◎2015年10月23日(金)
銅親水公園駐車場(7:40)……熊の平(9:35)……駐車場(12:00)
金曜日は休暇消化で休み。土曜日は用事があり、日曜日は無理に出かけたくもない。金曜日の天気は晴れではないが、曇りの予報。雨は降らないようだ。降水確率もかなり低い。松木川奥の方に行きたかったが、日も短くなっているし、冴えない天気ではおもしろくもない。この時期、日帰りで歩ききれる自信はない。となったら、懸案になっている沢沿いに塔の峰に出るルートを歩いてみるとするか。曇天では紅葉もさっぱりだろうが、かすかな望みとして晴れ間が出てくることは期待している。
仁田元沢側から塔の峰には、以前、スリットダムのちょい先から小尾根を伝って南東尾根に出て登ったことはあるが、それ以外のルート取りは険悪なものしかないと思っていた。ところが、昨年の今ごろ、雪田爺氏ご一行が「一か八か沢」なるところを下って仁田元沢に下られた記事を拝見し、なるほど、そんなルート取りも有りかと感心し、上りルートとして年内に歩くつもりでいた。このルート、その後、きりんこさんも歩かれ、自分でも大丈夫だろうと判断しての歩きとなる。塔の峰から先はオロ山に出るのがオーソドックスだろうが、先日、歩いたばかりだし、庚申山に出て、かじか荘からタクシーでも呼ぶつもりでいる。
大間々を過ぎたあたりから車のワイパーを動かすようになった。この天気は予想外。話が違うじゃないと言いたいところだが、天気予測はだれしも勝手な思い込みだ。足尾に入って雨は上がったが、間藤の方に入るとまた降り出した。散歩のオバチャンたちがそそくさと家路についていく。
(公園のモミジは今盛り)
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(中倉山は見えていない)
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銅親水公園から中倉山は見えなかった。横場山すらピークがガスの中だ。しばらく車内で待機した。どうしようか迷ったが、霧雨に落ち着く気配のようだし、一か八か沢くらいは登ってしまおうか。そのうちに上がってくれるだろう。
公園のモミジはきれいに色づいている。ということは、足尾の紅葉も上は終わりだろうか。晴れたとしてもどうかなぁ。晴れ間を期待するのはやめにしておくのが無難。
スズメバチの巣があるとかで、迂回して公園に下る。その先は導水管橋。仁田元沢沿いの林道に出ると、前回同様に工事をしていた。この工事、「コンクリート打設」とあるが道路の舗装なのだろうか。工事区間は短い。前回歩いた際に気づいた道路の石の堆積と井戸沢に水が見えないのはそのまま。中倉山入口が近づき、林道がちょっとばかりヤブになる。草が水をたっぷり含み、足袋があっという間に濡れて水を吸った。
(こちらもガスガス)
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中倉山入口を過ぎ、林道は大回りになる。ここも半ばヤブ化し、足袋の中はとうとうグショグショになってしまった。余談だが、今回、瀑泉さんのご紹介で購入したメッシュの脚絆を巻いてはいるが、やはり自分の年代的なものなのか、シャツの裾をズボンから出すのは抵抗があるのと同様、トレーニングパンツの裾は足袋の中にしっかりと収めている。
庇の付いた帽子をかぶっているからメガネを拭うことはない。上下はトレパンのままで歩いている。合羽を着るまでもないが、ザックは濡れ始めている。まだ、すぐにやむと思っている。
(沢に下る)
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目的の沢に着いた。橋がかかっている。意外と高く感じる。下には真っ赤なモミジが見えた。どこをどう下りればいいのか。橋を渡って、橋沿いにグズグズの斜面を降りた。危うく滑りそうになったがふんばって沢床に降り立った。
(俗称・一か八か沢)
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(ロープが現れる)
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(たまに色づきを目にする)
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何とも特徴のない、そこいらの沢だった。水が流れているのは意外だった。狭い沢だ。ちょっとした乗り越えもある。周囲のリョウブの幹にナンバープレートが付けられている。この沢、山林関係か測量関係者が入っているのだろうか。人為的な気配を感じてちょっとほっとする。続いてロープが現れた。小滝の巻きのようだが、小滝はそのまま直登できそうだ。ここはロープを選択してみたが、むしろ、こちらが危うい感じであった。
(小滝と言えるかどうか。こんなのが続く)
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(問題なく登れたが、下りだとどうなんだか)
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(ここは立てかけの倒木を利用)
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倒木に古い青テープ。テープを見たのはこれだけ。小滝が続く。いずれも高さは3mもない。脇にロープもあったが、躊躇せずに登れる。足袋のスパイクがうまく岩肌に引っかかってくれる。同じくロープ付きの小滝。下に倒木が2本立てかけてある。それを使ってクリア。
(右にロープが垂れているが、ロープを伝うと方向違いになる)
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(そもそも、ここは引き帰さずに右に行きべきだった)
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急な岩場が現れた。ちょっときついかな。右にロープが垂れていて、それを伝うと崩壊地に出た。どうも向かう方向が違う。沢から離れていくし、巻きだとしたら、かなりの大回りだ。振り出しに戻って、岩場を直登した。以降、ロープを見かけることはなかった。
荒れた沢が続き、やがて二股。いずれにも水流ある。ここは右に入ってみたが、倒木があってうっとうしい。コンパスを確認すると、微妙だがどうも左選択が正しいようだ。小尾根を乗り越えて左股に入るが、踏み跡があった。人間のかシカ道なのかは判断できかねるが、人間のだとしたら、だれしも共通のミスをおかすということか。
(越えられるのかなと思ったが、それほどでもなかった。コンパスは右。かなり左に入っている)
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そしてまた二股。この辺に来るともう水流はかなり細くなっている。左は急斜面になっているようなので、ここは右に入る。しかし、すぐに行き止まりっぽくなり、沢型は左に向かっている。コンパスは直進方向。そこは崩れている。乗り越えに問題はない高さだが、ここは沢沿いに左に行く。いずれ右に転回するだろうと思っていた。左右ともに低い尾根状になってきている。だが、沢は右に迂回せず、左、左へと向かっていった。
どうも間違ったようだ。さっきの崩れを直進すべきだったか。後でGPS軌跡を確認すると、ルートミスを起こしたのはここではなく、最初の二股を迷わずにそのまま行くのが正解だったようだ。
細くなった沢というよりも窪地を登る。しばらく行くが、コンパスの差す方向からはどんどん離れていく。もうそろそろ熊の平に着いてもいい頃だ。完全にミスしてしまったようだ。このままでは1251m三角点(向山)に登ってしまう。地形図では読み取れない沢型だ。
(見切りをつけて右に入り)
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(尾根をトラバース)
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(熊の平)
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右の尾根が低くなっていたので尾根に上がり、西側にトラバースして下る。舟石新道のプレートがあった。平地になっている。何とか、熊の平に到着した。取り付きからの標高差は200mちょっと程度のもの。失敗歩きをしてしまった。感で歩くものではないなとちょっと後悔。こういうところは下りで使うのがいいだろうと、つい思ってしまうが、そうすれば、思わぬ危険もはらんでいることだろう。
(一応、これだけは見ておこう。塔の峰の七不思議。他の六つはないが、最近はテープが加わったか)
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さてと、雨は依然として上がらない。視界もかなり悪くなっている。塔の峰に向かう気持ちはすでに失せていた。このまま舟石新道を下るとしよう。
(舟石新道)
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(幻想的な光景。晴れていたらこうはいかない)
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(林道に出た)
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シカの声鳥の鳴き声も何も聞こえず森閑としている。ガスがかかっているからなおさら不気味でもある。プレートと踏み跡を頼りに先に進む。不要なテープは持ち帰る。こんな天気でも、初めてだとしても迷うところではない。何のためのテープなのだろう。塔の峰から散々つけて、消化試合のつもりだろうか。
鳥獣観察小屋に到着。あとは長い林道歩きとなる。やれやれ。雨まだやまず。
(何にも見えていない)
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(舟石峠のモミジ)
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(こんなのもあったが)
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(しつこくこんなのも)
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(ホオヅキか?)
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(旧道があったのだろう)
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だらだらと下った。この林道、ショートカットしようにもたかが知れているが、ちょっと外れてヤブを歩いてみたりした。これまで気づかなかったものを目にもした。ここにも旧道があったのだろうか。だが、それを追ったとしても、すぐに林道に出てしまうような気がする。
(天気が良ければこの辺は見頃だねぇ)
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(あれは何だ?)
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(お堂だった)
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いつの間にか雨が上がった。備前楯延長の岩山が徐々に顔を出してくる。「狸掘り跡」の看板を見て、直に穴を見てみようかと思った。本口沢に向かうと、右のヤブの中にお堂のようなものが見えた。中には石像が置かれていた。石の墨書きがかろうじて部分的に読める。「藤原勝道霊」とある。これはいったい何だろう。「勝道」とは地域柄、上人のことだろうが、勝道上人は藤原姓でも賜ったのだろうか。「霊」の字は不気味だ。これまで、このお堂には気づきもしなかった。さらされた墨書きが残っているくらいだから、近年のものだとは思うが。
肝心の狸掘りは、堰があるため、かなり先に行かないと渡れずに断念。それほど強い興味があるわけでもなく、これは時間つぶしのようなものだ。
鉱山神社入口の前を通過すると、看板があった。それは土石流の警告看板だが、「銅山川」とあった。この川は銅山川というのか。「出川」ではないのか?
(古河橋。雨は上がって、空の一部に青空がのぞいていた)
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橋のたもとで弁当を広げているオバチャン2人に声をかけられた。上の紅葉はきれいだったかいと。答えようがなかった。ガスの中の紅葉は幻想的だったと言っても通じないだろうて。
(龍蔵寺の石仏)
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(大忍坊の墓。庚申山に碑があった)
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(松木の無縁石塔)
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龍蔵寺を見学して銅親水公園に着いた。舟石峠からは随分とゆっくりと歩いたものだ。そのおかげで、いろいろと見ること知ることもできた。龍蔵寺に入ったのも初めてだ。観光スポットのようになったのは最近だろう。以前はこうではなかった。古い墓が野放図に置かれていたと記憶する。ここは古い石仏の宝庫だ。
(赤倉山も見えない)
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(中倉山も)
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相変わらず中倉山は見えていないし、備前楯すら隠れている。こんな天気だとは予想すらしなかったが、塔の峰の山名板のメンテはできなかったものの、件の沢を歩いて熊の平まで出られただけでも課題は処理したし、ぶらぶら歩きのおかげで足尾の歴史にも触れた。それなりに満足ということか。
銅親水公園駐車場(7:40)……熊の平(9:35)……駐車場(12:00)
金曜日は休暇消化で休み。土曜日は用事があり、日曜日は無理に出かけたくもない。金曜日の天気は晴れではないが、曇りの予報。雨は降らないようだ。降水確率もかなり低い。松木川奥の方に行きたかったが、日も短くなっているし、冴えない天気ではおもしろくもない。この時期、日帰りで歩ききれる自信はない。となったら、懸案になっている沢沿いに塔の峰に出るルートを歩いてみるとするか。曇天では紅葉もさっぱりだろうが、かすかな望みとして晴れ間が出てくることは期待している。
仁田元沢側から塔の峰には、以前、スリットダムのちょい先から小尾根を伝って南東尾根に出て登ったことはあるが、それ以外のルート取りは険悪なものしかないと思っていた。ところが、昨年の今ごろ、雪田爺氏ご一行が「一か八か沢」なるところを下って仁田元沢に下られた記事を拝見し、なるほど、そんなルート取りも有りかと感心し、上りルートとして年内に歩くつもりでいた。このルート、その後、きりんこさんも歩かれ、自分でも大丈夫だろうと判断しての歩きとなる。塔の峰から先はオロ山に出るのがオーソドックスだろうが、先日、歩いたばかりだし、庚申山に出て、かじか荘からタクシーでも呼ぶつもりでいる。
大間々を過ぎたあたりから車のワイパーを動かすようになった。この天気は予想外。話が違うじゃないと言いたいところだが、天気予測はだれしも勝手な思い込みだ。足尾に入って雨は上がったが、間藤の方に入るとまた降り出した。散歩のオバチャンたちがそそくさと家路についていく。
(公園のモミジは今盛り)

(中倉山は見えていない)

銅親水公園から中倉山は見えなかった。横場山すらピークがガスの中だ。しばらく車内で待機した。どうしようか迷ったが、霧雨に落ち着く気配のようだし、一か八か沢くらいは登ってしまおうか。そのうちに上がってくれるだろう。
公園のモミジはきれいに色づいている。ということは、足尾の紅葉も上は終わりだろうか。晴れたとしてもどうかなぁ。晴れ間を期待するのはやめにしておくのが無難。
スズメバチの巣があるとかで、迂回して公園に下る。その先は導水管橋。仁田元沢沿いの林道に出ると、前回同様に工事をしていた。この工事、「コンクリート打設」とあるが道路の舗装なのだろうか。工事区間は短い。前回歩いた際に気づいた道路の石の堆積と井戸沢に水が見えないのはそのまま。中倉山入口が近づき、林道がちょっとばかりヤブになる。草が水をたっぷり含み、足袋があっという間に濡れて水を吸った。
(こちらもガスガス)

中倉山入口を過ぎ、林道は大回りになる。ここも半ばヤブ化し、足袋の中はとうとうグショグショになってしまった。余談だが、今回、瀑泉さんのご紹介で購入したメッシュの脚絆を巻いてはいるが、やはり自分の年代的なものなのか、シャツの裾をズボンから出すのは抵抗があるのと同様、トレーニングパンツの裾は足袋の中にしっかりと収めている。
庇の付いた帽子をかぶっているからメガネを拭うことはない。上下はトレパンのままで歩いている。合羽を着るまでもないが、ザックは濡れ始めている。まだ、すぐにやむと思っている。
(沢に下る)

目的の沢に着いた。橋がかかっている。意外と高く感じる。下には真っ赤なモミジが見えた。どこをどう下りればいいのか。橋を渡って、橋沿いにグズグズの斜面を降りた。危うく滑りそうになったがふんばって沢床に降り立った。
(俗称・一か八か沢)

(ロープが現れる)

(たまに色づきを目にする)

何とも特徴のない、そこいらの沢だった。水が流れているのは意外だった。狭い沢だ。ちょっとした乗り越えもある。周囲のリョウブの幹にナンバープレートが付けられている。この沢、山林関係か測量関係者が入っているのだろうか。人為的な気配を感じてちょっとほっとする。続いてロープが現れた。小滝の巻きのようだが、小滝はそのまま直登できそうだ。ここはロープを選択してみたが、むしろ、こちらが危うい感じであった。
(小滝と言えるかどうか。こんなのが続く)

(問題なく登れたが、下りだとどうなんだか)

(ここは立てかけの倒木を利用)

倒木に古い青テープ。テープを見たのはこれだけ。小滝が続く。いずれも高さは3mもない。脇にロープもあったが、躊躇せずに登れる。足袋のスパイクがうまく岩肌に引っかかってくれる。同じくロープ付きの小滝。下に倒木が2本立てかけてある。それを使ってクリア。
(右にロープが垂れているが、ロープを伝うと方向違いになる)

(そもそも、ここは引き帰さずに右に行きべきだった)

急な岩場が現れた。ちょっときついかな。右にロープが垂れていて、それを伝うと崩壊地に出た。どうも向かう方向が違う。沢から離れていくし、巻きだとしたら、かなりの大回りだ。振り出しに戻って、岩場を直登した。以降、ロープを見かけることはなかった。
荒れた沢が続き、やがて二股。いずれにも水流ある。ここは右に入ってみたが、倒木があってうっとうしい。コンパスを確認すると、微妙だがどうも左選択が正しいようだ。小尾根を乗り越えて左股に入るが、踏み跡があった。人間のかシカ道なのかは判断できかねるが、人間のだとしたら、だれしも共通のミスをおかすということか。
(越えられるのかなと思ったが、それほどでもなかった。コンパスは右。かなり左に入っている)

そしてまた二股。この辺に来るともう水流はかなり細くなっている。左は急斜面になっているようなので、ここは右に入る。しかし、すぐに行き止まりっぽくなり、沢型は左に向かっている。コンパスは直進方向。そこは崩れている。乗り越えに問題はない高さだが、ここは沢沿いに左に行く。いずれ右に転回するだろうと思っていた。左右ともに低い尾根状になってきている。だが、沢は右に迂回せず、左、左へと向かっていった。
どうも間違ったようだ。さっきの崩れを直進すべきだったか。後でGPS軌跡を確認すると、ルートミスを起こしたのはここではなく、最初の二股を迷わずにそのまま行くのが正解だったようだ。
細くなった沢というよりも窪地を登る。しばらく行くが、コンパスの差す方向からはどんどん離れていく。もうそろそろ熊の平に着いてもいい頃だ。完全にミスしてしまったようだ。このままでは1251m三角点(向山)に登ってしまう。地形図では読み取れない沢型だ。
(見切りをつけて右に入り)

(尾根をトラバース)

(熊の平)

右の尾根が低くなっていたので尾根に上がり、西側にトラバースして下る。舟石新道のプレートがあった。平地になっている。何とか、熊の平に到着した。取り付きからの標高差は200mちょっと程度のもの。失敗歩きをしてしまった。感で歩くものではないなとちょっと後悔。こういうところは下りで使うのがいいだろうと、つい思ってしまうが、そうすれば、思わぬ危険もはらんでいることだろう。
(一応、これだけは見ておこう。塔の峰の七不思議。他の六つはないが、最近はテープが加わったか)

さてと、雨は依然として上がらない。視界もかなり悪くなっている。塔の峰に向かう気持ちはすでに失せていた。このまま舟石新道を下るとしよう。
(舟石新道)

(幻想的な光景。晴れていたらこうはいかない)

(林道に出た)

シカの声鳥の鳴き声も何も聞こえず森閑としている。ガスがかかっているからなおさら不気味でもある。プレートと踏み跡を頼りに先に進む。不要なテープは持ち帰る。こんな天気でも、初めてだとしても迷うところではない。何のためのテープなのだろう。塔の峰から散々つけて、消化試合のつもりだろうか。
鳥獣観察小屋に到着。あとは長い林道歩きとなる。やれやれ。雨まだやまず。
(何にも見えていない)

(舟石峠のモミジ)

(こんなのもあったが)

(しつこくこんなのも)

(ホオヅキか?)

(旧道があったのだろう)

だらだらと下った。この林道、ショートカットしようにもたかが知れているが、ちょっと外れてヤブを歩いてみたりした。これまで気づかなかったものを目にもした。ここにも旧道があったのだろうか。だが、それを追ったとしても、すぐに林道に出てしまうような気がする。
(天気が良ければこの辺は見頃だねぇ)

(あれは何だ?)

(お堂だった)

いつの間にか雨が上がった。備前楯延長の岩山が徐々に顔を出してくる。「狸掘り跡」の看板を見て、直に穴を見てみようかと思った。本口沢に向かうと、右のヤブの中にお堂のようなものが見えた。中には石像が置かれていた。石の墨書きがかろうじて部分的に読める。「藤原勝道霊」とある。これはいったい何だろう。「勝道」とは地域柄、上人のことだろうが、勝道上人は藤原姓でも賜ったのだろうか。「霊」の字は不気味だ。これまで、このお堂には気づきもしなかった。さらされた墨書きが残っているくらいだから、近年のものだとは思うが。
肝心の狸掘りは、堰があるため、かなり先に行かないと渡れずに断念。それほど強い興味があるわけでもなく、これは時間つぶしのようなものだ。
鉱山神社入口の前を通過すると、看板があった。それは土石流の警告看板だが、「銅山川」とあった。この川は銅山川というのか。「出川」ではないのか?
(古河橋。雨は上がって、空の一部に青空がのぞいていた)

橋のたもとで弁当を広げているオバチャン2人に声をかけられた。上の紅葉はきれいだったかいと。答えようがなかった。ガスの中の紅葉は幻想的だったと言っても通じないだろうて。
(龍蔵寺の石仏)

(大忍坊の墓。庚申山に碑があった)

(松木の無縁石塔)

龍蔵寺を見学して銅親水公園に着いた。舟石峠からは随分とゆっくりと歩いたものだ。そのおかげで、いろいろと見ること知ることもできた。龍蔵寺に入ったのも初めてだ。観光スポットのようになったのは最近だろう。以前はこうではなかった。古い墓が野放図に置かれていたと記憶する。ここは古い石仏の宝庫だ。
(赤倉山も見えない)

(中倉山も)

相変わらず中倉山は見えていないし、備前楯すら隠れている。こんな天気だとは予想すらしなかったが、塔の峰の山名板のメンテはできなかったものの、件の沢を歩いて熊の平まで出られただけでも課題は処理したし、ぶらぶら歩きのおかげで足尾の歴史にも触れた。それなりに満足ということか。