◎2016年11月3日(木)
857.9m水準点駐車場(7:40)……1133m付近(8:48)……ハガタテ平(9:38~9:45)……地蔵岳(10:08~10:19)……三ツ目(10:31)……夕日岳(10:50~10:55)……三ツ目(11:09~11:18)……稜線離脱(11:41)……1151.5m三角点(12:24)……小保木沢林道終点(12:28~12:45)……細尾峠旧道(13:23)……駐車場(13:38)
足尾の細尾峠から地蔵岳、三ノ宿山にかけての一帯の紅葉が盛りらしい。ふみふみぃさんが29日、みー猫さんとぶなじろうさんが30日にそれぞれ歩かれたブログ記事を拝見した。もっとも、ぶなじろうさんの場合は細尾峠からの眺めだったが、確かに写真の薬師岳はきれいだった。それから4、5日は経過している。まだ見頃だろう。他の予定はあったが、ここを優先して行くことにする。終わりかけでもそこそこに楽しめるだろう。
自分の場合は薬師岳、夕日岳、地蔵岳周りのオーソドックスな稜線歩きになるが、3年前の4月に小保木沢林道から稜線に出てみると意外と面白かったので、細尾峠からのまっとうなルートで歩きたくはない。そこで思い出したのがふみふみぃさんの記事。4月にハガタテ平から神子内に下っていた。自分が思うに、そのまま北西に尾根を下るつもりだったのが作業道を見たばかりに崩壊地を歩くことになったと想像しているが、その尾根を末端から歩いてみようか。末端付近には857.9m水準点がある。
この水準点付近をグーグルのストリートビューで探ると、駐車場があった(正確にはチェーン着脱場だが)。駐車の心配もなくラッキーともいえる。この辺で、神子内川に南東から沢が流れ込んでいる。この沢を挟んで北にある尾根から下るという手はどうだろうか。沢の名前は知らないが、沢の水が少ないようなら、沢通しに歩いてもいいかと思っている。
(857.9m水準点)
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(神子内川)
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駐車場に着き、まずは水準点を確認。そのまま下の河原の様子を見に行く。支流沢の水は結構多いし冷たそうだ。沢通しはやめにして予定通り南東への尾根歩きにする。ただ、取り付き付近がえらく急なのが気になった。車に戻ってスパイク地下タビを履き、脚絆を巻く。改めて神子内川に下る。
あちこちうろついた。川を渡れない。決して水量が多いわけではない。石に足をかけるとタビのピンで滑る。出だしからの水没は回避したく、上流を探るが適当なところがない。そうしているうちに、国道の脇の使われていない橋が目にとまり、これに這い上がって国道に出る。神子内川を迂回して、沢を渡るという算段だ(冷静に考えれば、わざわざ古い橋を渡らずとも、国道の橋を渡って行けば良かっただけのことだったが)。この時、下り予定の尾根末端部を見たが、これもまた下りには不適と思える急さだ。最悪、ロープで下るしかないか。この時点ではあまり深くは考えないでおこう。
(古い橋を渡って)
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(無名沢の堰堤)
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釣り堀をやっていたらしき民家の脇というか敷地をこっそり抜けて沢に出た。無人かと思ったら車が2台ある。ここからはあっさりと渡れ、濡れずに済んだ。沢のすぐ上に堰堤があった。沢の名前でもはめ込んであるかなと見に行ったがなかった。こういう地味沢の名前が気になる。そもそも小保木沢林道の小保木沢はどの沢なのか。地図にある小保木沢は旧道から出ている林道からは離れている。他にも上小畑沢、コムギ沢というのがあるらしい。それぞれどの青線にあてはまる沢なのか。バラクラ沢で悩んでいるうちはよかったが。ちなみに小保木沢林道入口の看板には「小保木沢林道(焼山沢)」とあった。
(植林の急登)
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(広葉樹が出てくる)
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(次の急登を見下ろす)
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さて、ここから目の前の左岸側の尾根に取り付く。末端からでなくてもいいだろうと脇から登るが、一帯は檜の植林で、見た目同様にかなりの急登。植林地斜面はこういうものだとあきらめ、斜め斜めに樹に身体をあずけながら登る。ようやく落ち着いたところで広葉樹が出てきた。末端からのルートに合流したようだ。この時点で、まだ122号線を走る車の音は聞こえている。
ここでストックを出した。おさまったとはいってもまだ急だ。二重の山稜になっているところをまたいで尾根を乗り移る。もっとも、この尾根の先は途切れて終わっている。引き続きの第二段の急登になった。これは意外にあっさりと終わった。二回の急登は想定外だったが、後は平穏な尾根の登りになるのではないのか。
(出てきた)
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(いい感じの尾根歩き)
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(つい立ち止まる。この繰り返し)
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植林が右手下に退き、ようやくなだらかになった。うーん、なかなか色づきがいいじゃないか。今日は細かいことはなしに全体を見ることにしよう。陽が右手から入り込むのがちょっと残念。どうしても逆光になってしまうし、西側を撮ると足元が暗くなってしまう。
この尾根、今の時期だからこそいいが、緑の時期に登ったら薄暗いかも。ずっと注意して歩いたが、ハガタテ平の合流まで尾根上に新旧のクマ糞を見ることはなかったし、シカ糞もまたごくわずかだ。左手前方に頭が白くなった男体山が見えてくる。北側対岸の斜面の紅葉は色づきの淡い部分もあるが、概して終わりかけだろう。
(1133m標高点付近)
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(右下から作業道が合流する)
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落ち葉が積もった尾根を歩いている。左手にチラチラと陽の光を浴びた木々の葉の色づきが見える。この辺は盛りのようだ。しばし足をとめる。色づきの良いところで休憩し、セブンの大福を食べる。瀑泉さんの大福をまねしてみたら欠かせない副食になりつつある。
尾根は一時的に細くなり、また広がって植林帯に入り込む。1133m標高点付近だ。立ち止まってGPSで確認する。ちょっとしたピーク状にはなっている。下りかけると、右下・南側から歩道が現れた。これが例のふみふみぃさんが追いかけた歩道か。作業道なのか古道なのかは判別できかねる。足尾から古峰原に抜ける古道と考えれば楽しくもあるが、植林がある以上はやはり作業道だろう。
この作業道、尾根の真下を尾根伝いに付いている。尾根そのものは起伏が多いため、尾根に忠実に歩こうとしても、つい楽な歩道を歩いてしまう。たまに見上げて開けているところがあれば尾根に上がって景色と紅葉を眺めに行く。すでに正面に地蔵岳、左に三ツ目ピークが見えている。そして左後ろ方面には半月山。すっきりした展望スポットはない。あくまでも樹間を通しての眺めだ。
(作業道は尾根上に移る)
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(低いササヤブを登ると)
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(登山道に出た)
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作業道が迂回した。あらぬ方向に行きはしないかと気になったがしっかりと巻いている。また尾根に合流。ここで植林は消えた。かなり緩くなったため、作業道は尾根上に移った。
色づきはまだ残っている。きょろきょろモミジを眺めながら歩いて行くと、低いササヤブになった。作業道はその後どうなったのか、気に留めないでいたら視界から消えてしまった。右手にピークが見える。あれは1351mの唐梨子山ではないだろうか。人の声が聞こえてきた。ササヤブを登りきると明瞭な登山道に出た。
ここまで2時間弱。意外と早かったが、紅葉に目もくれずに黙々と歩いていたら、自分の足で1時間半くらいだろうか。早い人なら1時間少々かも。前半の2か所の急登に耐えれば後はなだらかな尾根で、紛らわしいところはない。そして作業道をうまく利用した方が良い。下り使用の場合は、1131mから先は作業道から離れ、尾根に忠実に下るといったところだろうか。この尾根にテープが付かないことを祈るのみ。とはいっても、こんな尾根に食指を動かすハイカーはまずはいまい。
(ハガタテ平)
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(カラマツの中の登り)
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人の声は近づきつつある。やり過ごそうと一服したがなかなか来ない。しかたない。先に行くか。50mほど先に行くとハガタテ平の標識があった。
稜線の紅葉は終わっていた。もう葉が焼けている。その代わり、カラマツの黄色が目につく。遠くのカラマツ林は真っ黄色になっているが、目の前のカラマツは疎らで、さらに葉も枝も少なく楽しめるほどではない。
ついうっかりしていた。濃い道型のままに歩いていたら右に大回りした。すぐに気づいた。巻き道に入ってしまった。ここは尾根直登も含めて歩いたことはあるが、巻き道そのものの存在は失念していて、黙っていても直登コースになると思っていた。いいや、このまま登ろう。このルート、おかしなもので、南尾根まで移動してそこから登る。こういう迂回も珍しい。同じ標高差を登り上げるのだから、結果的には負担の差はないのではなかろうか。
(地蔵岳山頂)
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(稜線の紅葉は散発に残る程度)
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(三ツ目)
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石祠を見て地蔵岳山頂。だれもいない。垣間見える三ノ宿山方面はおろか夕日岳の頭にも雲がかかっている。これから悪くなるとは思えないからたまたまの雲の通過だろう。山頂から外れたところでシートを広げて菓子パンを頬張る。ハガタテ平で聞こえた声がずっと続いていた。迂回ルートでも後ろから聞こえていた。男性数人のグループらしく、そのうちの一人が快活な方のようで、賑やかに話題を盛り上げている。何を話しているまでは聞こえないが、こちらとしてはさっさと追い越して欲しかった。結局、そろそろ待ちくたびれの切り上げといったところで上がって来た。やはり男性3人組だった。
(ちょっと寄り道)
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三ツ目から夕日岳のルートに入る。どんどん下って、登り返しがいやらしく感じる。途中、右手に赤がきれいに見えるところがあって、コースから外れて迂回。その時はきれいに見えてふらふらと誘い込まれたが、結果の写真はたいしたこともなかった。斜面のトラバース登りで夕日岳に着いた。
(夕日岳山頂)
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(日光連山と)
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(半月山)
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また男体山方面を眺めて一服する。ここもまただれもいない。さて、この先どうしよう。稜線の紅葉は終わっているし、わざわざ薬師岳に行くまでもないんじゃないか。予定の無名沢の右岸尾根を下るとなると、薬師岳まで行けば、小久保沢林道歩きを含めても戻ることになる。取りあえずは三ツ目に戻る。
下りかけるとオッチャン3人組が上がって来た。主役は元気なオジサンだった。この方が唐梨子山の方から聞こえていて声の主だったようだ。すれ違いざまに声をかけられた。どうもあちらもこちらの存在を意識していたのか「これから薬師岳ですよね。そのうち追いつきますから」と。続いてオニイサンが登ってくる。
(盟主様を眺めて)
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三ツ目の分岐で思案。またもどうしよう。薬師岳は行かなくていいか。1406m標高点の手前から西に下る尾根に入ろう。下の方が紅葉はきれいだろう。3年前に上りで使った尾根をまた下りで使うのはどうかとは思ったが、林道の立地を考慮すればこんなところだろう。いずれにせよ地図上の終点に出た方が無難だ。
(稜線から外れる)
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(下るに連れてきれいになる)
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(また時間をとられる)
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前回歩いた時は春先だったが、その時に比べて明るくなり歩きやすくなっている。やはり下に行くにつれて紅葉が濃くなる。これは正解だったようだ。そのうちに、右手1406mから直に西南西に下る尾根が見えてくる。色づきがなかなかの賑やかさだ。そっちを下ればよかったかなと思いも出たが、これは隣の芝生だろう。このまま下る。間近に見ない限りは十分に楽しめる。
(下ではこんな紅葉が待機していた)
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(アングルをちょっと変えて)
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(アップで)
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尾根の分岐。このまま前回同様に直進で下るつもりでいたが、左分岐の尾根の斜面を見て唖然とした。モミジ祭りの最中じゃないか。あの尾根は前回、こちらを登りながらツツジが気になっていた尾根だ。祭りの最中とはいっても、よく見ると色が落ちつつあるところだ。数日前ならかなりきれいだったろう。そんなことはどうでもいい。あちらの尾根を下ってみよう。地図を見ると1151.5m三角点に向かっている。あの三角点は確認している。
(踏み跡を追って下る)
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歩きやすい尾根。ヤブもない。尾根追いは明瞭。踏み跡が出てきてもおかしくない雰囲気。右手下の紅葉の塊りにばかり気にかかり急いている。お祭り会場は目鼻の距離だ。そのうちに不思議なヤブに突入。スズタケの下半分だけ残っているようなヤブ。これはきついなと思ったが、下る脇に踏み跡が見えた。これはシカ道かなと思っていたが、どう見ても人為的な道。これを辿ると尾根伝いに苦も無く歩ける。
(これはいい)
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(振り返るのも忘れない)
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(しつこいか)
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踏み跡はモミジの小径になった。これはいいこれはいいと、先にさっぱり進まない。振り返ることも忘れない。小径はトンネルになってまた小径に戻った。あっという間の体験だったが名残惜しい。2~3日の遅れが悔やまれる。
(なおも踏み跡を追う)
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(南側の展望)
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(1151.5m三角点)
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(林道に出る)
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踏み跡をそのまま下ると三角点に着いた。やはり春先に来た時に比べると明るくなっている。さて問題は、ここから林道への降下。前の時も苦戦した。やはり下を覗き込むとかなりきつい。すんなりと林道に続いているわけではなく、工事のままにえぐられた状態になっている。先回りしてみたが手ごろなところはない。ロープは持参しているがそこまですることもない。倒木に手をかけて危なっかしく林道に降りた。
(林道終点)
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(この先も未踏部だ)
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林道終点に行き休む。そして昼食。風が強く、落ち葉がやたらと飛んでくる。ここからは一旦北西に下り尾根を乗り換えて南西に下る。地図を辿る限りは無名沢の右岸尾根に出るはず。
(この先は切れている)
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(ここもまたやめた方がいいだろう)
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さっきまで踏み跡は引き続きあったが、途中から見失ったのかうやむやになった。そして間もなく尾根が分岐。左は植林帯に入りそうなのでそのまま直進。そちらを行くと、谷越えで尾根復帰になりそうでもあった。続いてまた二俣。ここは左を下りたが、先で急斜面になり、すごすごと戻る。そして三度目の分岐。左に下ると尾根はストンと切れていた。戻る。これを繰り返し、結局、予定の尾根下りはあきらめる。こうなると、旧道に下るしか選択の余地はなくなるが、できるだけ駐車地寄りに下りたいという思いが出てくる。
(結局、こんなところの下りになった)
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(旧道への突破口)
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(しんどかった)
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下るにつれて急斜面になってきた。植林帯に入りたくはなかったが、そちらに入った方が無難だろう。枯れたスズタケの間を通って植林帯に入る。もう国道を走る車が間近に見えている。植林帯の脇に苔むした平らな沢筋が見え、そちらに行ってみた。ここから旧道に出よう。
だが、そう簡単にはいかなかった。草地はフカフカで、慎重に歩かないと足を踏み抜いてしまう。ようやく抜け出すと、真下に旧道が見えた。ここは擁壁ではないものの、下るのに覚悟が要る気配。ふと鉄のワイヤーが延びているのを見かけ、これに伝って下ってみる。何やら、落石をガードしようとしたのか無造作に垂れた金網があった。また金網デスマッチかいなと思ったが、何とかこれを使って下れそうだ。ザックとストックを下に落とし、金網に抱きついて降りる。最後は尻もちで着地。ヤレヤレ。
(旧道から)
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(国道へ)
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旧道を先に行くと、何だ、植林から抜けずにそのまま下っていたらもっと安全に着地できたじゃないか。こんなものだろうな。
旧道から国道に出る。沿線の紅葉が続いているが、どうみても目映いものではない。むしろ、遠くの山肌の紅葉の方がきれいだ。旧釣り堀の手前で下り予定の尾根を見上げる。やはりここを下りに使うのはかなりきついようだ。その前に、この尾根に行き着くまでが問題だ。
(これを登った)
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(駐車場に帰着)
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橋を渡って駐車場に到着。今日は風が強いのか、車のフロントは落ち葉だらけになっていた。
あっけない未踏ルート歩きだったが、終わりかけながらもため息が出る紅葉が見られただけでももっけの幸いといったところだろう。
(今回の軌跡)
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「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(地名・公共施設)、数値地図250mメッシュ(標高)、数値地図50mメッシュ(標高)及び基盤地図情報を使用した。(承認番号 平24情使、 第921号)」
857.9m水準点駐車場(7:40)……1133m付近(8:48)……ハガタテ平(9:38~9:45)……地蔵岳(10:08~10:19)……三ツ目(10:31)……夕日岳(10:50~10:55)……三ツ目(11:09~11:18)……稜線離脱(11:41)……1151.5m三角点(12:24)……小保木沢林道終点(12:28~12:45)……細尾峠旧道(13:23)……駐車場(13:38)
足尾の細尾峠から地蔵岳、三ノ宿山にかけての一帯の紅葉が盛りらしい。ふみふみぃさんが29日、みー猫さんとぶなじろうさんが30日にそれぞれ歩かれたブログ記事を拝見した。もっとも、ぶなじろうさんの場合は細尾峠からの眺めだったが、確かに写真の薬師岳はきれいだった。それから4、5日は経過している。まだ見頃だろう。他の予定はあったが、ここを優先して行くことにする。終わりかけでもそこそこに楽しめるだろう。
自分の場合は薬師岳、夕日岳、地蔵岳周りのオーソドックスな稜線歩きになるが、3年前の4月に小保木沢林道から稜線に出てみると意外と面白かったので、細尾峠からのまっとうなルートで歩きたくはない。そこで思い出したのがふみふみぃさんの記事。4月にハガタテ平から神子内に下っていた。自分が思うに、そのまま北西に尾根を下るつもりだったのが作業道を見たばかりに崩壊地を歩くことになったと想像しているが、その尾根を末端から歩いてみようか。末端付近には857.9m水準点がある。
この水準点付近をグーグルのストリートビューで探ると、駐車場があった(正確にはチェーン着脱場だが)。駐車の心配もなくラッキーともいえる。この辺で、神子内川に南東から沢が流れ込んでいる。この沢を挟んで北にある尾根から下るという手はどうだろうか。沢の名前は知らないが、沢の水が少ないようなら、沢通しに歩いてもいいかと思っている。
(857.9m水準点)

(神子内川)

駐車場に着き、まずは水準点を確認。そのまま下の河原の様子を見に行く。支流沢の水は結構多いし冷たそうだ。沢通しはやめにして予定通り南東への尾根歩きにする。ただ、取り付き付近がえらく急なのが気になった。車に戻ってスパイク地下タビを履き、脚絆を巻く。改めて神子内川に下る。
あちこちうろついた。川を渡れない。決して水量が多いわけではない。石に足をかけるとタビのピンで滑る。出だしからの水没は回避したく、上流を探るが適当なところがない。そうしているうちに、国道の脇の使われていない橋が目にとまり、これに這い上がって国道に出る。神子内川を迂回して、沢を渡るという算段だ(冷静に考えれば、わざわざ古い橋を渡らずとも、国道の橋を渡って行けば良かっただけのことだったが)。この時、下り予定の尾根末端部を見たが、これもまた下りには不適と思える急さだ。最悪、ロープで下るしかないか。この時点ではあまり深くは考えないでおこう。
(古い橋を渡って)

(無名沢の堰堤)

釣り堀をやっていたらしき民家の脇というか敷地をこっそり抜けて沢に出た。無人かと思ったら車が2台ある。ここからはあっさりと渡れ、濡れずに済んだ。沢のすぐ上に堰堤があった。沢の名前でもはめ込んであるかなと見に行ったがなかった。こういう地味沢の名前が気になる。そもそも小保木沢林道の小保木沢はどの沢なのか。地図にある小保木沢は旧道から出ている林道からは離れている。他にも上小畑沢、コムギ沢というのがあるらしい。それぞれどの青線にあてはまる沢なのか。バラクラ沢で悩んでいるうちはよかったが。ちなみに小保木沢林道入口の看板には「小保木沢林道(焼山沢)」とあった。
(植林の急登)

(広葉樹が出てくる)

(次の急登を見下ろす)

さて、ここから目の前の左岸側の尾根に取り付く。末端からでなくてもいいだろうと脇から登るが、一帯は檜の植林で、見た目同様にかなりの急登。植林地斜面はこういうものだとあきらめ、斜め斜めに樹に身体をあずけながら登る。ようやく落ち着いたところで広葉樹が出てきた。末端からのルートに合流したようだ。この時点で、まだ122号線を走る車の音は聞こえている。
ここでストックを出した。おさまったとはいってもまだ急だ。二重の山稜になっているところをまたいで尾根を乗り移る。もっとも、この尾根の先は途切れて終わっている。引き続きの第二段の急登になった。これは意外にあっさりと終わった。二回の急登は想定外だったが、後は平穏な尾根の登りになるのではないのか。
(出てきた)

(いい感じの尾根歩き)

(つい立ち止まる。この繰り返し)

植林が右手下に退き、ようやくなだらかになった。うーん、なかなか色づきがいいじゃないか。今日は細かいことはなしに全体を見ることにしよう。陽が右手から入り込むのがちょっと残念。どうしても逆光になってしまうし、西側を撮ると足元が暗くなってしまう。
この尾根、今の時期だからこそいいが、緑の時期に登ったら薄暗いかも。ずっと注意して歩いたが、ハガタテ平の合流まで尾根上に新旧のクマ糞を見ることはなかったし、シカ糞もまたごくわずかだ。左手前方に頭が白くなった男体山が見えてくる。北側対岸の斜面の紅葉は色づきの淡い部分もあるが、概して終わりかけだろう。
(1133m標高点付近)

(右下から作業道が合流する)

落ち葉が積もった尾根を歩いている。左手にチラチラと陽の光を浴びた木々の葉の色づきが見える。この辺は盛りのようだ。しばし足をとめる。色づきの良いところで休憩し、セブンの大福を食べる。瀑泉さんの大福をまねしてみたら欠かせない副食になりつつある。
尾根は一時的に細くなり、また広がって植林帯に入り込む。1133m標高点付近だ。立ち止まってGPSで確認する。ちょっとしたピーク状にはなっている。下りかけると、右下・南側から歩道が現れた。これが例のふみふみぃさんが追いかけた歩道か。作業道なのか古道なのかは判別できかねる。足尾から古峰原に抜ける古道と考えれば楽しくもあるが、植林がある以上はやはり作業道だろう。
この作業道、尾根の真下を尾根伝いに付いている。尾根そのものは起伏が多いため、尾根に忠実に歩こうとしても、つい楽な歩道を歩いてしまう。たまに見上げて開けているところがあれば尾根に上がって景色と紅葉を眺めに行く。すでに正面に地蔵岳、左に三ツ目ピークが見えている。そして左後ろ方面には半月山。すっきりした展望スポットはない。あくまでも樹間を通しての眺めだ。
(作業道は尾根上に移る)

(低いササヤブを登ると)

(登山道に出た)

作業道が迂回した。あらぬ方向に行きはしないかと気になったがしっかりと巻いている。また尾根に合流。ここで植林は消えた。かなり緩くなったため、作業道は尾根上に移った。
色づきはまだ残っている。きょろきょろモミジを眺めながら歩いて行くと、低いササヤブになった。作業道はその後どうなったのか、気に留めないでいたら視界から消えてしまった。右手にピークが見える。あれは1351mの唐梨子山ではないだろうか。人の声が聞こえてきた。ササヤブを登りきると明瞭な登山道に出た。
ここまで2時間弱。意外と早かったが、紅葉に目もくれずに黙々と歩いていたら、自分の足で1時間半くらいだろうか。早い人なら1時間少々かも。前半の2か所の急登に耐えれば後はなだらかな尾根で、紛らわしいところはない。そして作業道をうまく利用した方が良い。下り使用の場合は、1131mから先は作業道から離れ、尾根に忠実に下るといったところだろうか。この尾根にテープが付かないことを祈るのみ。とはいっても、こんな尾根に食指を動かすハイカーはまずはいまい。
(ハガタテ平)

(カラマツの中の登り)

人の声は近づきつつある。やり過ごそうと一服したがなかなか来ない。しかたない。先に行くか。50mほど先に行くとハガタテ平の標識があった。
稜線の紅葉は終わっていた。もう葉が焼けている。その代わり、カラマツの黄色が目につく。遠くのカラマツ林は真っ黄色になっているが、目の前のカラマツは疎らで、さらに葉も枝も少なく楽しめるほどではない。
ついうっかりしていた。濃い道型のままに歩いていたら右に大回りした。すぐに気づいた。巻き道に入ってしまった。ここは尾根直登も含めて歩いたことはあるが、巻き道そのものの存在は失念していて、黙っていても直登コースになると思っていた。いいや、このまま登ろう。このルート、おかしなもので、南尾根まで移動してそこから登る。こういう迂回も珍しい。同じ標高差を登り上げるのだから、結果的には負担の差はないのではなかろうか。
(地蔵岳山頂)

(稜線の紅葉は散発に残る程度)

(三ツ目)

石祠を見て地蔵岳山頂。だれもいない。垣間見える三ノ宿山方面はおろか夕日岳の頭にも雲がかかっている。これから悪くなるとは思えないからたまたまの雲の通過だろう。山頂から外れたところでシートを広げて菓子パンを頬張る。ハガタテ平で聞こえた声がずっと続いていた。迂回ルートでも後ろから聞こえていた。男性数人のグループらしく、そのうちの一人が快活な方のようで、賑やかに話題を盛り上げている。何を話しているまでは聞こえないが、こちらとしてはさっさと追い越して欲しかった。結局、そろそろ待ちくたびれの切り上げといったところで上がって来た。やはり男性3人組だった。
(ちょっと寄り道)

三ツ目から夕日岳のルートに入る。どんどん下って、登り返しがいやらしく感じる。途中、右手に赤がきれいに見えるところがあって、コースから外れて迂回。その時はきれいに見えてふらふらと誘い込まれたが、結果の写真はたいしたこともなかった。斜面のトラバース登りで夕日岳に着いた。
(夕日岳山頂)

(日光連山と)

(半月山)

また男体山方面を眺めて一服する。ここもまただれもいない。さて、この先どうしよう。稜線の紅葉は終わっているし、わざわざ薬師岳に行くまでもないんじゃないか。予定の無名沢の右岸尾根を下るとなると、薬師岳まで行けば、小久保沢林道歩きを含めても戻ることになる。取りあえずは三ツ目に戻る。
下りかけるとオッチャン3人組が上がって来た。主役は元気なオジサンだった。この方が唐梨子山の方から聞こえていて声の主だったようだ。すれ違いざまに声をかけられた。どうもあちらもこちらの存在を意識していたのか「これから薬師岳ですよね。そのうち追いつきますから」と。続いてオニイサンが登ってくる。
(盟主様を眺めて)

三ツ目の分岐で思案。またもどうしよう。薬師岳は行かなくていいか。1406m標高点の手前から西に下る尾根に入ろう。下の方が紅葉はきれいだろう。3年前に上りで使った尾根をまた下りで使うのはどうかとは思ったが、林道の立地を考慮すればこんなところだろう。いずれにせよ地図上の終点に出た方が無難だ。
(稜線から外れる)

(下るに連れてきれいになる)

(また時間をとられる)

前回歩いた時は春先だったが、その時に比べて明るくなり歩きやすくなっている。やはり下に行くにつれて紅葉が濃くなる。これは正解だったようだ。そのうちに、右手1406mから直に西南西に下る尾根が見えてくる。色づきがなかなかの賑やかさだ。そっちを下ればよかったかなと思いも出たが、これは隣の芝生だろう。このまま下る。間近に見ない限りは十分に楽しめる。
(下ではこんな紅葉が待機していた)

(アングルをちょっと変えて)

(アップで)

尾根の分岐。このまま前回同様に直進で下るつもりでいたが、左分岐の尾根の斜面を見て唖然とした。モミジ祭りの最中じゃないか。あの尾根は前回、こちらを登りながらツツジが気になっていた尾根だ。祭りの最中とはいっても、よく見ると色が落ちつつあるところだ。数日前ならかなりきれいだったろう。そんなことはどうでもいい。あちらの尾根を下ってみよう。地図を見ると1151.5m三角点に向かっている。あの三角点は確認している。
(踏み跡を追って下る)

歩きやすい尾根。ヤブもない。尾根追いは明瞭。踏み跡が出てきてもおかしくない雰囲気。右手下の紅葉の塊りにばかり気にかかり急いている。お祭り会場は目鼻の距離だ。そのうちに不思議なヤブに突入。スズタケの下半分だけ残っているようなヤブ。これはきついなと思ったが、下る脇に踏み跡が見えた。これはシカ道かなと思っていたが、どう見ても人為的な道。これを辿ると尾根伝いに苦も無く歩ける。
(これはいい)

(振り返るのも忘れない)

(しつこいか)

踏み跡はモミジの小径になった。これはいいこれはいいと、先にさっぱり進まない。振り返ることも忘れない。小径はトンネルになってまた小径に戻った。あっという間の体験だったが名残惜しい。2~3日の遅れが悔やまれる。
(なおも踏み跡を追う)

(南側の展望)

(1151.5m三角点)

(林道に出る)

踏み跡をそのまま下ると三角点に着いた。やはり春先に来た時に比べると明るくなっている。さて問題は、ここから林道への降下。前の時も苦戦した。やはり下を覗き込むとかなりきつい。すんなりと林道に続いているわけではなく、工事のままにえぐられた状態になっている。先回りしてみたが手ごろなところはない。ロープは持参しているがそこまですることもない。倒木に手をかけて危なっかしく林道に降りた。
(林道終点)

(この先も未踏部だ)

林道終点に行き休む。そして昼食。風が強く、落ち葉がやたらと飛んでくる。ここからは一旦北西に下り尾根を乗り換えて南西に下る。地図を辿る限りは無名沢の右岸尾根に出るはず。
(この先は切れている)

(ここもまたやめた方がいいだろう)

さっきまで踏み跡は引き続きあったが、途中から見失ったのかうやむやになった。そして間もなく尾根が分岐。左は植林帯に入りそうなのでそのまま直進。そちらを行くと、谷越えで尾根復帰になりそうでもあった。続いてまた二俣。ここは左を下りたが、先で急斜面になり、すごすごと戻る。そして三度目の分岐。左に下ると尾根はストンと切れていた。戻る。これを繰り返し、結局、予定の尾根下りはあきらめる。こうなると、旧道に下るしか選択の余地はなくなるが、できるだけ駐車地寄りに下りたいという思いが出てくる。
(結局、こんなところの下りになった)

(旧道への突破口)

(しんどかった)

下るにつれて急斜面になってきた。植林帯に入りたくはなかったが、そちらに入った方が無難だろう。枯れたスズタケの間を通って植林帯に入る。もう国道を走る車が間近に見えている。植林帯の脇に苔むした平らな沢筋が見え、そちらに行ってみた。ここから旧道に出よう。
だが、そう簡単にはいかなかった。草地はフカフカで、慎重に歩かないと足を踏み抜いてしまう。ようやく抜け出すと、真下に旧道が見えた。ここは擁壁ではないものの、下るのに覚悟が要る気配。ふと鉄のワイヤーが延びているのを見かけ、これに伝って下ってみる。何やら、落石をガードしようとしたのか無造作に垂れた金網があった。また金網デスマッチかいなと思ったが、何とかこれを使って下れそうだ。ザックとストックを下に落とし、金網に抱きついて降りる。最後は尻もちで着地。ヤレヤレ。
(旧道から)

(国道へ)

旧道を先に行くと、何だ、植林から抜けずにそのまま下っていたらもっと安全に着地できたじゃないか。こんなものだろうな。
旧道から国道に出る。沿線の紅葉が続いているが、どうみても目映いものではない。むしろ、遠くの山肌の紅葉の方がきれいだ。旧釣り堀の手前で下り予定の尾根を見上げる。やはりここを下りに使うのはかなりきついようだ。その前に、この尾根に行き着くまでが問題だ。
(これを登った)

(駐車場に帰着)

橋を渡って駐車場に到着。今日は風が強いのか、車のフロントは落ち葉だらけになっていた。
あっけない未踏ルート歩きだったが、終わりかけながらもため息が出る紅葉が見られただけでももっけの幸いといったところだろう。
(今回の軌跡)

「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(地名・公共施設)、数値地図250mメッシュ(標高)、数値地図50mメッシュ(標高)及び基盤地図情報を使用した。(承認番号 平24情使、 第921号)」