◎2016年10月27日(水)
まだらおの湯駐車場(9:55)……最後の林道登山口(10:25)……南尾根合流(11:00)……大明神岳(11:23)……斑尾山(11:35)……北峰(11:45)……ぐん平街道に入る(12:15)……大池(13:05)……まだらおの湯(13:30)
いつもの松本、長野への出張。だれも行きたがらないから、年に2回、自分に回ってくる。その経路、本来ならば新宿から直通のあずさで松本に向かえばいいのだが、なぜか渡された切符は熊谷から新幹線で長野経由の松本行き。これまで土日の出発が多かったので熊谷発にしていたが、平日にこのルートでは七面倒くさい。新宿駅がすぐそこなのに、一旦、家に戻る形になってしまう。これ幸いに、敢えて乗車変更もせず、その日は休みにして山に行くことにした。
当初は戸隠山にでも行くつもりでいたが、例のキレット「蟻の塔渡り」(ずっと「戸渡り」と思っていたが「塔渡り」が正解。「戸」や「門」にすると隠語になってしまう)通過はどんなものかとネットで調べていると、グループ行の一人がみんなの目の前で墜落していった記事を見かけてしまい、戸隠山は縁のない山にした方が無難かと、飯縄山を前回の反対側からと考えたりもしたが、結局は行ったことのない斑尾山(まだらおやま)ということにした。というのも、根拠もなく長野あたりでは紅葉の盛りが標高1,200~1,300mくらいではと勝手に思い込み、1,382mの斑尾山は頃合いなのではと思ったからのこと。
長野駅からはレンタカー。山登りの後は車を返して松本へ。そして翌日はまた長野に戻って仕事ということになる。だったら松本の山にしたいところだが、自分がかねてから行きたいと思っている有明山は時間的にかなり厳しくアクセスも悪い。どうしても長野駅起点で考えざるを得ない。
この斑尾山、山と高原地図を見るとコースがいくつかある。林道とスキー場歩きは避けたいが、周回するとなると避けられない。ネット記事を参考に「まだらおの湯」(大池の北)から登り、スキー場脇を下ることにした。ただ、この辺はやたらと林道や作業道が入り組んでいて間違いやすいようだ。このまだらおの湯だが、自分の持っている2002年版の同地図に記載はなく「保健休養センター(改築中)」となっている。
(まだらおの湯)
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(駐車場から斑尾山)
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まだらおの湯の車道を挟んだ第2駐車場に車を置く。登山者はここに置かないといけないらしい。斑尾山の山頂が見えている。出張スタイルで来ている。荷物はレンタカー屋に送ってあった。着替えて出発。だが、すんなりはいかない。どこから歩き出せばいいのかわからず、まだらおの湯にあった周辺地図看板に「トレッキングコース」というのが記されていて、おそらくこれだろうと裏手に回って歩き出す。
(子供の遊び場のようなところを歩く)
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(トレッキングコース)
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(えぐられた感じの道)
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アスレチック広場とマレットゴルフ場とかの施設を突っきって行く。未舗装の道路が続いているが、車の往来は制限されていないようで轍がある。空の雲は半分未満。圧倒的な青空でぽかぽかして暖かい。今日の関東、夏日の予報が出ていたが、こちらもそうか。翌日、松本のタクシーに乗ったら、松本も27℃までいったと運転手氏が話していた。
紅葉はすでに終わっている。やはり、そんなものだろう。社山の紅葉、二匹目の泥鰌なんてうまい話はざらにあるわけがない。これでは上を期待するまでもない。実のところ、期待もせずに出かけたら、とんでもない紅葉に出会ってしまったという展開を少しは望んでいた気持ちもあった。間もなく最初の標識が出てくる。「斑尾山2.8km」。各方面ともに矢印が出ているが、ここの標識の直進を指す矢印方向が上下の場合、手前を指すのか裏手を指すのかが微妙で、標識に出会うたびに悩むことになる。
(林道が横切る)
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(これは盛り)
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(これは終わり)
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相変わらずの轍道。車は通らない。周囲は別荘地のようだ。葉の落ちた木々、緑葉、終わりかけのモミジ、黄色が左右に続く。林道がクロスする。その先に引き続きの階段が覗いている。一時的に車道から離れるが、すぐに林道に出る。この繰り返しが数回。林道をちょっと歩くこともある。自分のような初めてハイカーは、標識を見落とすとおかしなところに出てしまいそうだ。
(ここから右に入る)
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(ここから急な山道になる)
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(あの出口が終点かと思っていた)
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(見下ろして)
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林道の先に車が止まっていた。ここは峠のようになっている。車は5台。うち軽トラが4台。ぴったり詰めてとまっていて山歩きとは思えない。キノコ? 作業? 林道にクロスする箇所はここが最後だろう。脇の階段の先は急な登り道になっている。右はヒノキの植林で、左が雑木と自然林。長い急坂だ。かなり先に出口が見えているがはるかに遠く感じる(実際はトンネル出口ではなく、たどり着くと、さらに先にも出口が待っていた)。自然林側の紅葉はまばらな淡い紅葉で、その先に見える斜面の色づきは良い。ここからだと枝葉がじゃまでまともに見ることはできない。おそらく、垣間見えたアレが今日の最高の紅葉だったかもしれない。
ドングリがかなり落ちている。粒が大きい。この辺にクマは出ないのだろうか。周辺にはドングリの匂いが立ち込めている。気持ちの良い急坂だが、汗がしきりに流れる。手拭いはすぐに一本ダメになった。普段、こんな大量の汗はかかない。赤城山に行って以来、風邪をぐずぐずとひいている。この汗で風邪もさっぱり流したいところだが、風邪ひきの体には、この登りがかなりきつい。
(ようやくなだらかになって、そろそろ稜線に合流)
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(結構色づきが良い感じはするのだが、実際は終わりかけ)
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(左のピークが斑尾山だろうか。大明神岳だった。)
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植林が自然林に吸収され、大きな石が出はじめ、それがおさまると、やがて稜線に合流した。これまでも尾根歩きだったのだが、ここは斑尾山の南尾根で、地図を見ると三水村と豊田村の境界にもなっている(いずれも今は飯縄町と中野市になっているようだ)。そのまま南に下るコースがあるかと思ったが、ヤブで踏み跡はない。こちらは、ヤブ好きハイカーもあまりいないのだろうか。
ここに小型のリュックが5個、木の枝に引っかけて置かれていた。下の車の台数と同じ。ここからキノコ採り?と、その時は思っていた。明け方まで雨が降っていたのか、落ち葉に埋もれた道はところどころで埋もれるし、樹の肌も濡れている。気のせいか、何となく陽が陰ってきたような感じ。
(大明神岳の標識)
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モーター音が聞こえてきた。やはり作業中だった。登山道の整備。草刈機で細かい立枝を払っていた。作業中のオジサンの近くに行っても、いくらスズを鳴らしているとはいえ、当人にはモーター音しか聞こえていない。草刈機を左右に動かしながら作業しているから、おもむろに後ろから脇に飛び出すわけにもいかない。様子を見ながら、後ろから「コンニチワ、ご苦労さま」と大声を出して前に出る。これを4回やって、5人目のオッサン(この方だけは若手だった。軽トラ4台に混じって、パジェロミニがあったから、この方のだろう)の姿をとらえたところで、何やらピークらしき高台の下、左向きに「大明神岳0.3km」の標識を見た。その標識には「展望バツグン 野尻湖が見える」の文言が添えられている。
(ガスが出てきていた)
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(大明神岳山頂)
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実はここのピークは斑尾山山頂だったのだが、そうとは知らず、だったら大明神岳に先回りしようということで、標識に合わせて左に下りかける。すると、先はかなり霧が濃くなっている。オジサンの追い越しばかり気にとられ、周囲も見ないで歩いていたが、霧が出てきていたようだ。
たいした時間もかからずに大明神岳に着いた。何も見えない。展望バツグンの状態ではなかった。見上げると、青いのがどんどん狭まってきている。これではどうしようもない。今日は良天予報のはず。しばらく待てばカラッといくかなと思ったが、その気配はなく霧は濃くなる一方。ここまで来て残念だが戻る。
(斑尾山十三体。中に石仏が13体納まっているようだ)
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標識のあったところに戻ると、石祠があった。「斑尾山十三体」とある。ところどころ字が消えた案内板には、薬師如来は十二体(十二神将)あったのを、村人が自分の家の守り神にしようと一体持って帰ったが、災難続きで山に戻しに来た。すると既に十二体に戻っていて、どうしても持参の一体は入らない。放り出して下山し、改めて見に行くと、十三体がすっぽりと収まっていた。その話を聞いた村人が次々と出向き、薬師連を外に出してパズル解きのようなことをやる。やはりどうしても一体入らない。そのままにして翌日行くときれいに収まっている。というようなことが書かれている。試してみるつもりはないが、後でネット記事を見ると、この中の石仏を動かすと雨が降るという伝承もあるらしい。もしかすると、急に霧が出てきたのも、誰かが手を加えたのではないのかと疑ってしまう。
(斑尾山山頂)
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石祠を見て、上のピークに2~3歩踏み出すと、そこが斑尾山山頂だった。何となくとぼけた話になってしまった。ほとんど同時に、反対側のスキー場の方からオニイさんが登ってきた。霧がかかったのはそちらの方が早かったらしく、がっかりした表情。やはり大明神岳から野尻湖方面を眺めるのを楽しみにして登ってきたのだそうだ。おそらく、自分と同じようなもので、仕事を休んでやって来たのではないのか。この霧、晴れますかねと聞かれたが、薬師様を動かしたのがいるのではしょうがない。何とも言えない。何だか、自分の返答如何によっては、しばらく晴れ間を待ってもいいような感じだったので、無責任なことも言えず、さっさと北峰を目指した。こんな状態では長居は無用。ここの山頂からの眺めは、木立に囲まれて良くないようだ。
(霧が濃くなる)
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(北峰山頂)
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ガスが押し寄せてきた感じになってきた。青空は完全に消えた。下って行くと、もう一人上がって来た。こんにちは、霧が出てきちゃいましたね。残念ですよ。まったく。ちょっと登り上げて北峰に到着。ここもまた何も見えないでいるが、一服しようとしたら今度は雨がポツリと落ちてきた。雨粒は大きい。合羽はまだいいか。
状況によっては、ここから万坂峠を経由して袴岳まで行くことも想定はしていたが、この空模様ではそんな気にもなれない。むしろ、さっさと下山して温泉にでも浸かりたい気分になっている。というのも、汗をかいた身体が急に冷えてきていた。標識の「斑尾街→」に向けて下降する。
(スキー場)
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(この辺は明瞭だが)
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(こうなると、ガスの中ではこれでいいのかと思ってしまう)
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スキー場のヘリを下っていく。おぼろげに霧の中にリフト施設のようなものが見えている。これがなかったら、スキー場であることすらわからない。ハイキングコースの踏み跡はヘリからゲレンデを横切ったり、ゲレンデ中の下降になって続いている。この霧の中では、この踏み跡を見失ったらきついことになるだろう。薄くなりかけたところは細心の注意が必要だ。たまにヘリに戻ると、ぼんやりした木立の紅葉が目に入る。
(ぐん平街道分岐)
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(晴れていれば見栄えもしたろうが)
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倒れたススキが原の斜面を通過する。このススキはそのうちに立ち上がるのだろうか。もしくはこのままか。やがて「ぐん平街道」の標識が出てくる。この街道は万坂峠と大池を結ぶ道だろう。大池まで3.2kmとある。ここを大池方面に行くとしよう。雨は本降りになる前に上がったが、霧の中を歩いたため、全身がびっしょりになっている。
(目の前をヤマカガシが横切って行った)
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(水神様)
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下の方は霧も薄い。次第に晴れてくる気配だ。往路の下と同様に、作業道まがいの林道とクロスする。赤い斑点を付けたヘビが目の前を通って行った。ヤマカガシだ。こんなの見たのは初めて。
「清川源流標」というのがあった。清川は飯山を流れる川だ。源流は湧水で、地面の下から流れ出ていた。その脇には水神様が置かれている。
(霧が上がってきた)
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(やはり今一つだねぇ)
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(大池)
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(大池から斑尾山)
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標識にしたがってだらだらと歩いている。ここもまた淡い紅葉が左右に続いている。そして青空が出てきた。せっかくだから大池に行ってみよう。
大池の水は涸れ、底が露呈していた。農業用水か何かで流したのだろうか。ふと見上げると、皮肉にも青空をバックに斑尾山が見えた。お決まりのパターンだったな。今なら野反湖も丸見えだろう。ここで休憩して昼食タイムにする。
(まだらおの湯に向かう)
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まだらおの湯まではすぐだ。駐車場に戻り、着替えをもって風呂に行く。コーヒー牛乳付きの450円。だれもいずのんびりと浸かった。無臭、無色透明の温泉。沸かしのようだ。そのうちに他の客が入ってきたので切り上げる。そのままここで蕎麦を食べた。
レンタカーの返却は6時。まだ時間もあるが、もう一山といった時間はない。実は鬼無里に一夜山という短時間で登れる展望の山があり、ここもまた時間があったらと思ったりしていたが、汗をかくことがなかったら風呂に入ることもなくそのまま行けただろうが、そこまでの時間はない。ドライブがてらの戸隠経由にする。
(反対側から)
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(野尻湖から)
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(随神門)
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(迂回して戻る)
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(鏡池から戸隠山)
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斑尾山の裏手を回って、野尻湖経由で戸隠に向かう。斑尾山は出ていたが、ここから見える妙高、黒姫、飯縄はすべて山頂が雲ですっぽりになっている。野尻湖に寄り、戸隠。せめて戸隠神社の奥社まで行きたかったが時間もなく随神門で戻る。そして暗くなりかけた鏡池から戸隠山を眺めて長野駅に向かう。
今日の斑尾山は見事に失敗だった。霧に巻かれたこともさることながら、チラ見で終わった紅葉もまた読みが甘かったようだ。この山、山スキーで来たら楽しいかもしれない。あっけないかもしれないが、ゲレンデトップからわずかで山頂だ。だからといってその時期に合わせての再訪を頭に入れているわけではないが。まぁ不十分だが、斑尾山はこれでいいだろう。
(斑尾山の軌跡)
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「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(地名・公共施設)、数値地図250mメッシュ(標高)、数値地図50mメッシュ(標高)及び基盤地図情報を使用した。(承認番号 平24情使、 第921号)」
まだらおの湯駐車場(9:55)……最後の林道登山口(10:25)……南尾根合流(11:00)……大明神岳(11:23)……斑尾山(11:35)……北峰(11:45)……ぐん平街道に入る(12:15)……大池(13:05)……まだらおの湯(13:30)
いつもの松本、長野への出張。だれも行きたがらないから、年に2回、自分に回ってくる。その経路、本来ならば新宿から直通のあずさで松本に向かえばいいのだが、なぜか渡された切符は熊谷から新幹線で長野経由の松本行き。これまで土日の出発が多かったので熊谷発にしていたが、平日にこのルートでは七面倒くさい。新宿駅がすぐそこなのに、一旦、家に戻る形になってしまう。これ幸いに、敢えて乗車変更もせず、その日は休みにして山に行くことにした。
当初は戸隠山にでも行くつもりでいたが、例のキレット「蟻の塔渡り」(ずっと「戸渡り」と思っていたが「塔渡り」が正解。「戸」や「門」にすると隠語になってしまう)通過はどんなものかとネットで調べていると、グループ行の一人がみんなの目の前で墜落していった記事を見かけてしまい、戸隠山は縁のない山にした方が無難かと、飯縄山を前回の反対側からと考えたりもしたが、結局は行ったことのない斑尾山(まだらおやま)ということにした。というのも、根拠もなく長野あたりでは紅葉の盛りが標高1,200~1,300mくらいではと勝手に思い込み、1,382mの斑尾山は頃合いなのではと思ったからのこと。
長野駅からはレンタカー。山登りの後は車を返して松本へ。そして翌日はまた長野に戻って仕事ということになる。だったら松本の山にしたいところだが、自分がかねてから行きたいと思っている有明山は時間的にかなり厳しくアクセスも悪い。どうしても長野駅起点で考えざるを得ない。
この斑尾山、山と高原地図を見るとコースがいくつかある。林道とスキー場歩きは避けたいが、周回するとなると避けられない。ネット記事を参考に「まだらおの湯」(大池の北)から登り、スキー場脇を下ることにした。ただ、この辺はやたらと林道や作業道が入り組んでいて間違いやすいようだ。このまだらおの湯だが、自分の持っている2002年版の同地図に記載はなく「保健休養センター(改築中)」となっている。
(まだらおの湯)

(駐車場から斑尾山)

まだらおの湯の車道を挟んだ第2駐車場に車を置く。登山者はここに置かないといけないらしい。斑尾山の山頂が見えている。出張スタイルで来ている。荷物はレンタカー屋に送ってあった。着替えて出発。だが、すんなりはいかない。どこから歩き出せばいいのかわからず、まだらおの湯にあった周辺地図看板に「トレッキングコース」というのが記されていて、おそらくこれだろうと裏手に回って歩き出す。
(子供の遊び場のようなところを歩く)

(トレッキングコース)

(えぐられた感じの道)

アスレチック広場とマレットゴルフ場とかの施設を突っきって行く。未舗装の道路が続いているが、車の往来は制限されていないようで轍がある。空の雲は半分未満。圧倒的な青空でぽかぽかして暖かい。今日の関東、夏日の予報が出ていたが、こちらもそうか。翌日、松本のタクシーに乗ったら、松本も27℃までいったと運転手氏が話していた。
紅葉はすでに終わっている。やはり、そんなものだろう。社山の紅葉、二匹目の泥鰌なんてうまい話はざらにあるわけがない。これでは上を期待するまでもない。実のところ、期待もせずに出かけたら、とんでもない紅葉に出会ってしまったという展開を少しは望んでいた気持ちもあった。間もなく最初の標識が出てくる。「斑尾山2.8km」。各方面ともに矢印が出ているが、ここの標識の直進を指す矢印方向が上下の場合、手前を指すのか裏手を指すのかが微妙で、標識に出会うたびに悩むことになる。
(林道が横切る)

(これは盛り)

(これは終わり)

相変わらずの轍道。車は通らない。周囲は別荘地のようだ。葉の落ちた木々、緑葉、終わりかけのモミジ、黄色が左右に続く。林道がクロスする。その先に引き続きの階段が覗いている。一時的に車道から離れるが、すぐに林道に出る。この繰り返しが数回。林道をちょっと歩くこともある。自分のような初めてハイカーは、標識を見落とすとおかしなところに出てしまいそうだ。
(ここから右に入る)

(ここから急な山道になる)

(あの出口が終点かと思っていた)

(見下ろして)

林道の先に車が止まっていた。ここは峠のようになっている。車は5台。うち軽トラが4台。ぴったり詰めてとまっていて山歩きとは思えない。キノコ? 作業? 林道にクロスする箇所はここが最後だろう。脇の階段の先は急な登り道になっている。右はヒノキの植林で、左が雑木と自然林。長い急坂だ。かなり先に出口が見えているがはるかに遠く感じる(実際はトンネル出口ではなく、たどり着くと、さらに先にも出口が待っていた)。自然林側の紅葉はまばらな淡い紅葉で、その先に見える斜面の色づきは良い。ここからだと枝葉がじゃまでまともに見ることはできない。おそらく、垣間見えたアレが今日の最高の紅葉だったかもしれない。
ドングリがかなり落ちている。粒が大きい。この辺にクマは出ないのだろうか。周辺にはドングリの匂いが立ち込めている。気持ちの良い急坂だが、汗がしきりに流れる。手拭いはすぐに一本ダメになった。普段、こんな大量の汗はかかない。赤城山に行って以来、風邪をぐずぐずとひいている。この汗で風邪もさっぱり流したいところだが、風邪ひきの体には、この登りがかなりきつい。
(ようやくなだらかになって、そろそろ稜線に合流)

(結構色づきが良い感じはするのだが、実際は終わりかけ)

(左のピークが斑尾山だろうか。大明神岳だった。)

植林が自然林に吸収され、大きな石が出はじめ、それがおさまると、やがて稜線に合流した。これまでも尾根歩きだったのだが、ここは斑尾山の南尾根で、地図を見ると三水村と豊田村の境界にもなっている(いずれも今は飯縄町と中野市になっているようだ)。そのまま南に下るコースがあるかと思ったが、ヤブで踏み跡はない。こちらは、ヤブ好きハイカーもあまりいないのだろうか。
ここに小型のリュックが5個、木の枝に引っかけて置かれていた。下の車の台数と同じ。ここからキノコ採り?と、その時は思っていた。明け方まで雨が降っていたのか、落ち葉に埋もれた道はところどころで埋もれるし、樹の肌も濡れている。気のせいか、何となく陽が陰ってきたような感じ。
(大明神岳の標識)

モーター音が聞こえてきた。やはり作業中だった。登山道の整備。草刈機で細かい立枝を払っていた。作業中のオジサンの近くに行っても、いくらスズを鳴らしているとはいえ、当人にはモーター音しか聞こえていない。草刈機を左右に動かしながら作業しているから、おもむろに後ろから脇に飛び出すわけにもいかない。様子を見ながら、後ろから「コンニチワ、ご苦労さま」と大声を出して前に出る。これを4回やって、5人目のオッサン(この方だけは若手だった。軽トラ4台に混じって、パジェロミニがあったから、この方のだろう)の姿をとらえたところで、何やらピークらしき高台の下、左向きに「大明神岳0.3km」の標識を見た。その標識には「展望バツグン 野尻湖が見える」の文言が添えられている。
(ガスが出てきていた)

(大明神岳山頂)

実はここのピークは斑尾山山頂だったのだが、そうとは知らず、だったら大明神岳に先回りしようということで、標識に合わせて左に下りかける。すると、先はかなり霧が濃くなっている。オジサンの追い越しばかり気にとられ、周囲も見ないで歩いていたが、霧が出てきていたようだ。
たいした時間もかからずに大明神岳に着いた。何も見えない。展望バツグンの状態ではなかった。見上げると、青いのがどんどん狭まってきている。これではどうしようもない。今日は良天予報のはず。しばらく待てばカラッといくかなと思ったが、その気配はなく霧は濃くなる一方。ここまで来て残念だが戻る。
(斑尾山十三体。中に石仏が13体納まっているようだ)

標識のあったところに戻ると、石祠があった。「斑尾山十三体」とある。ところどころ字が消えた案内板には、薬師如来は十二体(十二神将)あったのを、村人が自分の家の守り神にしようと一体持って帰ったが、災難続きで山に戻しに来た。すると既に十二体に戻っていて、どうしても持参の一体は入らない。放り出して下山し、改めて見に行くと、十三体がすっぽりと収まっていた。その話を聞いた村人が次々と出向き、薬師連を外に出してパズル解きのようなことをやる。やはりどうしても一体入らない。そのままにして翌日行くときれいに収まっている。というようなことが書かれている。試してみるつもりはないが、後でネット記事を見ると、この中の石仏を動かすと雨が降るという伝承もあるらしい。もしかすると、急に霧が出てきたのも、誰かが手を加えたのではないのかと疑ってしまう。
(斑尾山山頂)

石祠を見て、上のピークに2~3歩踏み出すと、そこが斑尾山山頂だった。何となくとぼけた話になってしまった。ほとんど同時に、反対側のスキー場の方からオニイさんが登ってきた。霧がかかったのはそちらの方が早かったらしく、がっかりした表情。やはり大明神岳から野尻湖方面を眺めるのを楽しみにして登ってきたのだそうだ。おそらく、自分と同じようなもので、仕事を休んでやって来たのではないのか。この霧、晴れますかねと聞かれたが、薬師様を動かしたのがいるのではしょうがない。何とも言えない。何だか、自分の返答如何によっては、しばらく晴れ間を待ってもいいような感じだったので、無責任なことも言えず、さっさと北峰を目指した。こんな状態では長居は無用。ここの山頂からの眺めは、木立に囲まれて良くないようだ。
(霧が濃くなる)

(北峰山頂)

ガスが押し寄せてきた感じになってきた。青空は完全に消えた。下って行くと、もう一人上がって来た。こんにちは、霧が出てきちゃいましたね。残念ですよ。まったく。ちょっと登り上げて北峰に到着。ここもまた何も見えないでいるが、一服しようとしたら今度は雨がポツリと落ちてきた。雨粒は大きい。合羽はまだいいか。
状況によっては、ここから万坂峠を経由して袴岳まで行くことも想定はしていたが、この空模様ではそんな気にもなれない。むしろ、さっさと下山して温泉にでも浸かりたい気分になっている。というのも、汗をかいた身体が急に冷えてきていた。標識の「斑尾街→」に向けて下降する。
(スキー場)

(この辺は明瞭だが)

(こうなると、ガスの中ではこれでいいのかと思ってしまう)

スキー場のヘリを下っていく。おぼろげに霧の中にリフト施設のようなものが見えている。これがなかったら、スキー場であることすらわからない。ハイキングコースの踏み跡はヘリからゲレンデを横切ったり、ゲレンデ中の下降になって続いている。この霧の中では、この踏み跡を見失ったらきついことになるだろう。薄くなりかけたところは細心の注意が必要だ。たまにヘリに戻ると、ぼんやりした木立の紅葉が目に入る。
(ぐん平街道分岐)

(晴れていれば見栄えもしたろうが)

倒れたススキが原の斜面を通過する。このススキはそのうちに立ち上がるのだろうか。もしくはこのままか。やがて「ぐん平街道」の標識が出てくる。この街道は万坂峠と大池を結ぶ道だろう。大池まで3.2kmとある。ここを大池方面に行くとしよう。雨は本降りになる前に上がったが、霧の中を歩いたため、全身がびっしょりになっている。
(目の前をヤマカガシが横切って行った)

(水神様)

下の方は霧も薄い。次第に晴れてくる気配だ。往路の下と同様に、作業道まがいの林道とクロスする。赤い斑点を付けたヘビが目の前を通って行った。ヤマカガシだ。こんなの見たのは初めて。
「清川源流標」というのがあった。清川は飯山を流れる川だ。源流は湧水で、地面の下から流れ出ていた。その脇には水神様が置かれている。
(霧が上がってきた)

(やはり今一つだねぇ)

(大池)

(大池から斑尾山)

標識にしたがってだらだらと歩いている。ここもまた淡い紅葉が左右に続いている。そして青空が出てきた。せっかくだから大池に行ってみよう。
大池の水は涸れ、底が露呈していた。農業用水か何かで流したのだろうか。ふと見上げると、皮肉にも青空をバックに斑尾山が見えた。お決まりのパターンだったな。今なら野反湖も丸見えだろう。ここで休憩して昼食タイムにする。
(まだらおの湯に向かう)

まだらおの湯まではすぐだ。駐車場に戻り、着替えをもって風呂に行く。コーヒー牛乳付きの450円。だれもいずのんびりと浸かった。無臭、無色透明の温泉。沸かしのようだ。そのうちに他の客が入ってきたので切り上げる。そのままここで蕎麦を食べた。
レンタカーの返却は6時。まだ時間もあるが、もう一山といった時間はない。実は鬼無里に一夜山という短時間で登れる展望の山があり、ここもまた時間があったらと思ったりしていたが、汗をかくことがなかったら風呂に入ることもなくそのまま行けただろうが、そこまでの時間はない。ドライブがてらの戸隠経由にする。
(反対側から)

(野尻湖から)

(随神門)

(迂回して戻る)

(鏡池から戸隠山)

斑尾山の裏手を回って、野尻湖経由で戸隠に向かう。斑尾山は出ていたが、ここから見える妙高、黒姫、飯縄はすべて山頂が雲ですっぽりになっている。野尻湖に寄り、戸隠。せめて戸隠神社の奥社まで行きたかったが時間もなく随神門で戻る。そして暗くなりかけた鏡池から戸隠山を眺めて長野駅に向かう。
今日の斑尾山は見事に失敗だった。霧に巻かれたこともさることながら、チラ見で終わった紅葉もまた読みが甘かったようだ。この山、山スキーで来たら楽しいかもしれない。あっけないかもしれないが、ゲレンデトップからわずかで山頂だ。だからといってその時期に合わせての再訪を頭に入れているわけではないが。まぁ不十分だが、斑尾山はこれでいいだろう。
(斑尾山の軌跡)

「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(地名・公共施設)、数値地図250mメッシュ(標高)、数値地図50mメッシュ(標高)及び基盤地図情報を使用した。(承認番号 平24情使、 第921号)」