◎2016年11月18日(金)
つつじヶ丘駐車場(7:30)……不動滝(7:44)……抱き返しの滝(8:22)……釜沢越分岐(8:59)……釜沢越(9:03)……釜沢越戻り(9:42)……篭岩山(10:17)……ルートミス戻り(10:44)……明山分岐(11:13)……一枚岩(11:45)……明山(12:56)……町道(13:44)……駐車場(14:30)
奥久慈の山の紅葉はすごいらしい。いつかは見に行かなきゃと思っていたが、いかんせん遠すぎる。登山口まで車で3時間半はかかりそうだ。栃木と茨城の県境にある雨巻山に行った時ですら遠く感じていた。だが、紅葉の魅力には負ける。一週間くらい早いかもしれないが、この時期に無理してでも行って、紅葉狩りを楽しんでこよう。
奥久慈といったらメインは男体山になるのだろうか。だが、混みそうな山は控えたい。となると、篭岩山ということになる。以前から行きたいとは思っていても、何ら内容のある下調べはしたことはない。ネット記事を読んでも、地理的な感覚がないから頭に残らない。せいぜい水戸の北、袋田の滝の方だという程度のもの。袋田の滝は物見遊山で行ったことがある。滝を正面から見るのに金を払ったのが心外だったが、泊まった宿でアンコウ鍋を食べ、翌日、那珂湊の市場で魚介を買って帳消し気分にした。
『山と高原地図』にも奥久慈編は収録されていない。ブログ仲間の皆さんの奥久慈歩きの記事を拝見してもぴんとこない。仕方がないので、ヤマレコの記録に自分にもわかりやすい歩きが載っていたので、その記事と地図を刷り出して出かけることにした。丸写しの歩きをするつもりだ。奥久慈入門としては、こんなメインルートぽいところでいいだろう。ただ、しばらくは尾根通し、沢通し歩きといったパターンから外れているのが気にかかる。
ずっと高速を使い、つつじヶ丘駐車場に着くまでに3時間。予定より30分早かったが、国道から離れて県道に入ると、これが県道かと思うほどの狭いところがいくつもあり、これがまた民家の玄関先を通ったり、長かったりする。始末の悪いことに待機スペースも少ないときている。対向車が来ないものかとずっとひやひやし、駐車場に着いた時にはかなりげんなりしていた。ナビがところどころでショートカットさせたのじゃないのかと思い、帰りは忠実に県道を辿ろうとしたが、結局、やはり来た道と同じで、こんな気分になるのでは、もう二度と来られないなと思ったほどだ。
(あれが奥久慈男体山だろう)
![]()
(篭岩山かねぇ)
![]()
(となると、あれは篭岩か)
![]()
駐車場には車が一台。渋い感じの品の良い単独氏が朝焼けの男体山を一眼で撮影中。撮影目的かと思ったが、脇にザックがある。どこに行かれるのか知らないが、ここからのルートは大方似たようなものだろう。挨拶はしたが、物静かな方のようで、余計なことは詮索しない方がいいだろう。戻って来た時には、まだこの方の車があった(瀑泉さんの根本山記事にコメントが入っていたが、この方、まさか雪田爺さんではあるまいな。宇都宮ナンバーだが、車が違うような…。⇒やはりそうだった)。こちらも少し離れて眺める。コンデジでは格も落ちる。男体山はすぐにわかる。左のピークは地図を見ると長福山というのかなぁ。篭岩山はあれで、篭岩は右のあれだろうな。この時点では篭岩山も篭岩も両方同一のコース上にあると思っている。こんなレベルでの歩き出しだ。さっさと出発。
(ちょっと失礼。通らせていただきます。これは定番の写真)
![]()
(不動滝)
![]()
(滝の上に出る)
![]()
奥久慈パノラマラインを下る。こんないい道があるのに、途中のあの県道は何なのだと思ってしまう。目印の民家の前を入る。標識は「不動滝・篭岩・竜神峡」となっている。竜神峡はよくわからないが、これでいいのだろうが、駐車場のトイレ脇にも「篭岩」標識があった。こことは別方向だった。あちこちから行けるということなのだろう。この先も各所で「篭岩」標識を見かけ、しまいには標識そのものが篭岩山と篭岩がごちゃ混ぜになっているのではないのかと疑問を抱くようになる。地理院地図には三角点峰が「篭岩」になっている。これは「篭岩山」でしょう。確か、瀑泉さんの記事でもこのご指摘を見かけたような気がする。
薄暗い沢沿い(この沢は湯沢というらしい)を行くと、間もなく不動滝。鳥居と安置されてそんなに古くないような不動明王像があった。紅葉をバックに滝の写真でもと思ったが、紅葉はいまいちの淡い色づき。ロープを伝って上に出る。その先にクサリ。これは使うほどのものでもない。
(これも定番の例の淵。最後はジャンプしたが難なく左の溝を行ける。)
![]()
(その先は大石がゴロゴロ)
![]()
(淡い紅葉が出てくる。ここはモミジ谷というほどでもないか)
![]()
(篭岩の方かと思うが)
![]()
続いてネットでよく見かける淵のスポット。ここはヘツリをして通過のようだ。写真で見て記憶していた左側のクサリはない。ふみふみぃさんが歩かれた6日前は、水量が多くて右岸に渉れずに巻いたようだが、何も問題なく通過できた。緊張もしなかった。ちょっと拍子抜け。後で写真を見ると、確かに巻き用のロープが右に写っていた。
大きな石がゴロゴロしだした。そして「篭岩・上山→」の標識。このまま沢の先を示す案内はない。どうせ後で篭岩を通るのだろうし、ここは沢をそのまま登って行く予定でいるから、この標識は無視して沢通しにする。
大石がずっと積み重なっている。どうすればこんな状況になるのか。石には赤ペンキやロープがあったりする。巻く際には、ところどころにテープもあって、無言の親切というか配慮というか。テープを見落とすと、通過に手こずるところもある。紅葉はまだまだ淡い。右を見上げると、篭岩らしき岩が見えるが違うかなぁ。
(抱き返しの滝)
![]()
(色づきも次第に濃くなる)
![]()
(いい雰囲気の谷)
![]()
(朝陽のあたるところの黄色は燃えているようだ)
![]()
大石越えにもそろそろ飽きた頃に「抱き返し滝」に到着。滝だと言われなければそういう見方をしないような滝だが、水が多い時は見ごたえもあるのだろう。ひしゃげた鉄ハシゴを使って脇を登る。
滝を越えると沢の様相が一変した。大石がめっきり少なくなり、静かな渓谷の風情になった。周囲の色づきも増してきた。こうでなくてはなぁと思っても、ここは谷合いで光が射し込まない。朝陽のあたった鮮やかな紅葉は拝めず、撮る写真もまた結果的にピンボケ続きとなる。
沢の水は続いている。落葉がすっぽりで水が見えないところもある。注意して足を運ばないとドボンだ。しかし、この辺は好みだねぇ。ナメも続くし、ちょっとした水流も感じが良い。ここもまたモミジ谷といったところだが、盛りはもう少し先かなぁ。陽があたっているところの黄色はかなりきれいだが。
(注意して歩けば濡れることはない)
![]()
(沢をここから離脱。左に「←釜沢越」の標識がある)
![]()
良い感じの歩きがしばらく続くが、目の前に植林が出てきてちょっとがっかり。だが、すぐに植林の風景は消えてくれた。沢は二俣になり、水気の多い方に行く。なおも同じ風情は続いているが、どうしても植林が目に入り込むようになってくる。
杉の木に赤テープ巻きを見た。周囲を見ると「←釜沢越」の標識があった。ここで沢から離脱のようだ。持参のヤマレコ記事を確認する。だが、ここの理解の仕方が誤っていた。記事には「釜沢越え分岐を右折」とある。これを「釜沢越というところで右折」と解釈してしまった。地理に不案内ではしかたがない。後の祭りだが、ここが「釜沢越分岐」であった。
(釜沢越)
![]()
件の記事に出ている右手に作業小屋なんか見えてこない。気づかなかっただけかと先に行くと、十字路風の場所に出て、標識がある。ここが「釜沢越」だろう。ここの右折方面は「鷹取岩」と記されている。それでいて、篭岩山は戻る方向に記されているが、記事にはここを「右折」とあるから疑わない。鷹取岩は篭岩山に向かう途中にある岩だと思っている。頭の中に?マークがなかったわけではないが、せいぜい20%くらいの不安だ。記事には「沢沿いを歩く」となっているのに実際は尾根伝いになっていて、作業小屋を見つけられなかったことと合わせて20%の不安といったところだ。ここでまずは菓子パンを食べて一服。標識には「不動滝に下るのは危険」とテープ書きが垂れている。下り使用では確かにそうかもね。
(間違いルートを行く)
![]()
(西側の展望)
![]()
(あれは鷹取岩かも。ぶなじろうさんの「爺さん岩」とかもあのあたりか)
![]()
釜沢越十字路を右折して登る。上がるたびに色づきが良くなっていく。陽あたりのせいもあろう。赤はないが黄色でむせてしまいそうだ。時間がとられる。小ピークに達し、下りにかかる。樹には「タカ取岩→」の手書きテープ。不安になってくる。どうも「篭岩」方面に向かっている気配はない。自分の居場所が不明で、コンパスを出すと、東ではなく北に向かっている。不安度は50%を超えた。
西側の展望がちょっと広がった。山並みが一面に色づいている。なるほど、これが奥久慈の紅葉か。登り上げると峠のようなところになった。ここにも標識があって、来た方向に向いて「篭岩 釜沢越」とある。これでルートミスは確実なようだ。念のため先に下って行くと、樹間越しに鷹取岩らしき岩峰が見えた。これはお呼びではなかった。峠に戻る。このまま釜沢越まで行かずに、直進して尾根通しに行けやしないかと思ったりもしたが、地図を広げたとて自分の居場所がぴんとこない。やはり釜沢越に戻って仕切り直しか。
下りかけるとオジサンが上がって来た。挨拶を交わして話をすると地元の方らしい。佐中から登って来たとおっしゃっている。恥を忍んで胸の内を伝える。釜沢越を左に行けばいいと言われた。そちらから登って来たのですけどと言ったが、どうも、いただいた適切なアドバイスも、自分の頭の中の地図では違和感がある。作業小屋が右手に見えるとも言われた。一応、納得したような顔をして釜沢越に戻る。頭の中は「??」のまま。
(釜沢越の石祠)
![]()
(作業小屋か)
![]()
それどころではないのだが、釜沢越にあった石祠に気づき時間をまたとられる。字は何も刻されていない。ここも古道だろうか。そんなことはさておき、しっくりしないままに同じところを下り、植林の赤テープのあった標識を前にしてまた悩む。やはり篭岩は抱き返しの滝と同じ方向になっている。そんなことはあるまいと、ここは左の踏み跡のある方を見てみると、右手に小屋が見えた。これがヤマレコ記事のいう作業小屋。ここでようやく「釜沢越」と「釜沢越分岐」の違いを納得した。この間、50分のロス。まぁ何となくではあるが、男体山、鷹取岩、篭岩山の配置関係がわかったからいいか。
(尾根に向かう。本日一番の冴えない景色の場所)
![]()
(尾根に出る)
![]()
沢沿いのちょっと汚い景色、植林混じりのところを行く。ここはテープと踏み跡頼りに歩く。先に尾根型らしきものが横に続いている。あれに上がればいいのか。沢から離れると手製の標識が2枚。来た方向に「釜沢越」と「カマサワ下り」とある。湯沢がどこからカマサワになったのか疑問があるが、正解ルートを歩いているようだから気に留めないことにしよう。
尾根に出た。賑やかな紅葉になっている。今日来て良かったなぁ。尾根を右に行けば篭岩山だろうが、尾根通し左に延びる踏み跡が気になる。これか裏縦走路というのは。ふみふみぃさんご一行が歩かれていたなぁ。ここに至り、この辺の地理に随分と詳しくなったような気がする(笑)。だが、トラブルはまだ続く。
(スズタケ通りを通過)
![]()
(篭岩山山頂)
![]()
(展望地から)
![]()
枯れたスズタケの間を通って行くと篭岩山に到着。やれやれだ。三角点に腰かけて一服。ここは展望がよろしくない。男体山が見えるだけ。ふと、人の声が聞こえた。こちらにやって来る。半分も吸っていないタバコをあわててもみ消した。残りはまた後で吸おう。だがなかなか近づかない。こちらから出向くかと、先に行くと好展望地があった。二人連れが休んでいた。何だこんなところがあったのかと、こちらも休みたかったが、単独のオッサンならまだしもどうも落ち着かない。色付きの山並みを数枚撮っただけで下る。二人連れもまた立ち上がったところだ。自分の頭の中は、次は篭岩になっている。あの岩場の穴ぼこに安置された石仏を見たいという思いがある。
(篭岩山)
![]()
(ヤブこぎで寄り道)
![]()
(ここで引き返す。左の三角峰がずっと気になった)
![]()
振り返って篭岩山を眺める。先ほどの二人連れがこちらを向いて何か言っているのが気になった。踏み跡に合わせてどんどん下る。その踏み跡は、ハイカーが多い割には薄く、ちょっとヤブになったりしている。途中で紅葉が密になったところがあって、踏み跡から外れて斜面を下ったりした。先に行くと、谷間の光景になった。どうも間違えたようだ。ヤマレコ地図とGPSを合わせる。篭岩山直下で右に行くべきところを直進したようだ。戻る。踏み跡はまだ下り続けている。ここで20分ほどのロス。展望地でゆっくりしたと思えばいいか。
(ロープ頼りの下り)
![]()
(途中で。奥久慈の山並みの景色は意外にも飽きないことを知った)
![]()
テープ書きの標識に合わせて、篭岩山とは反対側に篭岩方面に下る。急な斜面のようで、ロープが設えている。こんなところで滑ってもしょうがないので、ロープをしっかりと使わせていただく。下りきると、正面に大きな岩場だろうか、急斜面登りになっている。これを巻くのかなと、巻けそうな右手を見ると踏み跡はない。ここを素手で登るのは無理。近づくとロープが隠れている。使って上に行く。
(これでも十分だが、あと数日で見頃といったところか)
![]()
(結構、変化のあるハイキングコースだ)
![]()
(また撮ってしまった)
![]()
ここもまたいい眺めだ。また下る。斜面に頃合いのモミジが出てくる。オレンジ色。一週間もすれば真っ赤になるのか。緑葉がちょっと出遅れた感じで残っている。またロープを使って岩場を登る。標識は「篭岩山に至る→」「←篭岩展望台」とある。今、展望台の方に向かっている。問題なし。
退屈しない歩きが続く。稜線の紅葉は見頃で飽きることがない。紅葉のトンネルを歩いている感じだ。前を歩く二人連れの声が聞こえる。さっきの二人連れだろう。出会ったら気恥ずかしい。言い訳を考えたりなんかするが、追い越すと別口の二人連れだった。
(明山への分岐に入る)
![]()
(たまりませんね)
![]()
分岐にさしかかる。標識には、直進が「篭岩展望台」、左折が「明山・亀ケ渕」。今日の歩きは明山まで想定しているから、ここは左に曲がって明山を目指すが、どうもすっきりしない。この「篭岩展望台」の方向が気になる。ヤマレコ記事を改めて読むと、この方、明山までの間に篭岩なんて通過していない。携帯を取り出して篭岩をネットでチェックしてみた。まったく別ルートじゃないの。展望台の方向だ。勝手に途中にあると思い込んでいただけのこと。石仏を見たりしていたらそのまま下山になってしまう。何だ、そうなのかとがっかり。もう帰り支度態勢ではあっけない。ここは明山を優先する。また改めて訪れる機会があるかどうか。あの県道は車で通りたくはない。軽で来たとしても同じだ。
まっいいかと、明山方向に向かう。こちらもまた退屈しない歩きになった。途中で植林が入り込んだりするが、さほどの範囲でもない。「上山ハイキングコース」の標識が現れた。この標識がこれからずっと続く。紅葉も依然として続き、カエデの黄色もきれいになった。
そのうちに標識が気になりだした。分岐でもないところに標識があって、二枚重ねになっていて、上下に「←上山ハイキングコース」「上山ハイキングコース→」になっていたりする。ここは一枚「上山ハイキングコース⇔」でいいのではないのか。紅葉満喫の歩きになっているから、こんなものが目に入るとつい批判の対象になる。
(一枚岩)
![]()
(一枚岩から)
![]()
(あれが明山だろう。)
![]()
(今日来て正解だったようだ)
![]()
一枚岩にさしかかる。寄りましょう。ここにも二人連れ。篭岩山直下の方々ではない。余談だが、二人連れもオッサン、オバサンの世界になると大方は夫婦だが、そうでないパターンもあるし、実際にそうとは見えないカップルもいる。だから、つい夫婦連れという表記は避けて、二人連れとしてしまう。潜在的に嫌らしい気持ちがあるのかもしれない。いずれにせよ、自分には二人組はあっても、二人連れの歩きなんてものは、今後ともにありえないだろう。
そんなことはともかく、二人連れのオバサンは元気で一枚岩の上に乗って楽しんでいる。オッサンの方は下で携帯電話中。あの岩に登ることはできまいと先に回り込んで展望を楽しみ、つい岩に乗ってしまった。北東方向に見える三角錐の山が気になった。さっきから気になっていた。帰ってから調べると554.9m三角点峰、中武生山という山らしい。左下裾野に何かの施設が見える。今向かっている明山はどれなのか特定できていないが、方向からして、あのゴツゴツした山だろうか。
(明山が近づく)
![]()
(またかいな。気になり過ぎる)
![]()
(あのピークが帰路の分岐だろうか)
![]()
二人連れは下る準備。なら、ここでゆっくりと食事でもと思ったが、先行したくなり、さっさとコースに戻る。上山ハイキングコースは続いている。迷うこともなく歩いて行ける。ずっと尾根通しの歩きになっていて、地図を見ても自分の居場所はわかる。
小ピークに出るとまた反対側から登って来た二人連れ。今日はよく二人連れに出会う。下ると鞍部に分岐標識。左は竜神峡、右は町道上山線。ここに赤いタバコの吸い殻入れがある。こんなものを使うスモーカーがいるのだろうか。覗くと吸い殻が入っている。だれが片付けるのか。自分で持ち帰るのが当たり前だろうに。
(ようやくここまで来たといったところだ)
![]()
登り返すと、正面に明山が迫っていた。つい気になってしかたがない中武生山を振り返ってみてしまう。下ってまた登る。いささかうんざりしてきたので休憩しておにぎりを一個。ここにも町道に下る分岐標識があった。そしてアンテナが数本。ここから電波を受けて引っ張ってくるのか。ようやくラストステージに入ったようだが、明山からはここに戻って町道に下ることになる。紅葉を見ながら飽きることもなくここまで達したが、正直のところ半分は惰性歩きの状態になっている。ここまで来て明山に行かないのでは具合も悪かろうと、重くなった腰を上げる。
(明山に向かう)
![]()
(三葉峠)
![]()
(明山は岩峰のようだ)
![]()
(直下の登り)
![]()
(明山山頂)
![]()
(吊り橋が見える)
![]()
下って登ってまた下る。途中、吸い殻入れ付きのベンチを見かける。鞍部は左方向に亀ヶ渕、竜神峡の標識。そして三つ目の吸い殻入れ。ここまでの下りを後で登り返しかと思っただけでがっくりくる。ここが三葉峠というらしい。
明山の直下。直進はロープの垂れた急な登り。右は迂回路らしき道がある。先ずはさっさと着いてしまいたいからと直登。長く感じて山頂。狭い山頂だ。展望は良い。男体山の頭が見える。そして中武生山。篭岩山は特定できないがたぶんあれだろう。反対側には吊り橋のような橋が見えている。他の山の名前は知らず。ここから筑波山は見えているのだろうか。
横たわった石に腰かけておにぎりを食べたが、この石、よく見ると「三角點」と記されている。埋められた石標は「三角点」。新旧交代でこのまま放置ということだろう。わざわざ交換するようなこともないような気がするが。
(迂回路下り)
![]()
あの登り返しは嫌だなと思いながら下る。今度は迂回路を使ったが、これとてロープが張られていた。急斜面はなかったものの安上がりの道ではなかった。
ヤレヤレと町道分岐のピークに戻った。これとて、途中、ショートカットを図って余計に体力を費やしていた。ともかくこれで今日の登り作業は終わりだろう。また一服。
(ここから町道に下る)
![]()
(ここは黄色が主体)
![]()
(町道)
![]()
ここもまた気持ちの良い歩きの下りが続いた。下降するに連れて紅葉は淡くなるが、この時期でなかったら、この10分ほどの下りも飽きるだろう。町道に降り立つ。後はずっと車道歩きだろう。今日はこれを想定して地下タビではなく登山靴にした。
登山口にはハイキングマップの看板が置かれている。男体山の北西側に白木山なる山が記されている。その山が写真に収まっているのか後で確認してみよう。
(里のモミジ)
![]()
山里の風景の中を歩く。モミジの赤とイチョウの黄色が目につく。柿を収穫している家もある。ネットで、駐車場までずっと車を見かけることがなかったと記された記事を読んだことがあるが、少なくとも地元以外ナンバーの車を5台ほど見かけた。袋田の滝見物の帰りの寄り道だろうか。
(ここを左)
![]()
(標識完備)
![]()
(道端で)
![]()
(これが今日の最後か)
![]()
このまま車道歩きかと思っていたら、道路端に5基の墓石のあるところでハイキングコースは逸れた。田んぼのあぜ道のようなところを歩き、民家の前を通る。白いサザンカの花と時季外れのツツジ。道標のつつじヶ丘、西金駅に向かって歩いて行く。標識はちょっとうるさくなった。
(殺風景な中を歩いて)
![]()
(パノラマラインに出た。正面の細い道はつつじヶ丘駐車場への道)
![]()
色気のないササの間の道、植林を通過すると、パノラマラインを見下ろす階段の上に出た。ちょうどつつじヶ丘駐車場分岐だ。
(改めて男体山から篭岩山)
![]()
(ここのくたびれたツツジ)
![]()
つつじヶ丘駐車場に近づくと下りてくる車がいる。ここの道もまた狭い。乗っているのは二人連れ。おそらく山中で出会った四組のいずれかだろう。朝は逆光で暗くしか見えなかった正面の山並みの展望も今はすっきりしてはっきり見えている。今度はあの男体山に登ってみたいものだ。今日はルートミスのトラブルが2回ほどあったが、紅葉の中、すっきり歩きができて満足だ。
来る時と同様にびくびくしながらの運転で国道に出てほっとしたが、那珂インターに向かう国道はずっと混んでいた。平日なのに袋田の滝の行楽帰りでもあるまい。工事渋滞だった。通りがかりの案内看板、常陸大宮市で「やまがた宿芋煮会」が日曜日に開催されるらしい。この「やまがた宿」の「宿」とは何だろうか。宿場があったのか。気になった。
(今回の軌跡)
![]()
「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(地名・公共施設)、数値地図250mメッシュ(標高)、数値地図50mメッシュ(標高)及び基盤地図情報を使用した。(承認番号 平24情使、 第921号)」
つつじヶ丘駐車場(7:30)……不動滝(7:44)……抱き返しの滝(8:22)……釜沢越分岐(8:59)……釜沢越(9:03)……釜沢越戻り(9:42)……篭岩山(10:17)……ルートミス戻り(10:44)……明山分岐(11:13)……一枚岩(11:45)……明山(12:56)……町道(13:44)……駐車場(14:30)
奥久慈の山の紅葉はすごいらしい。いつかは見に行かなきゃと思っていたが、いかんせん遠すぎる。登山口まで車で3時間半はかかりそうだ。栃木と茨城の県境にある雨巻山に行った時ですら遠く感じていた。だが、紅葉の魅力には負ける。一週間くらい早いかもしれないが、この時期に無理してでも行って、紅葉狩りを楽しんでこよう。
奥久慈といったらメインは男体山になるのだろうか。だが、混みそうな山は控えたい。となると、篭岩山ということになる。以前から行きたいとは思っていても、何ら内容のある下調べはしたことはない。ネット記事を読んでも、地理的な感覚がないから頭に残らない。せいぜい水戸の北、袋田の滝の方だという程度のもの。袋田の滝は物見遊山で行ったことがある。滝を正面から見るのに金を払ったのが心外だったが、泊まった宿でアンコウ鍋を食べ、翌日、那珂湊の市場で魚介を買って帳消し気分にした。
『山と高原地図』にも奥久慈編は収録されていない。ブログ仲間の皆さんの奥久慈歩きの記事を拝見してもぴんとこない。仕方がないので、ヤマレコの記録に自分にもわかりやすい歩きが載っていたので、その記事と地図を刷り出して出かけることにした。丸写しの歩きをするつもりだ。奥久慈入門としては、こんなメインルートぽいところでいいだろう。ただ、しばらくは尾根通し、沢通し歩きといったパターンから外れているのが気にかかる。
ずっと高速を使い、つつじヶ丘駐車場に着くまでに3時間。予定より30分早かったが、国道から離れて県道に入ると、これが県道かと思うほどの狭いところがいくつもあり、これがまた民家の玄関先を通ったり、長かったりする。始末の悪いことに待機スペースも少ないときている。対向車が来ないものかとずっとひやひやし、駐車場に着いた時にはかなりげんなりしていた。ナビがところどころでショートカットさせたのじゃないのかと思い、帰りは忠実に県道を辿ろうとしたが、結局、やはり来た道と同じで、こんな気分になるのでは、もう二度と来られないなと思ったほどだ。
(あれが奥久慈男体山だろう)

(篭岩山かねぇ)

(となると、あれは篭岩か)

駐車場には車が一台。渋い感じの品の良い単独氏が朝焼けの男体山を一眼で撮影中。撮影目的かと思ったが、脇にザックがある。どこに行かれるのか知らないが、ここからのルートは大方似たようなものだろう。挨拶はしたが、物静かな方のようで、余計なことは詮索しない方がいいだろう。戻って来た時には、まだこの方の車があった(瀑泉さんの根本山記事にコメントが入っていたが、この方、まさか雪田爺さんではあるまいな。宇都宮ナンバーだが、車が違うような…。⇒やはりそうだった)。こちらも少し離れて眺める。コンデジでは格も落ちる。男体山はすぐにわかる。左のピークは地図を見ると長福山というのかなぁ。篭岩山はあれで、篭岩は右のあれだろうな。この時点では篭岩山も篭岩も両方同一のコース上にあると思っている。こんなレベルでの歩き出しだ。さっさと出発。
(ちょっと失礼。通らせていただきます。これは定番の写真)

(不動滝)

(滝の上に出る)

奥久慈パノラマラインを下る。こんないい道があるのに、途中のあの県道は何なのだと思ってしまう。目印の民家の前を入る。標識は「不動滝・篭岩・竜神峡」となっている。竜神峡はよくわからないが、これでいいのだろうが、駐車場のトイレ脇にも「篭岩」標識があった。こことは別方向だった。あちこちから行けるということなのだろう。この先も各所で「篭岩」標識を見かけ、しまいには標識そのものが篭岩山と篭岩がごちゃ混ぜになっているのではないのかと疑問を抱くようになる。地理院地図には三角点峰が「篭岩」になっている。これは「篭岩山」でしょう。確か、瀑泉さんの記事でもこのご指摘を見かけたような気がする。
薄暗い沢沿い(この沢は湯沢というらしい)を行くと、間もなく不動滝。鳥居と安置されてそんなに古くないような不動明王像があった。紅葉をバックに滝の写真でもと思ったが、紅葉はいまいちの淡い色づき。ロープを伝って上に出る。その先にクサリ。これは使うほどのものでもない。
(これも定番の例の淵。最後はジャンプしたが難なく左の溝を行ける。)

(その先は大石がゴロゴロ)

(淡い紅葉が出てくる。ここはモミジ谷というほどでもないか)

(篭岩の方かと思うが)

続いてネットでよく見かける淵のスポット。ここはヘツリをして通過のようだ。写真で見て記憶していた左側のクサリはない。ふみふみぃさんが歩かれた6日前は、水量が多くて右岸に渉れずに巻いたようだが、何も問題なく通過できた。緊張もしなかった。ちょっと拍子抜け。後で写真を見ると、確かに巻き用のロープが右に写っていた。
大きな石がゴロゴロしだした。そして「篭岩・上山→」の標識。このまま沢の先を示す案内はない。どうせ後で篭岩を通るのだろうし、ここは沢をそのまま登って行く予定でいるから、この標識は無視して沢通しにする。
大石がずっと積み重なっている。どうすればこんな状況になるのか。石には赤ペンキやロープがあったりする。巻く際には、ところどころにテープもあって、無言の親切というか配慮というか。テープを見落とすと、通過に手こずるところもある。紅葉はまだまだ淡い。右を見上げると、篭岩らしき岩が見えるが違うかなぁ。
(抱き返しの滝)

(色づきも次第に濃くなる)

(いい雰囲気の谷)

(朝陽のあたるところの黄色は燃えているようだ)

大石越えにもそろそろ飽きた頃に「抱き返し滝」に到着。滝だと言われなければそういう見方をしないような滝だが、水が多い時は見ごたえもあるのだろう。ひしゃげた鉄ハシゴを使って脇を登る。
滝を越えると沢の様相が一変した。大石がめっきり少なくなり、静かな渓谷の風情になった。周囲の色づきも増してきた。こうでなくてはなぁと思っても、ここは谷合いで光が射し込まない。朝陽のあたった鮮やかな紅葉は拝めず、撮る写真もまた結果的にピンボケ続きとなる。
沢の水は続いている。落葉がすっぽりで水が見えないところもある。注意して足を運ばないとドボンだ。しかし、この辺は好みだねぇ。ナメも続くし、ちょっとした水流も感じが良い。ここもまたモミジ谷といったところだが、盛りはもう少し先かなぁ。陽があたっているところの黄色はかなりきれいだが。
(注意して歩けば濡れることはない)

(沢をここから離脱。左に「←釜沢越」の標識がある)

良い感じの歩きがしばらく続くが、目の前に植林が出てきてちょっとがっかり。だが、すぐに植林の風景は消えてくれた。沢は二俣になり、水気の多い方に行く。なおも同じ風情は続いているが、どうしても植林が目に入り込むようになってくる。
杉の木に赤テープ巻きを見た。周囲を見ると「←釜沢越」の標識があった。ここで沢から離脱のようだ。持参のヤマレコ記事を確認する。だが、ここの理解の仕方が誤っていた。記事には「釜沢越え分岐を右折」とある。これを「釜沢越というところで右折」と解釈してしまった。地理に不案内ではしかたがない。後の祭りだが、ここが「釜沢越分岐」であった。
(釜沢越)

件の記事に出ている右手に作業小屋なんか見えてこない。気づかなかっただけかと先に行くと、十字路風の場所に出て、標識がある。ここが「釜沢越」だろう。ここの右折方面は「鷹取岩」と記されている。それでいて、篭岩山は戻る方向に記されているが、記事にはここを「右折」とあるから疑わない。鷹取岩は篭岩山に向かう途中にある岩だと思っている。頭の中に?マークがなかったわけではないが、せいぜい20%くらいの不安だ。記事には「沢沿いを歩く」となっているのに実際は尾根伝いになっていて、作業小屋を見つけられなかったことと合わせて20%の不安といったところだ。ここでまずは菓子パンを食べて一服。標識には「不動滝に下るのは危険」とテープ書きが垂れている。下り使用では確かにそうかもね。
(間違いルートを行く)

(西側の展望)

(あれは鷹取岩かも。ぶなじろうさんの「爺さん岩」とかもあのあたりか)

釜沢越十字路を右折して登る。上がるたびに色づきが良くなっていく。陽あたりのせいもあろう。赤はないが黄色でむせてしまいそうだ。時間がとられる。小ピークに達し、下りにかかる。樹には「タカ取岩→」の手書きテープ。不安になってくる。どうも「篭岩」方面に向かっている気配はない。自分の居場所が不明で、コンパスを出すと、東ではなく北に向かっている。不安度は50%を超えた。
西側の展望がちょっと広がった。山並みが一面に色づいている。なるほど、これが奥久慈の紅葉か。登り上げると峠のようなところになった。ここにも標識があって、来た方向に向いて「篭岩 釜沢越」とある。これでルートミスは確実なようだ。念のため先に下って行くと、樹間越しに鷹取岩らしき岩峰が見えた。これはお呼びではなかった。峠に戻る。このまま釜沢越まで行かずに、直進して尾根通しに行けやしないかと思ったりもしたが、地図を広げたとて自分の居場所がぴんとこない。やはり釜沢越に戻って仕切り直しか。
下りかけるとオジサンが上がって来た。挨拶を交わして話をすると地元の方らしい。佐中から登って来たとおっしゃっている。恥を忍んで胸の内を伝える。釜沢越を左に行けばいいと言われた。そちらから登って来たのですけどと言ったが、どうも、いただいた適切なアドバイスも、自分の頭の中の地図では違和感がある。作業小屋が右手に見えるとも言われた。一応、納得したような顔をして釜沢越に戻る。頭の中は「??」のまま。
(釜沢越の石祠)

(作業小屋か)

それどころではないのだが、釜沢越にあった石祠に気づき時間をまたとられる。字は何も刻されていない。ここも古道だろうか。そんなことはさておき、しっくりしないままに同じところを下り、植林の赤テープのあった標識を前にしてまた悩む。やはり篭岩は抱き返しの滝と同じ方向になっている。そんなことはあるまいと、ここは左の踏み跡のある方を見てみると、右手に小屋が見えた。これがヤマレコ記事のいう作業小屋。ここでようやく「釜沢越」と「釜沢越分岐」の違いを納得した。この間、50分のロス。まぁ何となくではあるが、男体山、鷹取岩、篭岩山の配置関係がわかったからいいか。
(尾根に向かう。本日一番の冴えない景色の場所)

(尾根に出る)

沢沿いのちょっと汚い景色、植林混じりのところを行く。ここはテープと踏み跡頼りに歩く。先に尾根型らしきものが横に続いている。あれに上がればいいのか。沢から離れると手製の標識が2枚。来た方向に「釜沢越」と「カマサワ下り」とある。湯沢がどこからカマサワになったのか疑問があるが、正解ルートを歩いているようだから気に留めないことにしよう。
尾根に出た。賑やかな紅葉になっている。今日来て良かったなぁ。尾根を右に行けば篭岩山だろうが、尾根通し左に延びる踏み跡が気になる。これか裏縦走路というのは。ふみふみぃさんご一行が歩かれていたなぁ。ここに至り、この辺の地理に随分と詳しくなったような気がする(笑)。だが、トラブルはまだ続く。
(スズタケ通りを通過)

(篭岩山山頂)

(展望地から)

枯れたスズタケの間を通って行くと篭岩山に到着。やれやれだ。三角点に腰かけて一服。ここは展望がよろしくない。男体山が見えるだけ。ふと、人の声が聞こえた。こちらにやって来る。半分も吸っていないタバコをあわててもみ消した。残りはまた後で吸おう。だがなかなか近づかない。こちらから出向くかと、先に行くと好展望地があった。二人連れが休んでいた。何だこんなところがあったのかと、こちらも休みたかったが、単独のオッサンならまだしもどうも落ち着かない。色付きの山並みを数枚撮っただけで下る。二人連れもまた立ち上がったところだ。自分の頭の中は、次は篭岩になっている。あの岩場の穴ぼこに安置された石仏を見たいという思いがある。
(篭岩山)

(ヤブこぎで寄り道)

(ここで引き返す。左の三角峰がずっと気になった)

振り返って篭岩山を眺める。先ほどの二人連れがこちらを向いて何か言っているのが気になった。踏み跡に合わせてどんどん下る。その踏み跡は、ハイカーが多い割には薄く、ちょっとヤブになったりしている。途中で紅葉が密になったところがあって、踏み跡から外れて斜面を下ったりした。先に行くと、谷間の光景になった。どうも間違えたようだ。ヤマレコ地図とGPSを合わせる。篭岩山直下で右に行くべきところを直進したようだ。戻る。踏み跡はまだ下り続けている。ここで20分ほどのロス。展望地でゆっくりしたと思えばいいか。
(ロープ頼りの下り)

(途中で。奥久慈の山並みの景色は意外にも飽きないことを知った)

テープ書きの標識に合わせて、篭岩山とは反対側に篭岩方面に下る。急な斜面のようで、ロープが設えている。こんなところで滑ってもしょうがないので、ロープをしっかりと使わせていただく。下りきると、正面に大きな岩場だろうか、急斜面登りになっている。これを巻くのかなと、巻けそうな右手を見ると踏み跡はない。ここを素手で登るのは無理。近づくとロープが隠れている。使って上に行く。
(これでも十分だが、あと数日で見頃といったところか)

(結構、変化のあるハイキングコースだ)

(また撮ってしまった)

ここもまたいい眺めだ。また下る。斜面に頃合いのモミジが出てくる。オレンジ色。一週間もすれば真っ赤になるのか。緑葉がちょっと出遅れた感じで残っている。またロープを使って岩場を登る。標識は「篭岩山に至る→」「←篭岩展望台」とある。今、展望台の方に向かっている。問題なし。
退屈しない歩きが続く。稜線の紅葉は見頃で飽きることがない。紅葉のトンネルを歩いている感じだ。前を歩く二人連れの声が聞こえる。さっきの二人連れだろう。出会ったら気恥ずかしい。言い訳を考えたりなんかするが、追い越すと別口の二人連れだった。
(明山への分岐に入る)

(たまりませんね)

分岐にさしかかる。標識には、直進が「篭岩展望台」、左折が「明山・亀ケ渕」。今日の歩きは明山まで想定しているから、ここは左に曲がって明山を目指すが、どうもすっきりしない。この「篭岩展望台」の方向が気になる。ヤマレコ記事を改めて読むと、この方、明山までの間に篭岩なんて通過していない。携帯を取り出して篭岩をネットでチェックしてみた。まったく別ルートじゃないの。展望台の方向だ。勝手に途中にあると思い込んでいただけのこと。石仏を見たりしていたらそのまま下山になってしまう。何だ、そうなのかとがっかり。もう帰り支度態勢ではあっけない。ここは明山を優先する。また改めて訪れる機会があるかどうか。あの県道は車で通りたくはない。軽で来たとしても同じだ。
まっいいかと、明山方向に向かう。こちらもまた退屈しない歩きになった。途中で植林が入り込んだりするが、さほどの範囲でもない。「上山ハイキングコース」の標識が現れた。この標識がこれからずっと続く。紅葉も依然として続き、カエデの黄色もきれいになった。
そのうちに標識が気になりだした。分岐でもないところに標識があって、二枚重ねになっていて、上下に「←上山ハイキングコース」「上山ハイキングコース→」になっていたりする。ここは一枚「上山ハイキングコース⇔」でいいのではないのか。紅葉満喫の歩きになっているから、こんなものが目に入るとつい批判の対象になる。
(一枚岩)

(一枚岩から)

(あれが明山だろう。)

(今日来て正解だったようだ)

一枚岩にさしかかる。寄りましょう。ここにも二人連れ。篭岩山直下の方々ではない。余談だが、二人連れもオッサン、オバサンの世界になると大方は夫婦だが、そうでないパターンもあるし、実際にそうとは見えないカップルもいる。だから、つい夫婦連れという表記は避けて、二人連れとしてしまう。潜在的に嫌らしい気持ちがあるのかもしれない。いずれにせよ、自分には二人組はあっても、二人連れの歩きなんてものは、今後ともにありえないだろう。
そんなことはともかく、二人連れのオバサンは元気で一枚岩の上に乗って楽しんでいる。オッサンの方は下で携帯電話中。あの岩に登ることはできまいと先に回り込んで展望を楽しみ、つい岩に乗ってしまった。北東方向に見える三角錐の山が気になった。さっきから気になっていた。帰ってから調べると554.9m三角点峰、中武生山という山らしい。左下裾野に何かの施設が見える。今向かっている明山はどれなのか特定できていないが、方向からして、あのゴツゴツした山だろうか。
(明山が近づく)

(またかいな。気になり過ぎる)

(あのピークが帰路の分岐だろうか)

二人連れは下る準備。なら、ここでゆっくりと食事でもと思ったが、先行したくなり、さっさとコースに戻る。上山ハイキングコースは続いている。迷うこともなく歩いて行ける。ずっと尾根通しの歩きになっていて、地図を見ても自分の居場所はわかる。
小ピークに出るとまた反対側から登って来た二人連れ。今日はよく二人連れに出会う。下ると鞍部に分岐標識。左は竜神峡、右は町道上山線。ここに赤いタバコの吸い殻入れがある。こんなものを使うスモーカーがいるのだろうか。覗くと吸い殻が入っている。だれが片付けるのか。自分で持ち帰るのが当たり前だろうに。
(ようやくここまで来たといったところだ)

登り返すと、正面に明山が迫っていた。つい気になってしかたがない中武生山を振り返ってみてしまう。下ってまた登る。いささかうんざりしてきたので休憩しておにぎりを一個。ここにも町道に下る分岐標識があった。そしてアンテナが数本。ここから電波を受けて引っ張ってくるのか。ようやくラストステージに入ったようだが、明山からはここに戻って町道に下ることになる。紅葉を見ながら飽きることもなくここまで達したが、正直のところ半分は惰性歩きの状態になっている。ここまで来て明山に行かないのでは具合も悪かろうと、重くなった腰を上げる。
(明山に向かう)

(三葉峠)

(明山は岩峰のようだ)

(直下の登り)

(明山山頂)

(吊り橋が見える)

下って登ってまた下る。途中、吸い殻入れ付きのベンチを見かける。鞍部は左方向に亀ヶ渕、竜神峡の標識。そして三つ目の吸い殻入れ。ここまでの下りを後で登り返しかと思っただけでがっくりくる。ここが三葉峠というらしい。
明山の直下。直進はロープの垂れた急な登り。右は迂回路らしき道がある。先ずはさっさと着いてしまいたいからと直登。長く感じて山頂。狭い山頂だ。展望は良い。男体山の頭が見える。そして中武生山。篭岩山は特定できないがたぶんあれだろう。反対側には吊り橋のような橋が見えている。他の山の名前は知らず。ここから筑波山は見えているのだろうか。
横たわった石に腰かけておにぎりを食べたが、この石、よく見ると「三角點」と記されている。埋められた石標は「三角点」。新旧交代でこのまま放置ということだろう。わざわざ交換するようなこともないような気がするが。
(迂回路下り)

あの登り返しは嫌だなと思いながら下る。今度は迂回路を使ったが、これとてロープが張られていた。急斜面はなかったものの安上がりの道ではなかった。
ヤレヤレと町道分岐のピークに戻った。これとて、途中、ショートカットを図って余計に体力を費やしていた。ともかくこれで今日の登り作業は終わりだろう。また一服。
(ここから町道に下る)

(ここは黄色が主体)

(町道)

ここもまた気持ちの良い歩きの下りが続いた。下降するに連れて紅葉は淡くなるが、この時期でなかったら、この10分ほどの下りも飽きるだろう。町道に降り立つ。後はずっと車道歩きだろう。今日はこれを想定して地下タビではなく登山靴にした。
登山口にはハイキングマップの看板が置かれている。男体山の北西側に白木山なる山が記されている。その山が写真に収まっているのか後で確認してみよう。
(里のモミジ)

山里の風景の中を歩く。モミジの赤とイチョウの黄色が目につく。柿を収穫している家もある。ネットで、駐車場までずっと車を見かけることがなかったと記された記事を読んだことがあるが、少なくとも地元以外ナンバーの車を5台ほど見かけた。袋田の滝見物の帰りの寄り道だろうか。
(ここを左)

(標識完備)

(道端で)

(これが今日の最後か)

このまま車道歩きかと思っていたら、道路端に5基の墓石のあるところでハイキングコースは逸れた。田んぼのあぜ道のようなところを歩き、民家の前を通る。白いサザンカの花と時季外れのツツジ。道標のつつじヶ丘、西金駅に向かって歩いて行く。標識はちょっとうるさくなった。
(殺風景な中を歩いて)

(パノラマラインに出た。正面の細い道はつつじヶ丘駐車場への道)

色気のないササの間の道、植林を通過すると、パノラマラインを見下ろす階段の上に出た。ちょうどつつじヶ丘駐車場分岐だ。
(改めて男体山から篭岩山)

(ここのくたびれたツツジ)

つつじヶ丘駐車場に近づくと下りてくる車がいる。ここの道もまた狭い。乗っているのは二人連れ。おそらく山中で出会った四組のいずれかだろう。朝は逆光で暗くしか見えなかった正面の山並みの展望も今はすっきりしてはっきり見えている。今度はあの男体山に登ってみたいものだ。今日はルートミスのトラブルが2回ほどあったが、紅葉の中、すっきり歩きができて満足だ。
来る時と同様にびくびくしながらの運転で国道に出てほっとしたが、那珂インターに向かう国道はずっと混んでいた。平日なのに袋田の滝の行楽帰りでもあるまい。工事渋滞だった。通りがかりの案内看板、常陸大宮市で「やまがた宿芋煮会」が日曜日に開催されるらしい。この「やまがた宿」の「宿」とは何だろうか。宿場があったのか。気になった。
(今回の軌跡)

「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(地名・公共施設)、数値地図250mメッシュ(標高)、数値地図50mメッシュ(標高)及び基盤地図情報を使用した。(承認番号 平24情使、 第921号)」