◎2017年5月5日(金)
857.9m水準点駐車場(7:14)……1151.7m三角点(8:19)……1406m標高点南(9:12)……薬師岳(9:59)……小保木沢林道(10:39)……1103m標高点付近(11:10)……旧道(11:36)……駐車地(11:58)
昨年の11月に神子内川左岸の尾根を歩いた際、たまたま下った1151.7m三角点東側の紅葉が素晴らしいものだった。この時の印象が残っていて、もしかすると、あのあたりのアカヤシオはきれいなのではないのかと勝手な想像をし、その時期に改めて行ってみたかった。
5日前に丸山から夕日岳の間を歩かれた方のレポに、薬師岳はツボミ、丸山は三分咲きとあった。わざわざ稜線に出るまでもないとは思うが、せっかくだし、どのレベルの咲き具合かも見て来よう。昨年の4月30日にふみふみぃさんが稜線を歩かれてアカヤシオを満喫されていたようだが、それに比べたら今年は随分と遅いようだ。
コースとしては、前回、無名沢の左岸側の尾根を歩いているので、今回は右岸側の尾根を登って小保木沢林道に出るつもりでいる。下山ルートは状況次第ということにする。
857.9m水準点のあるチェーン着脱場にはすでに車が3台置かれていて、いずれも出払っている気配。ここから山歩きを想定する人はまずいないだろうから釣り目的だろう。そういえば、黒沢のゲート前には車が1台あった(帰りには2台になっていた)。これは釣りか沢歩きかはわからないし、天空回廊かもしれない。
(取り付き。「栃木平」のバス停がある。逆光につき帰りに撮影)
![]()
(登る)
![]()
(見下ろす。国道が見えている)
![]()
取り付きはもろい斜面になっていた。結構、急だ。登りだからいいものの、下りとなるとかなりの気が引ける。浮石も多く、頼りの木は腐ったのも多い。完全に四つ足歩き。上に石垣が見えている。土留めかとは思うが、手を加えるとあっさり崩れそうだ。10分ほどで植林の中に入り込み落ち着いた。ここなら転んでも途中で止めてもらえる。さっきまでは国道から見上げると丸見えになっていたので、早いとこ離脱しようといったあせりもあり、気持ちに余裕はほとんどなかった。
(植林の中の歩き)
![]()
(時たま開ける)
![]()
(そろそろ明るくなって)
![]()
植林の中の歩きが続く。たまに開ける左下斜面にちらりと薄紫の花が見える。この尾根、関係者が入っているようで、樹に赤ペンキが付いていたり、作業用らしきテープも目にする。
1050mあたりで自然林が交じり、下に低いササが出てくる。南側が植林で、北側は自然林。自然林側の展望が良くなり、半月山が間近に見え、男体山も覗いてくる。
(前回の下り尾根と合流する)
![]()
(林道終点。正面奥の小高いところに1151.7m三角点がある)
![]()
1090mで前回下りに使った尾根に合流。そういえば、ここまで登って来た尾根、あの時、下りかけて危うく感じて逃げた尾根だった。今日の上り使用では丸見え斜面以外は特別な怖さはなかった。どちらがお薦めかということになると難しいところだが、両方ともに敢えて使って楽しむまでもない尾根だろう。1151.7m三角点に出るのなら、尾根を使わずともに林道使用が無難だ(後で、これは無難でないことを知ったが)。この先は展望もあって、雰囲気は多少良い。アカヤシオの花を2つばかり見て林道終点に到着した。さぁ、いよいよここから上が本番か。目を開けたら花盛りの森になっていたなんて風情だったら最高だが…。
林道の終点とはいっても、これは地図上の終点で、反対側に続いている。覗きに行ったことがあるが、大きな間伐だらけで歩けるような代物ではなかった。どこに続くか気になったままなのだが、今のところはそのままでいい。いずれもないか。
(1151.7m三角点標石)
![]()
(出てくる)
![]()
(男体山をバックに)
![]()
尾根切れの壁を攀じ登ると、しなびかけのアカヤシオ。ちょっと行くと1151.7m三角点。この標石を見るのは3回目となる。
そろそろ出てくる。青空に映えてきれいなピンク。よく見ると、花びらが大分下に落ちている。こちらはもう終わりかけなのだろうかと気になったが、登るにつれて新鮮な花になっていき、見頃を迎えている。だが、尾根を見上げると、期待していたほどの密度ではない。花を付けた樹と樹の間が離れていて、密集していない。つまり散発的だということ。花盛りの森はただの夢想だった。
(広く撮ろうとすると、色つきの花は映らないほどだ)
![]()
(それでも出てくるとうれしくなる。お祭り騒ぎも良いが、こういうのも一興か)
![]()
勝手に群れた感じのイメージでいた。やはり紅葉の素晴らしさとは関係なしか。先日の沢入の尾根に比べて寂しいところもあるが、ここまで来たのだから、今日はこれで満足することにしよう。登ってはほっとして見るといったパターンか。
一本北側の尾根を眺める。そちらにもピンクが見えているが、視界に入るのは10株程度だ。あっちもそんなものか。何だか、この時期にしては普通の尾根歩きの雰囲気になっているのが気分的につらい。
(これなんかは見ごたえはあった)
![]()
(北側の尾根と合流)
![]()
(そろそろ稜線に出る)
![]()
むしろ景色を楽しみながら登って行く感じになってしまった。半月山あたりは駐車場も見えている。男体山、大真名子山、小真名子山、女峰山か。やはりここは紅葉だなぁ。
1280mあたりで北側の尾根に合流。アカヤシオも花が小粒になり、花数も少なくなってきた。こちらはこれからということだろう。1340mあたりになると消えてしまった。殺風景な景色になって、1390mで稜線に出た。
(稜線歩き。やはり咲いていないか)
![]()
木株に腰かけてタバコを吸っていると、薬師岳の方から声がした。やはり、この時期のこの稜線だ。アカヤシオ目あてのハイカーも多いだろう。二人連れだった。タバコも終わりかけだったので、腰を上げたところだったが、いろいろと話しかけられる。ここを歩くのは初めてらしい。型通りの、あれが地蔵岳で、手前のあれが三ツ目、左のピークが夕日岳だと最低限のことを教えてあげた。今日はアカヤシオ目あてでかっかりしたらしく、近くにきれいなところはないかと聞かれた。口でいろいろ説明もできず、さりとて広範囲の地図も持っていないので、これからは塔ノ沢から小丸山あたりがきれいではないですかと、あたり障りのないスポットで答えた。その辺は時季外れに歩かれたことがあるらしい。10分の足止めとなった。
(咲いてはいるが、どう見てもこれからだ)
![]()
(一応、それでも楽しみながら歩いている)
![]()
薬師岳に向かう。地蔵岳と夕日岳はハナから念頭にはない。何だ、あのお二人、アカヤシオはさっぱりだったと言っていたが、そこそこの咲きじゃないか。盛りまではまだ先だが、今日あたりでツボミから開花した感じだ。何分咲きなんて言ったら期待されるだろうから、敢えて何も言わないが、連休明けだろうな。
(いつものを見る)
![]()
寡黙な感じのオニイさんがやって来た。コンニチワの返事はないが、こちらが下りなのに立ち止まってくれた。そして間をおいて次の方。この方、営業職だろうか。愛想が良い。どこから歩いて来たのかから始まった。国道から上がって来たと答えたら、粕尾峠からかと問われた。あそこ国道だっけ?いくら何でも粕尾峠からでは遠すぎる。何とか理解してもらえたようだが、そういうバリ的な歩きを楽しみたい予備軍らしく、地下タビも買ったはいいが履く踏ん切りがつかないとおっしゃっていた。ここで、一応の地下足袋の解説をする。現物は足元だ。いかに強固でいかに弱いかと。これでまた10分。ついでに細尾峠からの道がどうも解せないとの疑問にも答える。納得されていたようだが、下りで間違えたりしないだろうな。ちょっと心配になった。ここを歩く方、大方は細尾峠ピストンだ。
(薬師岳の肩)
![]()
(これもいつもの)
![]()
(薬師岳山頂)
![]()
(山頂のアカヤシオ)
![]()
薬師岳が近づき、肩で団体さんが下りて来た。典型的なGB隊。Bが圧倒的に多い。元気だねぇ。薬師岳山頂には入れ違いの単独氏だけ。すぐに一人になった。
稜線に出てからここまで、アカヤシオも寂しいものだったが、山頂にも小さなピンクは咲いている。やはりどう考えても連休明けの賑わいだろうな。
さて、どこを下ろうか。地図を広げる。このまま細尾峠までの一般道、車道コースが楽だろうが、その気はない。地下タビで延々と車道を歩いていたらワラビ採りかと思われる。カーブ続きをテクテクというのも想定外だ。
薬師岳の肩から小保木沢林道に出る。林道を歩いて1103m標高点から北西に下るコースが無難か。林道に下ったことはある。合流部で地図の起伏に合わせて下らない限りは問題ない。1103mからは未踏だが、地図の傾斜は緩やかだ。これにしよう。
(盟主様を見て下る)
![]()
(来る度にヤブ化しつつあるようで)
![]()
肩からしばらくは、尾根筋に一般道を下る。この一般道、黄赤のプレートが打ち付けられているのだが、細尾峠からほとんどの方が山頂直登ルートで来るため、利用者はほとんどいないようで、踏み跡レベルになっている。実は、このことを営業職の方に問われていたのだ。
(この下り尾根ではこれが一番だったか)
![]()
(結構な急斜面)
![]()
(旧道に出る)
![]()
下るに連れてアカヤシオの花が大きくなる。だが、花盛りの森コース同様に賑やかさはない。1350mあたりで一般道が尾根を右に外れ、こちらはそのまま直進。前回はちょっと荒れたところを通過して林道近くになってややこしい歩きをしたが、今回はスムーズに下れた。ただ、着地は林道ではなく旧道で、そこには「細鈴橋」があり、欄干には「峠沢」と書かれていた。水が滲んだ程度の沢だ。
(林道の崩壊1)
![]()
(その2)
![]()
小保木沢林道をこちら側から歩いたのはちょうど4年ぶりになる。この小保木沢、神子内の南側に小保木沢というのがあって、そこにも林道が通っている(調べると、こちらも小保木沢林道と言うらしい)が、この林道と途切れながらもつながっているのだろうか。ずっと気になっている。もしくは銘板には平成3年起工とあるから、将来的には結ぶつもりでいたのか。
それはあり得ないだろう。この4年の間の林道の崩壊はすさまじく、廃道レベル以上のものがある。とにかく、東側斜面からの土砂崩れは半端ではなく、すでに車は通れず、歩行ですらきついところがある。いずれ、松木川沿いの旧林道のような状態になるのだろう。
左からの落石に気を遣いながら歩いて行くと、何やら強い腐臭が漂ってきた。シカの遺骸が一つ寝転んでいた。これは滑落したのだろう。融けかかっている。こんな高さでは銀バエもいないのか、普通のハエが群がっている。
(1103m標高点は右に上がる)
![]()
(標高点付近)
![]()
1103m標高点が右に近づく。左手は崩れた斜面。ここもまた攀じ登り、スズタケヤブを越えて登ると小ピーク。ここが1103mだ。人為的と思える踏み跡がかすかにあり、古い空き缶も落ちている。人が通れる尾根なんだなと安心するし、これまでの崩壊道から逃れられてほっともする。
(ちらほら)
![]()
(ヤセもある)
![]()
(国道が見え出す)
![]()
(ブル道が横切る)
![]()
(旧道に出る)
![]()
アカヤシオがちらほらと咲いている。さりとて知らない尾根だから気は休まらない。たかが200mほどの下りだが、途中でヤセになって穴ぼこになっていたり、左斜面は急になっていたりする。尾根先が見えなくなると果たして切れていないかと気にもなる。
結果としては、特別な危険はなく下りられた。右に沢音が聞こえ、先に国道が見えてくるとブル道が横切っていた。これを行けば安心だなと思いながら先送りすると、カーブしたブル道にまた合流。終点はすぐそこだ。これを辿ると、ブル道の終点広場になって、難なく旧道に下りられた。
(不明な石像)
![]()
沢に出て石に腰かけて休憩。ここでおにぎりを食べる。さて、後は帰るかと、旧道に入ろうとすると、瓦の囲いのような物が目に付き、近づくと、仏様の石像のようなものが中に安置されていた。比較的に新しい物かと思うが、賽銭も入っていたりで、これはいったい何だろう。二子山に行く途中で見かけた石像にも似ている。
(国道)
![]()
(駐車地)
![]()
旧道を歩く。国道はひっきりなしに車が通っている。やはり連休だ。
駐車場に戻ると、残っている車は朝のまま。大間々での渋滞に巻き込まれないうちにさっさと帰ろう。今日は暑い。エアコンを入れての帰路になった。
今日はアカヤシオ期待で再びといったところだったが、おかしな発想で期待を持っただけに結末はがっかりだった。紅葉=アカヤシオというわけにはいかなかった。だが、自然体でポツリポツリのアカヤシオを眺めながら歩けただけでも幸いだったか。
連休の後半、土日はアカヤシオ目あてで薬師岳の稜線歩きを楽しみに来るハイカーも多いだろう。期待して来れば、きっとがっかりするかもしれないな。
(ちょっと寄り道。橋を渡って、先に行ってみた。1136m標高点ピークあたりかと思う。いずれその気になったら歩いてみたい)
![]()
(本日の軌跡)
![]()
「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(地名・公共施設)、数値地図250mメッシュ(標高)、数値地図50mメッシュ(標高)及び基盤地図情報を使用した。(承認番号 平24情使、 第921号)」
857.9m水準点駐車場(7:14)……1151.7m三角点(8:19)……1406m標高点南(9:12)……薬師岳(9:59)……小保木沢林道(10:39)……1103m標高点付近(11:10)……旧道(11:36)……駐車地(11:58)
昨年の11月に神子内川左岸の尾根を歩いた際、たまたま下った1151.7m三角点東側の紅葉が素晴らしいものだった。この時の印象が残っていて、もしかすると、あのあたりのアカヤシオはきれいなのではないのかと勝手な想像をし、その時期に改めて行ってみたかった。
5日前に丸山から夕日岳の間を歩かれた方のレポに、薬師岳はツボミ、丸山は三分咲きとあった。わざわざ稜線に出るまでもないとは思うが、せっかくだし、どのレベルの咲き具合かも見て来よう。昨年の4月30日にふみふみぃさんが稜線を歩かれてアカヤシオを満喫されていたようだが、それに比べたら今年は随分と遅いようだ。
コースとしては、前回、無名沢の左岸側の尾根を歩いているので、今回は右岸側の尾根を登って小保木沢林道に出るつもりでいる。下山ルートは状況次第ということにする。
857.9m水準点のあるチェーン着脱場にはすでに車が3台置かれていて、いずれも出払っている気配。ここから山歩きを想定する人はまずいないだろうから釣り目的だろう。そういえば、黒沢のゲート前には車が1台あった(帰りには2台になっていた)。これは釣りか沢歩きかはわからないし、天空回廊かもしれない。
(取り付き。「栃木平」のバス停がある。逆光につき帰りに撮影)

(登る)

(見下ろす。国道が見えている)

取り付きはもろい斜面になっていた。結構、急だ。登りだからいいものの、下りとなるとかなりの気が引ける。浮石も多く、頼りの木は腐ったのも多い。完全に四つ足歩き。上に石垣が見えている。土留めかとは思うが、手を加えるとあっさり崩れそうだ。10分ほどで植林の中に入り込み落ち着いた。ここなら転んでも途中で止めてもらえる。さっきまでは国道から見上げると丸見えになっていたので、早いとこ離脱しようといったあせりもあり、気持ちに余裕はほとんどなかった。
(植林の中の歩き)

(時たま開ける)

(そろそろ明るくなって)

植林の中の歩きが続く。たまに開ける左下斜面にちらりと薄紫の花が見える。この尾根、関係者が入っているようで、樹に赤ペンキが付いていたり、作業用らしきテープも目にする。
1050mあたりで自然林が交じり、下に低いササが出てくる。南側が植林で、北側は自然林。自然林側の展望が良くなり、半月山が間近に見え、男体山も覗いてくる。
(前回の下り尾根と合流する)

(林道終点。正面奥の小高いところに1151.7m三角点がある)

1090mで前回下りに使った尾根に合流。そういえば、ここまで登って来た尾根、あの時、下りかけて危うく感じて逃げた尾根だった。今日の上り使用では丸見え斜面以外は特別な怖さはなかった。どちらがお薦めかということになると難しいところだが、両方ともに敢えて使って楽しむまでもない尾根だろう。1151.7m三角点に出るのなら、尾根を使わずともに林道使用が無難だ(後で、これは無難でないことを知ったが)。この先は展望もあって、雰囲気は多少良い。アカヤシオの花を2つばかり見て林道終点に到着した。さぁ、いよいよここから上が本番か。目を開けたら花盛りの森になっていたなんて風情だったら最高だが…。
林道の終点とはいっても、これは地図上の終点で、反対側に続いている。覗きに行ったことがあるが、大きな間伐だらけで歩けるような代物ではなかった。どこに続くか気になったままなのだが、今のところはそのままでいい。いずれもないか。
(1151.7m三角点標石)

(出てくる)

(男体山をバックに)

尾根切れの壁を攀じ登ると、しなびかけのアカヤシオ。ちょっと行くと1151.7m三角点。この標石を見るのは3回目となる。
そろそろ出てくる。青空に映えてきれいなピンク。よく見ると、花びらが大分下に落ちている。こちらはもう終わりかけなのだろうかと気になったが、登るにつれて新鮮な花になっていき、見頃を迎えている。だが、尾根を見上げると、期待していたほどの密度ではない。花を付けた樹と樹の間が離れていて、密集していない。つまり散発的だということ。花盛りの森はただの夢想だった。
(広く撮ろうとすると、色つきの花は映らないほどだ)

(それでも出てくるとうれしくなる。お祭り騒ぎも良いが、こういうのも一興か)

勝手に群れた感じのイメージでいた。やはり紅葉の素晴らしさとは関係なしか。先日の沢入の尾根に比べて寂しいところもあるが、ここまで来たのだから、今日はこれで満足することにしよう。登ってはほっとして見るといったパターンか。
一本北側の尾根を眺める。そちらにもピンクが見えているが、視界に入るのは10株程度だ。あっちもそんなものか。何だか、この時期にしては普通の尾根歩きの雰囲気になっているのが気分的につらい。
(これなんかは見ごたえはあった)

(北側の尾根と合流)

(そろそろ稜線に出る)

むしろ景色を楽しみながら登って行く感じになってしまった。半月山あたりは駐車場も見えている。男体山、大真名子山、小真名子山、女峰山か。やはりここは紅葉だなぁ。
1280mあたりで北側の尾根に合流。アカヤシオも花が小粒になり、花数も少なくなってきた。こちらはこれからということだろう。1340mあたりになると消えてしまった。殺風景な景色になって、1390mで稜線に出た。
(稜線歩き。やはり咲いていないか)

木株に腰かけてタバコを吸っていると、薬師岳の方から声がした。やはり、この時期のこの稜線だ。アカヤシオ目あてのハイカーも多いだろう。二人連れだった。タバコも終わりかけだったので、腰を上げたところだったが、いろいろと話しかけられる。ここを歩くのは初めてらしい。型通りの、あれが地蔵岳で、手前のあれが三ツ目、左のピークが夕日岳だと最低限のことを教えてあげた。今日はアカヤシオ目あてでかっかりしたらしく、近くにきれいなところはないかと聞かれた。口でいろいろ説明もできず、さりとて広範囲の地図も持っていないので、これからは塔ノ沢から小丸山あたりがきれいではないですかと、あたり障りのないスポットで答えた。その辺は時季外れに歩かれたことがあるらしい。10分の足止めとなった。
(咲いてはいるが、どう見てもこれからだ)

(一応、それでも楽しみながら歩いている)

薬師岳に向かう。地蔵岳と夕日岳はハナから念頭にはない。何だ、あのお二人、アカヤシオはさっぱりだったと言っていたが、そこそこの咲きじゃないか。盛りまではまだ先だが、今日あたりでツボミから開花した感じだ。何分咲きなんて言ったら期待されるだろうから、敢えて何も言わないが、連休明けだろうな。
(いつものを見る)

寡黙な感じのオニイさんがやって来た。コンニチワの返事はないが、こちらが下りなのに立ち止まってくれた。そして間をおいて次の方。この方、営業職だろうか。愛想が良い。どこから歩いて来たのかから始まった。国道から上がって来たと答えたら、粕尾峠からかと問われた。あそこ国道だっけ?いくら何でも粕尾峠からでは遠すぎる。何とか理解してもらえたようだが、そういうバリ的な歩きを楽しみたい予備軍らしく、地下タビも買ったはいいが履く踏ん切りがつかないとおっしゃっていた。ここで、一応の地下足袋の解説をする。現物は足元だ。いかに強固でいかに弱いかと。これでまた10分。ついでに細尾峠からの道がどうも解せないとの疑問にも答える。納得されていたようだが、下りで間違えたりしないだろうな。ちょっと心配になった。ここを歩く方、大方は細尾峠ピストンだ。
(薬師岳の肩)

(これもいつもの)

(薬師岳山頂)

(山頂のアカヤシオ)

薬師岳が近づき、肩で団体さんが下りて来た。典型的なGB隊。Bが圧倒的に多い。元気だねぇ。薬師岳山頂には入れ違いの単独氏だけ。すぐに一人になった。
稜線に出てからここまで、アカヤシオも寂しいものだったが、山頂にも小さなピンクは咲いている。やはりどう考えても連休明けの賑わいだろうな。
さて、どこを下ろうか。地図を広げる。このまま細尾峠までの一般道、車道コースが楽だろうが、その気はない。地下タビで延々と車道を歩いていたらワラビ採りかと思われる。カーブ続きをテクテクというのも想定外だ。
薬師岳の肩から小保木沢林道に出る。林道を歩いて1103m標高点から北西に下るコースが無難か。林道に下ったことはある。合流部で地図の起伏に合わせて下らない限りは問題ない。1103mからは未踏だが、地図の傾斜は緩やかだ。これにしよう。
(盟主様を見て下る)

(来る度にヤブ化しつつあるようで)

肩からしばらくは、尾根筋に一般道を下る。この一般道、黄赤のプレートが打ち付けられているのだが、細尾峠からほとんどの方が山頂直登ルートで来るため、利用者はほとんどいないようで、踏み跡レベルになっている。実は、このことを営業職の方に問われていたのだ。
(この下り尾根ではこれが一番だったか)

(結構な急斜面)

(旧道に出る)

下るに連れてアカヤシオの花が大きくなる。だが、花盛りの森コース同様に賑やかさはない。1350mあたりで一般道が尾根を右に外れ、こちらはそのまま直進。前回はちょっと荒れたところを通過して林道近くになってややこしい歩きをしたが、今回はスムーズに下れた。ただ、着地は林道ではなく旧道で、そこには「細鈴橋」があり、欄干には「峠沢」と書かれていた。水が滲んだ程度の沢だ。
(林道の崩壊1)

(その2)

小保木沢林道をこちら側から歩いたのはちょうど4年ぶりになる。この小保木沢、神子内の南側に小保木沢というのがあって、そこにも林道が通っている(調べると、こちらも小保木沢林道と言うらしい)が、この林道と途切れながらもつながっているのだろうか。ずっと気になっている。もしくは銘板には平成3年起工とあるから、将来的には結ぶつもりでいたのか。
それはあり得ないだろう。この4年の間の林道の崩壊はすさまじく、廃道レベル以上のものがある。とにかく、東側斜面からの土砂崩れは半端ではなく、すでに車は通れず、歩行ですらきついところがある。いずれ、松木川沿いの旧林道のような状態になるのだろう。
左からの落石に気を遣いながら歩いて行くと、何やら強い腐臭が漂ってきた。シカの遺骸が一つ寝転んでいた。これは滑落したのだろう。融けかかっている。こんな高さでは銀バエもいないのか、普通のハエが群がっている。
(1103m標高点は右に上がる)

(標高点付近)

1103m標高点が右に近づく。左手は崩れた斜面。ここもまた攀じ登り、スズタケヤブを越えて登ると小ピーク。ここが1103mだ。人為的と思える踏み跡がかすかにあり、古い空き缶も落ちている。人が通れる尾根なんだなと安心するし、これまでの崩壊道から逃れられてほっともする。
(ちらほら)

(ヤセもある)

(国道が見え出す)

(ブル道が横切る)

(旧道に出る)

アカヤシオがちらほらと咲いている。さりとて知らない尾根だから気は休まらない。たかが200mほどの下りだが、途中でヤセになって穴ぼこになっていたり、左斜面は急になっていたりする。尾根先が見えなくなると果たして切れていないかと気にもなる。
結果としては、特別な危険はなく下りられた。右に沢音が聞こえ、先に国道が見えてくるとブル道が横切っていた。これを行けば安心だなと思いながら先送りすると、カーブしたブル道にまた合流。終点はすぐそこだ。これを辿ると、ブル道の終点広場になって、難なく旧道に下りられた。
(不明な石像)

沢に出て石に腰かけて休憩。ここでおにぎりを食べる。さて、後は帰るかと、旧道に入ろうとすると、瓦の囲いのような物が目に付き、近づくと、仏様の石像のようなものが中に安置されていた。比較的に新しい物かと思うが、賽銭も入っていたりで、これはいったい何だろう。二子山に行く途中で見かけた石像にも似ている。
(国道)

(駐車地)

旧道を歩く。国道はひっきりなしに車が通っている。やはり連休だ。
駐車場に戻ると、残っている車は朝のまま。大間々での渋滞に巻き込まれないうちにさっさと帰ろう。今日は暑い。エアコンを入れての帰路になった。
今日はアカヤシオ期待で再びといったところだったが、おかしな発想で期待を持っただけに結末はがっかりだった。紅葉=アカヤシオというわけにはいかなかった。だが、自然体でポツリポツリのアカヤシオを眺めながら歩けただけでも幸いだったか。
連休の後半、土日はアカヤシオ目あてで薬師岳の稜線歩きを楽しみに来るハイカーも多いだろう。期待して来れば、きっとがっかりするかもしれないな。
(ちょっと寄り道。橋を渡って、先に行ってみた。1136m標高点ピークあたりかと思う。いずれその気になったら歩いてみたい)

(本日の軌跡)

「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(地名・公共施設)、数値地図250mメッシュ(標高)、数値地図50mメッシュ(標高)及び基盤地図情報を使用した。(承認番号 平24情使、 第921号)」