Quantcast
Channel: たそがれオヤジのクタクタ山ある記
Viewing all articles
Browse latest Browse all 520

秩父の大塚山と雄山歩き

$
0
0
◎2016年11月12日(土)

駐車地(7:24)……巡視路入口(7:29)……稲荷社(8:01)……13号鉄塔(8:10~8:21)……大塚山796m(8:49~9:05)……鞍部(9:29)……雄山776m(9:47~9:59)……石仏分岐(10:05~10:20)……林道(10:28)……県道(11:06)……駐車地(11:20)

 以前から秩父浦山にある大塚山(=大掴山?)と雄山(=男山?)には登ってみたいと思っていた。また、HIDEJIさんからお聞きした「うわごう道」なるところにも興味があった。いずれはと思いつつ行きそびれていたのは、わざわざ…といった感がなきにしもあらずといったところだ。
 うわごう道はともかく、歩くとすれば、大塚山と雄山の後はタワ尾根と高ワラビ尾根を使って小持山に出、その先、大持山から南西尾根(西尾根と呼ばれているようだが)を下り、途中から尾根を乗り換えて大神楽に出るといったコースを予定していた。
 今日、それを実行するつもりでいたが、夕方から用事ができてしまい、他のプランもなかったので、この機会に大塚山と雄山のみにしぼって登ることにした。で、その大塚山だが、当初は南からの尾根直登で考えていたが、前夜にネットでいろいろと拝見すると、鉄塔巡視路に沿って登れば、集落跡の石垣や稲荷神社を見られるらしい。これはおもしろいそうだ。コースを変更し、今日の楽しみはこの稲荷正一位と、雄山から下ってからの石仏拝見ということにしよう。

(今回の位置関係。昨年の1月、対岸の尾根から)


 駐車地探しに手間どった。県道には手頃なスペースがなく、林道に入り込んだ。これが大失敗のもと。先に行っても安心して車を置けそうな路肩はない。仕方ない、県道に戻って、林道入口にでも置くかとUターン。バン、ガリッ、ガリガリッ。あーぁ、やっちまった。左前輪が側溝にはまってしまった。山側に側溝があるのを知ってはいたが、その幾分広いところの側溝は草がかぶって見えていなかった。これで今日の山はダメか。それどころではないだろう。JAFを呼ぶか、携帯はつながるかと思いを巡らす。四駆にロックしてバックしてもダメ。前進するとまたガリガリッと抜け出したが、すぐにまたガリガリッと今度は後輪がはまり込んだ。都合4回のガリガリッ。修理代も高くつくなと、恐る恐る車から降りて回り込んで見にいく。外面のヘコミやゆがみ、キズは見あたらない。やられたのは下腹部か。そのまま林道を下って、県道に出たが、運転に支障はない。ブレーキも効くし、異音の叫びもない。結局、県道に広いスペース(不動橋バス停付近)があって、そこに車を置いたが、また改めて車の左の様子を見にいく気にはなれなかった。

(不動橋バス停。直進は川俣方面)


(巡視路入口)


(廃屋が見えている)


 気が滅入っての出発になった。先が思いやられる大失態。みー猫さんが故障した車を放置して山歩きをした太っ腹な話を知ってはいるが、車に少しでも異常があったら、そのまま帰ったところだ。しかし、今日の4時間ばかりの道中の間、車に戻れば、何か液体が路面にたらたらと垂れているのじゃないのかとずっと気になっていた。
 車のことはこの辺にしておいて、川俣の方に5分ばかり歩くと、左に巡視路入口が出てくる。黄色の標識は「奥秩父線12号入口」。上に民家が見えている。すぐに東電標識は「12号13号に至る」となった。民家の脇を通る。人が住んでいる気配はない。住んでいたとしても、下からここまで毎日往復するのでは大変だろう。

(水を溜めていたのだろうか)


(石垣が続く)


 巡視路があるとはいっても明瞭なものではなく、この辺は山の斜面に山掴の集落のあったところだ。踏み跡は乱れてあちこちにあり、さらに一帯は杉の植林帯で、作業道らしき踏み跡も交差して、そんな中から巡視路を特定して追うのは正直のところ無理。巡視路標識も散発的になっている。
 石垣が出てきた。前は歩道になっている。食器のかけらが散乱しているところもあれば、水をたたえたようなドラム缶やなぜかヘルメットもある。歩道はくねくねと上がり、それに合わせて石垣もある。かなり上まで家屋があったことは想像に難くないが、とすれば、植林をするので集落を撤去したのか、集落が消えたので植林をしたのか、いずれが先なのか。
 踏み跡を追い続けると、その先が崩壊していた。来過ぎたようだ。戻ってみると、カーブして上がる道があった。これが巡視路なのか。もうかなり怪しくなっている。

(物置)


(そして正一位)


(今はお参りする人もいないだろう)


 物置のようなものが見えた。中には何もない。ここだけぽっかりと開けている。以前はここで畑でも作っていたのだろうか。さて、ここからどの踏み跡を追えばいいのか。適当に南尾根のある東に向かえば問題はないだろうが、それでは正一位を見逃してしまうかもしれない。ここは巡視路を追いたいところ。
 赤テープを見つけた。小枝についているからハイカー向けだろう。この道を追う。すぐに巡視路標識があった。ここは分岐で、左が12号、右は13号となっている。ここからは尾根のある13号路線に入るが、この分岐から見上げると、また物置。よく見ると、下に石段の名残りのようなものある。あれか正一位は。
 「正一位稲荷大明神」とあった。中を覗いてみると、木の神棚が置かれている。鈴は外枠だけが残っている。外には杯やその欠片が散乱している。参拝する人ももういないのだろう。一応、二拝二拍手一拝で参拝。まずは一つ済ませた。特に感動するようなものではなかったが。

(墓石)


(とにかく薄暗い植林帯の歩きが続く。陰気な気分になっていく)


(13号鉄塔。向こうに12号)


 分岐に戻って、13号に向かう。途中、戒名が刻された墓石があった。この辺に来ると、もう巡視路のみの踏み跡のようで、追い続けると、先に鉄塔が見えた。あれが13号鉄塔だろう。ようやく薄暗い植林から解放されてほっとする。

(今回の歩き唯一の展望スポット。対岸の尾根)


(川俣方面)


(この辺の色づき)


 植林はこの先も続いているが、広葉樹が混じり出し、鉄塔の開けたところからは色づいた樹々が覗いている。ここの標高は600mほどのところだが、まだ青葉が混在している。対岸・南側の1000m前後の稜線はすでに終わった観がある。いずれにせよ、眺めて一息つくほどの展望が広がっているわけではないが、ここで一服。200mほど先に12号鉄塔が見えている。そういえば、ルートは違うが、仮面林道ライダーさんがここまでの間でカモシカに遭遇されたようだが、動物のいる気配すら感じなかった。
 ヤブこぎをして尾根に取りつく。トレパンがかなり濡れた。どうでもいい話だが、このトレパン、トレーニングパンツという和製英語の略で、トレズボンとは言わない。ズボン表記にこだわりながらも、小学生の頃から今に至るまでトレパン、トレパンと言っているのは苦笑ものだ。

(炭焼き窯の跡。当然、植林前には広葉樹が広がっていたのだろう)


(窪みが続いていた)


 杉の植林が続く。ただ樹の間隔は広がり、右手は広葉樹になっているようだ。そして、この時間帯は右手・南東方面から陽が入り込むので、薄暗い中でのうっとうしい気分の登りにはならずに済む。山頂に神社があるらしきことは知ってはいるが、かつては参道だったのか、窪んだ道型がずっと続いている。上にいくに連れ、急な登りになっていく。遠くで犬が吠えているのが聞こえる。方角からして武士平からのようだが、現役の人家があるのだろう。

(大塚山山頂。この他の写真はすべてピンボケだった)


 大塚山の山頂は薄暗い。平らで広いところに南向きの神社の祠が一基。祠の周囲には瓶が散乱している。ここで酒盛りでもしたのだろう。祠の中はがらんどうになっていて、観音開きの扉も片方だけ。足元を見ると、位牌のようなもの(霊璽というらしい)が落ちている。2基あった。「大塚神社神璽」と「愛宕大神神璽」と記されている。裏を見ると、奉納したのは十二社神社の宮司さんで、昭和39年に東京オリンピック開催を記念してというようなことが記されている。十二社がどこにある神社なのか、後で調べると、嶽という、これまた浦山の廃部落になったところにある神社のようだ。
 扉の片方も見つかったので、霊璽を2基ともに中に納め、両扉を閉めて二拝二拍手一拝。これをやってバチがあたることはあるまい。腐った樹に腰かけて大福を食べて一服。ここに山名板はないが、フジオカ.T.K氏のテープとkumo氏のテープ、その他1本、書き込み不明のリボンが垂れている。フジオカ.T.K氏については栗生山でも見かけたことがある。前二者のマークは雄山にもあった。

(尾根を目指して下る)


(作業小屋か)


(尾根に乗る)


 さて問題はここからの雄山への下りのようだ。明瞭な尾根が現れるのは途中からになっていて、これまでの延長尾根を下ると北に出てしまう。ここは北東へ。地形図の尾根明瞭部にコンパスをセットし、コンパスを見ながら下る。
 間伐放置で歩きづらい急斜面を、つい楽な北寄りに下ってしまい軌道修正。右手に尾根が見え、あれだろうと向かう。すると、左から簡易階段付きの歩道が現れ、安曇幹線No.321の標識が立っていた。下には荒れた小屋。覗きに行くと、何もなかった。尾根にはさっきまでとは違う別口の巡視路が通っているようで、この尾根で東から北に向きを変えている。

(鞍部。バンゴウ?)


(パイプが延びる)


 細い尾根だった。途中、間違って分岐を左に入り込んで戻る。鞍部に出た。<バリエーションウォーキング>の地図には、この辺に「バンゴウ」という地名?が記されている。峠のようなところだが、周囲の展望はまったくない。
 そのまま雄山への登りに入ると、右下に太いパイプが見えた。どこに続くのかと先を見ると、山腹の道沿いにずっとパイプが続いている。何のパイプなのか。それにしても、ここもまた道型だらけのようだ。信じられるのは尾根筋だけということになる。

(大塚山とは違って、こちらはまだ明るい)


(淡い紅葉を楽しみながら)


(雄山に到着)


(トタン板が散乱)


 急な勾配を登る。ここは右手が雑木状になっていて大塚山への登りに比べると少しは気分が良い。鞍部で青葉だったのが次第に色を付けてくる。だが、まだ半端な紅葉。
 何もない雄山山頂に到着。山名板はやはりなく、テープ書きが3枚ほど。トタン板が散乱しているところからして、かつては作業小屋でもあったのか。また一服。今日3本目になる。出がけと違って暑くなってきたが、ここの山頂は薄暗く、じっとしていると寒くなる。

(意外と急斜面だった)


(タワ尾根取り付きの十字路)


(うわごう道を武士平に)


 急斜面を下ってタワ尾根取り付きに出る。案内標柱には「たわの尾根」と記されている。ここから北は「たかわらび尾根を経て小持山に至る」。西は「有坂・茶平に至る」。そして南は「武士平に至る」となっている。その傍らに石仏。HIDEJIさんの写真で見てから自分の目で見ておきたかった。別に特別な石仏ではないが、古道にぽつねんと置かれる石仏には哀愁じみたものを感じる。文化十年三月。200年前。
 茶平から武士平に至る道が「うわごう道」の一部でもあるのだろう。他に「ばんごう道」というのもあるらしい。もしかすると、ばんごう道は鞍部のバンゴウを通っていたのか。ここから、石碑が点在する茶平の方に歩いてみたいが、地図を見る限りは駐車地まで大回りになりそうで、今回はやめておく。ネットでうわごう道を調べると、その大方は廃屋の内部調査になっていて、そういう方面には興味はさしてない。もっと突っ込んだレポはないものだろうか。武士平、大神楽という地名の起こりも気になるところだ。この辺のことだから、平家の落人伝説につながるものがあるとは思うが。
 横道に入るが、「内部調査」でちょっと気になる。住人は戸締りをして出払ったつもりでいるのに、赤の他人の内部調査で廃屋扱いになってしまった家屋もあるのではないだろうか。

(まだ現役っぽいが)


(武士平の標識)


 南「武士平に至る」を下る。古道ぽい感じはまったくない。間もなく大きなボイラーのような施設が目に入った。これはいったい何だろう。雄山に登る際に見かけた太いパイプと関係あるのだろうか。稼働音はしない。
 道はクネクネと民家に向かって下っている。ずっと吠えていた犬の声の出どころはここだった。耳のいい犬だ。猟犬のような黒い犬。もしかして、大塚山に登る鈴の音も聞こえていたのかもしれない。民家の脇には標柱が置かれ、ここが武士平のようだ。この家に住んでいるらしきオジサンの姿が見えた。

(林道歩き)


(この辺も集落跡か)


(お稲荷様)


 林道を下る。ここがうわごう道の延長だろうか。観音様のような石像が置かれ、後ろにはキツネを門番にしたお稲荷さん。入り込んでお参りをする。

(林道から。色はあまり良くない)


(これが本日一番かも)


(中にもぐって)


(これはもう疲れ気味)


 別に退屈な林道歩きにはなっていない。地図にマーカーを入れた大持山西尾根からの分岐ルート候補の出口をいくつか確認しながら歩いた。いずれも急斜面になっていて、地形図どおりには下れないことを知った。唯一、大神楽に下るルートだけは何とかなりそうかなといったところだ。

(不思議な石造物。最初、石祠を逆さにしたのかと思った)


(県道に合流。大塚山はこのピークの先。結局、今日は雄山含めて山の姿を見ていない)


 脱輪した場所を見ながら県道に合流。ここに家屋が上下に2軒ある。下に車はなく、いずれも人が住んでいる気配はない。傍らに大神楽沢橋の停留所があり、待合の建屋の中に入るとクモの巣だらけになっている。ここに座って5本目をつける。一日3往復のぬくもり号、いつまで続くのか。こちらとて、使ったのは1回しかない。

(県道歩きは10分ほど)


 県道を駐車地に向かう。脱輪の悪夢がぶり返す。車道歩きが長くなるとはいえ、やはり、いつも駐車する浦山大橋のこちら寄りの駐車場に迷わず置くべきだったか。
 駐車地に到着。車の下の路面に液漏れはなかった。それ以上の詳細チェックには気になりながらも目をつむる。現実を直視しない方が気分の良いこともある。まだ午前中だ。夕方の用事まで時間を持て余し気味だが、ちょっと時間をずらせば、長瀞の紅葉見物帰りで渋滞にはまり込む。ここは、さっさと秩父を脱出しておいた方がいいだろう。
 浦山大橋では往復ともに、ふみふみぃさんが見た片側に車を駐車して占拠というのは見なかったが、釣りの見物客が道路の真ん中に腰かけて見入っていた。確かにこのあたりの風情かもしれない。見慣れると不自然にも感じない。
 早く出たつもりだったが、それでも秩父市内を抜け出すのには時間がかかってしまった。

 今日は4時間にも及ばぬ歩きだった。休憩時間を除けば正味3時間ちょい。タワ尾根を歩くことはかなわなかったが、いずれ歩いてみることにしよう。その際は、今回で大塚山と雄山は済んだことだし、茶平経由でうわごう道体験ということにしようか。

(本日の軌跡)

「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(地名・公共施設)、数値地図250mメッシュ(標高)、数値地図50mメッシュ(標高)及び基盤地図情報を使用した。(承認番号 平24情使、 第921号)」

※今回の歩きの写真はあまりに明暗、陰影がはっきりしている。そして、帰ってから見ると、ピンボケの写真ばかりだった。これはずっと光を局部的に浴びながら暗い中で撮ったためだとは思うが、それ以上にこれをカバーする技術もなかったということが大きな理由だろう。見苦しい写真の並びはご容赦のほど。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 520

Trending Articles