点では渋々だ。
ゴンドラのある阿仁スキー場は鍵ノ滝というところにあり、今晩の宿もまたここにある。自分の頃は小学校の分教場があり、中学に入ると、分校出身者は寮生活になっていた。手前の萱草(荒瀬川)というところにも分教場があり、鍵ノ滝はさらにその先で、かなりの山奥といったイメージがあったが、スキー場の開発とともに、車なら難なく行けるようになった。その分、かつての集落はすでにない。ゴンドラに乗ったことはないが、スキー場の脇にあるブナ帯コースというのは歩いたことがある。
国道から離れると、小沢地区を通ってスキー場に向かう。随分と車と行き交った。紅葉見物だろう。
ゴンドラ乗り場の駐車場は係員が整理するほどの混雑ぶりだった。今12時半。ゴンドラの運行は15時半まで。森吉山を往復するには走らない限り無理。適当なところで折り返しをするとしよう。スパイク地下足袋に履き替える。
(ゴンドラから1)

(ゴンドラから2)

ちょっとバカにしていたが、ゴンドラから俯瞰する山麓、山腹の紅葉はすごかった。もう数日で最高といった感じだが、紅葉は果てしなく続いていく。スキー場とはいっても、ゲレンデの上をゴンドラが通っているわけでもなく、鉄塔以外の目障りなものはあまり目に入らない。ここは赤もきれいで、黄、緑、こげ茶と混ざり合う。20分ほどで山頂駅に到着。見飽きない紅葉を楽しんだ。
(森吉山方面)

ハイカーはもうどんどん下って来る。これから登るのは自分たちと気まぐれな普段着スタイルの観光客。対向するハイカーの目がつい自分の足元に向く。秋田の山でも山仕事スタイルのハイカーはあまりいないのだろう。
風がひんやりしている。周囲の紅葉景色はゴンドラの延長だが、標高が高い分、ササが増え、樹は低く、針葉樹主体では紅葉も目立たない。気持ちのいいハイキングコース。湿地も点在する。
(森吉山を眺めて食事)

小ピークに寄り道をして、森吉山が正面にくる。もうここまでだねと、阿仁の避難小屋に向かう。ここで食事とする。小屋の中では食事中の方が何人かいて、外で食べた。樹の皮で拵えた弁当の中味はタケノコ入りの鳥弁でおいしかった。
森吉山を眺めて、行きたそうにしている仲間。行って来たらと言いはしたが、これから登ったらゲレンデを歩くことになる。
(森吉側の避難小屋)

(冠岩というそうだ)

(下る)

(行けずに残念)

(付録1)

(付録2。これを含めて3枚合成したが、ネット用の圧縮はできなかった)

(赤)

(ゴンドラ駅)

ついでに森吉の避難小屋に寄って下る。ゴンドラの上にはまだ観光客やらハイカーがかなりいる。
(下りのゴンドラから1)

(下りのゴンドラ2)

また、ゴンドラで紅葉を楽しみながらの下り。カメラで撮っていても自分の技ではろくなものが撮れそうもなく、とうとうビデオモードにしてしまった。
ゴンドラ乗り場の前には店が出ていた。知っている魚屋の名前が出ていたので、つい、だれそれさんは元気ですか?と聞いてしまった。当時の娘が同級生だ。もちろんこちらにいるわけではない。どういう縁者は知らないが、オバちゃんから元気だよという返事がかえってきた。
ホテルなのかペンションなのかはしかとは知らないが、クマ鍋を食べさせてくれるという宿に泊まった。残念ながら風呂の便が悪くて、男女入れ替えの時間があって、取りあえずは部屋の風呂を使ったりしたが、それ以外は満足した。ご主人は同じくらいの年かなと思ったが、いくつか上で、ご出身は隣中学のエリアだった。自分と同級生で町に残っている者の名前は知っていらした。ドブロクも飲み、久しぶりに故郷の言葉を聞いた。ちなみに、クマ鍋のクマ肉は小粒で、何の肉を食べたのだろうという程度のものだった。
(宿のベランダから)

明日は雨のはずなのにぼんやりながらも星空になっていた。星に詳しいのがあれは天の川だと言っていたが、自分にはどうもはっきりと見えなかったが、確かにそれらしく夜空に川が流れていた。
翌日は曇りから小雨ぱらつき。山菜をたっぷりと食べたせいか、腹が空っぽになったような気がする。出がけのトイレは3回。今日は帰るだけだが、地元の霊場七面山に寄り、道の駅でナメコを購入。そして角館の武家屋敷を見物した。これだけだったら、別に盛岡でレンタカーを借りるまでもなく角館起点にすれば良かっただけのことだが、わんこそばを楽しみにしているからそうもいかない。さらに途中の道の駅でイワナを食す。
一時間待ちで入ったわんこそば屋。自分の結果は87杯。4人の中では最高だった。つましいものだ。わんこそばは2回目だが、30歳くらいの時に行った時には96杯だった。この程度の食欲減ならいいだろう。周りを眺めていると、男性に比べて、特に若い女性の方が積んだ椀の数が多いように見える。
このわんこそば、しばらくは食べ物を見るのも嫌だったが、家に帰ると、すっかりと空腹状態になっていた。